第13話
「お前、いつまでいるんだよ」
光輝は金魚に餌をやりながら言った。
こいつは昔から金魚すくいが得意らしく、毎年夏祭りで金魚を持って帰るのが恒例だそうだ。今年の夏も一人で夏祭りに行き、一人ですくい持って帰ったという変なやつなのだ。
「んー……」
俺は返事を濁してテレビのリモコンをいじる。
「どうせお前が怒らせたんだろ? うだうだしてないで仲直りしろよ。あーあ俺なら絶対幸せにしてやれるのになー。なんでお前にはできて俺には彼女できないんだろうなー」
そりゃお前、鏡を見たらわかるだろ。家に置いてもらってる恩があるから言わないけど。
アイコさんとのこれからのこと、誰かに相談したくて光輝の家に行ったのに、どうしたらいいのか分からなくてダラダラと時間だけが過ぎ、今に至る。
結局アイコさんは俺のことなんて好きじゃなかったんだ。
料理だってエロいことだって、ただ俺が心の中で望んでいたことをしてくれていただけだったんだ。
なんなんだよチクショー。俺ばっかり好きでバカみたいじゃん。
俺は持っていた漫画を床に置き、うつ伏せに寝転んだ。
あれ、でもこれってアイコさんに何の得があるんだ……?
俺はふと疑問が頭に浮かび、顔を上げた。
最初考えたアイコさん悪魔説も乗っ取り説も、なんか違う気がする。
だって俺ぴんぴんしてるし。それに、アイコさんという超常的な存在を認めておいてなんだけど、そういった説はぶっ飛び過ぎている気がする。
「だめだわかんねー…… もう考えたくない、なーキン子」
「金魚に変な名前つけんな」
あの狭い部屋でアイコさんは今、なにをしているのだろう。
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もしここまで読んでくださった方がいらっしゃったら本当にありがとうございます…!
応援のハート、いつもとても嬉しいです^^ 私の文章なんて誰も見ないだろうと思っていたので反応があった時はとても驚きました。
こういった創作の世界では作者は出しゃばらない方がいいのかなと思っていましたが、どうしても感謝を伝えたく想いをしたためました。
ショウタロウ編、もう少し続きます。そのあとも主人公が変わって続いていく予定です。
ネットに小説を上げることが初めてなので至らない点多々あるかと思いますが、都度ご指摘いただけると幸いです。
よろしくお願いします!
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