第7話 今日の放課後は何かが違う

 学校終わりの放課後。林真幸はやし/まさきは街中のハンバーガー店内にいた。

 目の前にあるメニュー表を見て、会計エリアのところで悩んでいたのである。


「何か決まった?」


 隣から話しかけてきたのは、たまたま今日だけ帰宅する事になった年上の先輩である。

 彼女はモデル並みにスタイルが良く、黒髪のショートヘアスタイルが魅力的で学園内でも、かなり有名な水野飛鳥みずの/あすか先輩だ。


 なぜ、彼女の方から話しかけてきたかは真意不明だが、以前から意識していた先輩と一緒の時間を過ごせていて、若干緊張しがちだった。


 その影響もあってか、ハンバーガー店に入ってから、周りにいる人から視線を向けられる事も多々あったのだ。


「ちょっと考えている途中で」


 真幸が横目で飛鳥先輩の方を見やると、先輩の胸元が視界に入る。

 その瞬間に、卑猥な妄想が掻き立てられるのだ。


 高校生とは思えないほどの大きさがあり、目のやり場に困る。


「どうかした?」

「い、いいえ」


 飛鳥先輩は全然気づいていないらしい。

 真幸が先輩の胸元を見ていた事に――


 真幸は軽く咳払いをし、再度メニュー表へと視線を移す。


「えっとね、私はチキン系のハンバーガーにしよっかな。すいません、このチキンバーガーのセットでお願いします」


 飛鳥先輩は指先でメニュー表の写真のところを示し、店員に詳細な注文を行っていた。


「じゃ、じゃあ、俺は、このビッグ系のハンバーガーのセットで!」


 真幸は勢い任せで発言する。

 本当はテリヤキ系にしようと思っていたのだが、気づけば別の商品を注文していたのだ。

 さっき視界に入った先輩の胸元に意識を取られ、普段は注文しないビッグ系のハンバーガーを注文してしまったのだろう。


 会計は終えたものの、真幸は変な気恥ずかしさに襲われ、飛鳥先輩の方を真正面から見る事が出来なくなっていた。

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