第5話 俺らの部活が廃部に⁉

 平日の放課後。部員らは最大級のピンチを迎えていた。

 三人は別校舎内の部室にいて、長テーブルを囲うように席に座り、悩んでいる。

 今の部室は、暗いオーラで包み込まれているようだった。


「それで……今日までの事は決まった?」


 部長であり、二年生の横井文乃よこい/ふみのが震えた声で言う。


「いや、全然です……」


 部員の一人である、北沢朱夏きたざわ/あすかが答える。

 その子も声が震えていた。


「そ、そうか……それで、あんたは?」


 部長の、次なる視線は奥村昴おくむら/すばるへと向けられていた。


「いいえ、全然、何も」

「……まあ、あんたには期待してないけど」

「それは酷い気が」

「それはそうと、わかってるわよね。良い案が浮かばなかったから、この部活は廃部になるのよ」


 三人は同じく二年生であり。三人が所属している部活というのは、新聞部。

 今の時代、学校の活動だったとしても、ネット部による記事の作成により、学校の掲示板などで掲載できる。

 新聞部の活動自体が、時代に合っていないのだ。

 ネット部の活動が活発化していく中で、新聞部の存在を維持する事は、ほぼ不可能に近いだろう。


「で、でも、一つだけ提案があります!」


 昴は二人の前で椅子から立ち上がり、真剣な瞳を見せながら勇気を持って発言する。


「な、なによ、あんたのくせに」


 部長が席に座ったまま、驚き、体をビクつかせていた。


「それで、どういう内容?」

「部費を気にしなければ活動を続けられるんですよね?」

「そうよ。でも、まさか、そういう提案じゃないでしょうね」

「俺はそのつもりです」

「は? 正気なの? それだと自腹で活動ってことじゃない!」

「はい」

「んッ……そ、それは……」


 部長が苦虫を噛みしめた顔つきで悩んでいると――


「そ、それがいいかもしれです。むしろ、それしか生き残る方法がないのなら」


 朱夏は昴の意見に賛同してくれていた。


「で、では、俺。行ってきます。生徒会室に――」


 強大な敵に立ち向かって行くように、昴は新聞部の部室を後にするのだった。

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