第8話 クラスメイトの彼女の趣味は、エッらしい
学校にいる
中庭から少し進んだところに、あまり人が訪れない静かなスポットがある。
律樹は気分転換のために、そこへ向かっていたのだ。
そこは裏庭であり、校舎の影になっている事で比較的涼しい環境が広がっていた。
ん?
よく見ると、裏庭に設置されたベンチに座り、スケッチブックを持ち、何かを描いている子がいる事に気づいたのだ。
背後から伺うに多分、彼女はクラスメイトの
律樹は背後から近づき、遥のスケッチブックを覗き込んでみると、それは風景的な描写ではなく、エッチなイラスト。
全裸の男女がキスをしているという、かなりハードな内容であった。
「え?」
「――ッ⁉ え、み、見たの? あなた、これを見たの⁉」
遥はスケッチブックを胸元で隠し、頬を真っ赤にしたまま近くにいる律樹の事を睨んでいた。
「ご、ごめん」
「と、というか、な、なんであなたがここに⁉」
「たまに訪れる場所で……えっと……ほ、本当にたまたまで」
「で、でも、いきなり覗き込むなんて、ヘンタイッ!」
相当エッチなイラストを学校の敷地内で描いている遥も悪いが、何も話しかけずに覗き込んでしまった律樹も悪い。
「ね、ねえ、約束してほしいんだけど……今見た事は全部忘れてほしいの! というか、誰にも言わないでね」
「わ、分かった、約束するよ」
「本当に、絶対に約束だからね! 絶対だからねッ!」
彼女は律樹に対して強い視線を向けたまま何度も忠告している。
今日の昼休みは、おちおちとここでは休めそうもなかった。
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