Day4「アクアリウム」

 鳥生君が何やら動画を見ていた。スマホの画面いっぱいに広がるのは。


「アクアリウム?」


 水草の緑が何とも鮮やかな水槽が映し出されていた。名前は知らないが、可愛らしくもカラフルな小魚がのんびり泳いでいる平和な映像。


「そうなんっすよ。癒されます」

「アクアリウム好きでしたっけ?」

「特別好きって訳ではないですけど、憧れっすかね。俺の手狭な部屋では叶わない贅沢が羨ましいという感じで」


 そう言って笑う鳥生君の笑顔の方が僕にとっては癒しかもしれない。


「確かに忙殺の日々に癒しは必要ですね」

「今里さんは癒しにならないっすか?」


 何故ここで彼女の名前が? つい眉間に皺が寄った。


「なる訳ないでしょう。彼女は理解不能な珍獣です」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る