【プロローグ】村雨さん視点

「村雨先輩とまた日本で一緒に仕事できるなんて嬉しいっす」


 後輩の鳥生とりい君が笑顔で出迎えてくれたのは、正直嬉しかった。当時を知りながら、温かく出迎えてくれた彼には感謝だ。


 そんな鳥生君とこれからの予定を話しながら実験室に向かう。

 途中、小柄な女性とすれ違ったのだが、途端「べたんっ」と後ろで大きな音が響いた。


今里いまさとさん!」


 気付いた鳥生君が引き返したので、僕も振り向いてみると、先程の女性が尻餅をついていた。


「大丈夫ですか?」


 僕もしゃがんで手を差し伸べると。


「大丈夫です! あなたのお声がよすぎて腰が抜けただけですので!」


 イケボありがたすぎる~と、訳の分からないことを言われてしまった。



 それが、今里さんとの出会い。

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