第13話 ドラニア地方2



ドラゴンジャムを買ったあと。

今度はパンが欲しいとのこと。

本当にワガママだ。

だが、このまま放っておいてもめんどくさくなるだけである。

仕方ないので、すぐ近くにあったパン屋さんを訪れた。


「どれくらい食べたいの?」

「一斤を五個くらい」

「五個!?さすがに入らないよ…」


一斤五個は、さすがにリュックサックに入らないし、しかも食べきれない。

しかし一斤という要望は満たす。

五枚いりの食パンを買った。


♢♢♢


「ありがとうございましたー」


手提げ袋には、一斤の食パンが。

「余計な買い物をした気がする…」

意外と重たいし。

どうせ、水助はリュックサックの中で寝ているんだろうな。うらやましい。


再び、フルールは歩き出した。


さて、どこに行こうか。

街並みを見渡すと、服屋や食料屋など、フルールがもともといた街と少し似ている。

(あんまり変わらないもんだな)

そんなことを思いながら進んで行くと、一つの服屋に目が留まった。


スライムのモチーフの服屋さんか...。


窓ガラス越しに飾られているTシャツは、水助そっくりなスライムの絵が描かれている。

可愛い。

欲しい。

フルールは、その服屋に入った。



「お客さん美人ですね~、エルフですかぁ?」

「え、まあ、そんなとこです」

「お姉さんは細いから、こんなのも似合っていますよ~♡」

「いや、さすがにこれはちょっと…」


スカートの丈が短い服を差し出され、フルールは断った。

こんな露出が高いの、着るわけない。

それよりも、あの、飾られてあったスライムのTシャツが欲しい。

「あのTシャツは売っていないんですか?」

フルールは、飾られてあったTシャツを指さした。

店員さんはそれに目を移すと、「ああ、あれですね!」とうなずいた。

「もちろんご用意しております!こちらになります~」


店員さんは、二着のTシャツを手に持った。


一つは真っ黒、一つは真っ白。

どちらも、真ん中にスライムが描かれていた。

可愛い。

フルールの理性が破壊されそうになる。


(水助と出会ってから思うけど…なんか、スライムが好きになって気がする)


ふと、そう思った。

黒と白、どちらもカワイイ。


フルールは選びきれず、「どちらも」と思い切って言った。


☆おまけ☆

スライムのTシャツを買って、ルンルンとしながら外に出た。

もぞもぞと、水助が顔を出す。

そして、買ったばかりのTシャツを見て、言った。


「フルールこそ、余計な買い物してんじゃねぇのか?」


「げっ…」


(確かに…)

と、思ったフルールであった。








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