学園系ラブコメの”ショートショート作品”集(SS作品)Season2

譲羽唯月

第1話 俺のクラスメイトは、髪型に拘りがあるらしい?

 このクラスには、いつも髪型を変えて登校してくる子がいる。

 その子は例えば、ショートヘアだったり、シュシュでポニーテイルヘアにしていたりと、その日によって変わる。


 高校二年生の高橋達也たかはし/たつやはその子に対して、関心を抱いていたのだ。

 放課後に一緒に遊べる関係性くらいにはなりたいと日々思っていたのだが、なかなか勇気を出せず、単なるクラスメイト止まりになっていた。


 そして今、朝のHRが始まる前に教室へと入ってきた彼女――山田瑠美奈やまだ/るみなの今日の髪型は、双方に分けたツインテールヘアスタイルだった。

 同顔という事も相まって普段よりも普通に可愛らしく見える。


「おはよう!」


 留美奈からいつも通りに明るい口調で話しかけられた。


 席に座っている達也はそれに応じるように、隣の席である彼女に返答しておいたのだ。


「そう言えば、いつも髪型違うよね」

「そうだよ。今日はツインテールなんだよね」


 席に座った彼女は、達也の方へ体の正面を向けると、笑顔で答えてくれる。


「高橋君的に、私の髪型は似合ってるかな?」


 留美奈は両手で、それぞれのツインテールの先端部分を触りながら聞いてきた。


「似合ってると思うよ」


 お世辞でもなく、それは率直な感想であり、瑠美奈は笑みを零していたのだ。

 そんな表情を朝から見られただけでも嬉しかった。


「そう言えば、両方の色が違うね」


 達也は彼女の頭上を見て、気づいたことがあった。


「そうなんだよね。片方の輪ゴムだけ無くしちゃって。でも、同じ色のが無くて。色々なお店で探している最中なんだよね」

「そうなのか。アレ? そう言えば、それと同じのが、どっかで売っていたような……そうか、あの店屋に売ってた!」

「あるの?」

「じゃあさ……今日、一緒にそこに行く?」

「うん」


 瑠美奈は目をぱっちりと見開きながら元気よく返答をしてくれていた。

 彼女と一緒に帰宅する約束を交わし、達也は内心、放課後が楽しみで待ち遠しくなっていたのだ。

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