第12話
とりあえず最低限の経過観察を終えた私がそんなこんなでやって来たのはゴミ捨て場――なんちゃって、廃棄スペース。
ここは文字通り廃棄されたスペースであり、資料として知ってはいたけれども実際に目の当たりにした感想はというと「うおっ、すげ」だった。
いや、あまりにも内容がない感想なのでもうちょっと具体的に言うと、廃棄されたゴミが大量に放棄されていて山になっている。
そのゴミというのはいわゆる生活ごみではなく機械パーツや金属部品がほとんどであり、それが地平線の果て――とまではいかないけれども、結構先まで続いている。
ここにあるゴミというのはこの第七支部が出来た時に収集され、そしてそのまま放置されているらしい。
つまりここにあるのはぱっと見ゴミだけれども、実際は過去の遺産で形成されている宝の山とも言えるのだ。
とはいえ時間の経過、風化や酸化によってボロボロに朽ちているものがほとんどであり、この場所に足を踏み入れるのは正直言って無謀も良いところである。
良いところ、なのだが。
「……」
マリアだけが所持を許されている管理者権限を用いてこの閉ざされたスペースに足を踏み入れ。
確かに最初に目を引いたのはそのゴミの山だったが、次に目を引いたのは――道だった。
道、というか獣道と言うべきか。
ゴミの山が左右に別れ道が形成されているのだ。
明らかに人為的に作られたモノであり、これに関しては資料には載っていなかった。
意図的に残されていなかったのは、はたまたあの資料が作られた時には作られていなかったのか。
どちらにせよ、私としてはこの道に沿って移動をするしかない。
この道を作った者が誰なのかにせよ、ここを使わないでの移動はぶっちゃけ無謀も良いところだからだ。
「……」
無言で、歩く。
呼吸の一つでゴミの山が崩れてしまいそうな、そんな錯覚を覚えてしまったからかもしれない。
どちらにせよ、そうやって道を道通りに歩き、そしてその先にあったものを見て私は「はて?」と首を傾げる。
「家?」
というか、コンクリートブロックで作られた四角柱。
家と思ったのは、そこに扉があったからだ。
扉があるという事は、そこから内部に侵入する事が出来るという事。
……良く分からないけど、もしかしたら重要な発見があるかもしれない。
そう思った私は慎重に扉のところまで歩いていき、しかしそこで扉にディスプレイがある事を発見する。
ご丁寧に十字キーとボタンがあり、まるでゲーム機の様だ。
しかしそれが付けられている理由に関しては一つしかないだろう。
つまり、これって暗証番号……パスワードを入力しないと入れないタイプの扉なのでは?
「うーん……」
そんなの思い当たる節もないのだが、とはいえ適当に操作してみようと思いボタンの一つを試しにぽちりと押してみる。
するとディスプレイに電源が入り――そこに長方形がまず表示されるのだった。
そして次に上の方に「L」字型に並んだ四角形が現れ、そしてそれはゆっくりと下に落ちていく。
……十字キーを押してみると左右に動かせて、下にも動かせ上には動かせない。
ついでに、丸いボタンを押してみると四角形が回転した。
「……って」
テト〇スじゃねーか!!!!
ていうか何故にテ〇リス……????
よ、良く分からないけどこれをクリアすれば良いのか?
冷や汗を流しつつ落ちてくるブロック達を捌いていくこと数分。
「ぴー」という音と共に扉の向こうから「がちゃ」という音がし、試しにドアを引いてみると思った以上に軽い感じに扉が開いた。
「な、なんだったんだ……」
とりあえず、扉は開いた。
……中に、入ろう。
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