第5話 マールの想い ―side マール―
わたくしには、青天の霹靂でございました。
「アーク。ここらでどうだ?」
「……そうだな」
あのSS級ダンジョンクリア直後に、言い渡された追放の言葉が。
どうもギルドや人目に付く場所では、もし他人に聞かれては、わたくしの立場に影響があると考えて、ここらでという配慮のようですが、あなた達は間違っています。この森も魔物が出て危険なのですよ。
こんな時なのに、やっぱり抜けているアーク様、ドイル様、ミミちゃん。
わたくしは、このパーティーが好きでした。すごく楽しかったから。
だからまさかここでこの場面で、こんな事言われるとは思っていませんでした。
「君は聖女と言う立場でありながら、その豊満な身体を利用して毎晩男を
「ギルド内でも噂になっているんだ。『華麗な
風紀勇者のアーク様からすれば、涙を飲んで、三下り半を下す決断だったのでしょう。
わたしが意外とパーティーに、貢献しているのを重々知っている上でのことですので。
でも、誤解なのです。
アーク様達の天然っぷりが、まさかこんな場面で牙をむくなんて……
「アーク。ここで嘘かほんとかを知るには、マールの股を調べれば、すぐわかるんじゃねーか? 本物の聖女ならまだ未使用のはずだ」
わたくしはそれで、無実の証明が出来るのであれば、それも厭わない気でおりました。
だってこのパーティーほんとに好きでしたので。
ドイル様も、はしたない気持ちで言ってはいないと思いますわ。
そこへ、あなたは現れてくれました。
そして、烈火のごとく口撃のみで、わたくしを窮地から救ってくれたのです。
――麗しのクロード様。
わたくしには輝く王子様にしか見えませんでした。
そして勇気を振り絞り出てきてくれたリーシャ様。
「あなた方! お一人を寄ってたかって虐めて、恥ずかしいとお思いにならないのですか?」
正義感が強くて素敵な方なんですね。
そのリーシャ様が、王子様のような眼でみるクロード様。
わたくしにも、そう見えました。
全てを導いてくれる王子様。
この人について行きたい。
一目惚れかもしれません。
そして最初で最後の大恋愛かもしれません。
だって聖女にとっての恋は、特別な物なのですから。
そんなクロード様が放ったお言葉。
「これだけは自信を持って言えます。あなたは清楚な聖女様です!」
……もう……どうしようもなくお慕い申し上げます。
クロード様。恰好が良くてそれでも、困り顔の時はすごくかわいくて、愛くるしくて……
キュンキュンします。
――こんな気持ちになれた事。そしてこんな王子様に出会わせてくれたあのおとぼけパーティーには、不謹慎ですが、やっぱり少しだけ感謝しちゃいました。
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