第6話 異世界のものを呼ぶ儀式
異世界のものを呼ぶ方法はご存じでしょうか。僕の住む地域では、とある儀式が噂として広まっています。それは最近のことですが、儀式自体は昔から存在したようです。なんだか不気味ですね。
この儀式で何が呼び出されるか。それは儀式を、おこなった後にしか分からないそうです。だから、この文章を読んだ後でも儀式を試そうというのは僕からはおすすめしません。なにも起こらなければ良いですが、儀式が成功した場合、録でもないことになる気がします。
さて、儀式の概要を伝えます。まずバケツを用意します。これは木の桶でも代用できるそうです。形が重要なのでしょうか。とにかく、バケツか木の桶を用意します。それ以外の入れ物だと失敗するそうです。不思議ですね。
入れ物を用意したら、次は中に入れるものを用意します。これにはぬいぐるみを使うと良いと聞きました。それ以外の人形でも良いとのことですが、必ず中に米を詰めること。この米は何を意味するのか。内蔵か何かでしょうか。そう思うと気持ち悪くも感じます。
米を詰めた人形の中には【人】という文字の書かれた紙を一緒に入れてください。そうして【人】という文字の書かれた紙をもう一枚用意してください。これは後で使います。これらの紙はお札のようなものなのでしょうか。僕、子どものころからお札って苦手です。神秘的なイメージもありますけど、同時に得体の知れなさもありますから。
入れ物に人形を入れ蓋をしたら、供え物を用意します。供え物には肉や菓子が望ましく、それ以外の物であれば食べられるもの、あるいは花を用意してください。これらは異世界のものをお迎えする際、いただいてもらうのだとか。やっぱり、僕は異世界のものを呼び出したいとは思いません。不気味ですもの。
入れ物と人形、供え物を用意したら、儀式の準備は、ほとんど終了です。お疲れ様です。あとは眠る時に【人】と書かれた紙を握り、異世界のものと交信を試みてください。夢の中で異世界のものと会えたなら儀式は、ほぼ成功。こうなると自分の意思では後戻りできなくなります。嫌ですね。嫌じゃないですか?
翌朝起きた時、握っていたはずの紙が無くなり、入れ物の中の人形が異世界のものと入れ替わっていれば儀式は成功です。こちらの世界に何かが、やって来ています。
何度も言いますが僕はこの儀式を、おこなうことはおすすめしません。何かろくでもないことになる気がするからです。
それでも実行するというのであれば、僕は一切の責任を持ちません。
あしからず。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます