第11話 俺はただ平凡に過ごしたいだけなんだ…
高校生の
アパートの天井には大きな穴が開き、その真下にはドレスを身に纏った、いわゆる美少女がいる。
「え、え? 何事⁉」
アパートの天井に大きく空いた現状を二度見、いや、三度見してしまう。
「ご、ごめん」
「え⁉ そ、それだけ⁉」
あまりにもあっさりとした謝罪に元は声を出せなくなっていた。
「というか、君は一体誰?」
元は咄嗟に立ち上がり、その床に座っている彼女を指さす。
「わ、私はローランド世界からやって来たものだ」
「ローランド?」
「そうだ、二つの国があって、そこから来たと思う」
「思うって、わからないの?」
「うん。お城の部屋に入った瞬間、空に移動して、そのまま落下した感じだと思うの」
彼女はぶつけたところを片手でこすり、その場によろっとしながらも立ち上がる。
「痛くなかった?」
「私は大丈夫だ」
「そ、そうか。ならいいんだけど」
「というか、この天井の件だが、すぐに直す」
元が首を傾げていると、彼女は天井へ指を示す。
すると、みるみるうちに、その壊れた天井が修復されていく。
「これでどうだ? 問題ないだろ」
「そ、そうだね。で、でも、えっと、ローランドだっけ。その場所にどうやって戻るんだ?」
「それは……わからない。でも、何かをすれば戻れるかもしれないし。まあ、何かの縁だと思って私の仲間になれ」
「え? 俺が?」
「私の名は、カルラ=マリアーニだ」
元はただ普通に生活したいだけだった。が、平凡に過ごす事自体が不可能なのかもしれない。
元は意味が分からない国からやって来た子を放置するわけにもいかず、仕方なく一緒に行動する事にしたのであった。
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