第2話 学校一の美貌を持つ彼女がやりたい配信とは?

「私、動画配信者になりたいの!」


 ある日の放課後。学校一の美少女の家に訪れていた東安吾あずま/あんごは、彼女から、そういった誘いの言葉を受けていた。


 二人は部屋にいて、小さなテーブルを挟み、正座して向き合っていた。


 美少女な彼女――音瀬梨華おとせ/りかは、学校内でも一二を争うほどの美貌の持ち主である。

 普段から手入れされているショートヘアな髪質がとても綺麗なのだ。


 動画配信……?

 一体、どんな配信内容にするんだ?


 やっぱり、見た目を生かした美容系なのかな?


 色々な思惑が交差する中、安吾は正座したままソワソワしていた。

 美少女な彼女が勇気を持って本音で打ち明けてきたのだ。

 それに、彼女と接点を持てるのならば、どんな関係性でもいいと思っていた。


「それで、どんな配信内容にするの?」

「それはね、もう決まってて」


 そう言いながら、梨華は部屋の押し入れから取り出した機材を見せてきた。

 それは人の頭部をしたグレー色のグッズであり、安吾もどこかで見たことがある。


「もしかして……ASMR的な?」

「そうそう、そういうの!」


 グッズとなる頭部に対し、耳元で囁いたりして、視聴者をリラックスさせるという配信内容だった。


 まさかの配信内容が、ASMR⁉

 び、美容系ではない⁉


「ねえ、お願いできるかな? 私、こういうの初めてで、一緒に手伝ってほしいの」

「えっと……俺は何をすれば?」

「ただ、私の囁きを聞いてくれればいいから」


 梨華は恥じらいを持って言う。


「そ、それだけでいいの?」

「うん、そうだよ」


 戸惑いを隠せなかったが、一応、安吾は首を縦に動かしておいた。


 梨華との最初の共同作業が、ASMRによる囁き配信の実験体とは想像もしていなかったが、彼女と密着しながら共に過ごせるなら、やっぱり、何だっていい。


 安吾は卑猥な妄想を膨らませながらも、彼女とのこれからの事について、顔に出さない程度に内心にやついていたのだった。

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