第3話 久しぶりに会った幼馴染の――がデカい気がする

 朝。椎風幸則ついかぜ/ゆきのりは自宅を後に、同じ学校指定の制服を身につけた人らがいる通学路を歩き、学校へと向かっていた。

 普段から一人で登校しているが、今日はたまたま十字路のところで幼馴染と出会った。


 学校指定の制服を身につけた幼馴染――河合由真かわい/ゆま


 幼馴染ではあるのだが、彼女とは久しぶりに会った気がする。

 高校生になってからはクラスも違い、友人関係も大きく変わってしまっていた。


 急に出会っても、自発的に話しかけられずにいたのだが――


「……おはよう」


 由真の方から近づいて来て、小さい声で挨拶してきた。

 幸則よりも十センチほど背丈の低い彼女は頬を紅潮させ、少々照れている。

 久しぶりに出会うと、いくら幼馴染であっても緊張するものだ。


「お、おはよう……」


 幸則も緊張した面持ちで返答する。

 あまり見ない内に中学の頃と比べ、彼女のスタイルが大きく変わった気がする。

 その上、色々とデカい。


「い、今から登校?」

「そうだよ」


 二人は出会うなり、横に並んで通学路を歩き始めた。


「い、いつもは何時ごろに出てるの?」

「えっとね……今の時間より、十分くらい早い時間かな」


 由真が歩く度、その豊満な胸が揺れ動いている。


「へ、へえ、そうなんだ。今日はたまたま遅れたとか?」

「そうだね。ちょっと寝坊しちゃって」


 由真は照れ臭そうに話す。

 彼女からの自然体な笑みを向けられ、幸則はドキッとしていたのだ。


 こ、これは、ただの幼馴染であって……。


 幸則は何度も自身の感情を誤魔化そうとしていた。

 だが、隣を歩いている彼女の胸ばかりに視線がいく。

 彼女の事が気になってしょうがなかったのだ。


 そろそろ、自分の気持ちには素直になった方がいいと思った。


 高校生になり、由真は魅力的になっている。自分の方から話しかけて行かないと、今後、彼女が別の誰かに奪われてしまうかもしれない。

 だから、今後は自分の方から話しかけて行こうと決意を固めるのだった。

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