第12話 学園購買部までの対決
学園内の購買部には色々な商品が置かれている。
中には数個限定の商品もある事から、ほぼ毎日争奪戦みたいな状況になる時もあるのだ。
特に板チョコ入りのメロンパンが人気だった。
刹那、チャイムが鳴り響く。
「今日も負けないから」
隣の席に座っている
自信に満ち溢れた表情である。
授業終わりの挨拶が終わった瞬間から彼女は席を立つ。
二人は教室を後に走り出したのだ。
二人は他の教室から人が出てきても立ち止まる事無く、昼休みにだけ解放されている校舎の一階の購買部へとダッシュする。
彰吾は現役の陸上部だが、望は元陸上部なのである。
彰吾の方が有利なはずなのに、曲がり角のところで大幅に距離を取られてしまっていたのだ。
だが、こんなところで限定商品を奪われたくないと思い、全身全霊で廊下を走りぬける。
勢いもあった事で、望との距離が縮んでいく。
何とか同じラインにはたどり着けたものの、購買部に入った時から彰吾の方が若干遅かったのだ。
けれど、勢いよくジャンプして購買部内の限定商品である板チョコ入りメロンパンを、転びながらも手にしたのである。
「こ、今回は俺の勝ちだね」
彰吾は転びながらもグッとサインを見せた。
「もう、あと少しだったのに。でも、しょうがないわね。今回はあなたに譲るわ。明日は負けるつもりはないからね」
――と、望はライバル視している彰吾に爽やかに言い放ったのだ。
学園系ラブコメの”ショートショート作品”集(SS作品)Season2 譲羽唯月 @UitukiSiranui
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