第47話 僕は最後の一人に復讐した。

 Aoiちゃんと遊ぶのは1回では終わらない。すぐにAoiちゃんを指名して次週の予約を取った。その後もほぼ毎週ペースで3回指名し、4回目に90分で遊んだ時の出来事だ。この時もオプションは制服「コスプレ」を付けた。

 お店から同じラブホテルを指定されてAoiちゃんをデリしてもらうと「毎回ご指名ありがとうございます。」と喜んでくれて、二人で世間話をしながらシャワーを浴びて、僕は全裸、Aoiちゃんは制服姿でベッドに添い寝した。Aoiちゃんも僕の事を“太い客”と認めてくれているのか、だいぶ懐いてくれている。

 「イクヤさんは制服が好きなんですね。」

 「そうなんだよ。高校時代に彼女や女友達と学校で気持ち良い事をした思い出があってね。」もちろん嘘だ。

 「へえ、聞きたーい。教えて。」

 「うーん、例えば、彼女と教室でエッチしたり、女友達に放課後、手で抜いてもらったりとか。Aoiちゃんも学校で青春してたんだろ?」

 「今も昔も一緒なんですね。ウチも夜の教室や保健室でエッチしましたよ。後始末がちょっと心配だけど、スリルがあって楽しいですよね。」

 「そうそう。セックスはコンドームを捨てたらいいし、手だと飛んだのを拭き取ればいいだけだけど、フェラが一番面倒だよね。だから僕はフェラはあまり頼まなかったし、彼女や女友達も進んでフェラする子はいなかったな。」

 「そうなんですよ。男の人は分からないと思いますけど、あれって結構疲れるし、放課後や部活後だと臭い時とかあるんですよね。あと、口に出されても外に出されても後始末に困っちゃうし。」

 「ははは。だから僕は女友達には手でイカせてもらって、ティッシュに出すようにしてたよ。」

 「イクヤさん、紳士じゃないですか。」

 「そうだろ。ぐふふ。」

 「彼女さんってどんな人だったんですか?」

 「彼女?…は、吹奏楽部で部活を頑張ってる子やったで。勉強もできて女の子らしい柔らかい身体で笑顔が可愛かったわ。僕は部活とかやってなかったけど、彼女の部活終わりに教室や保健室でイチャイチャとしてたんやで。」

 「えー、イチャイチャの中身も教えてくださいよ。」

 「教室だと全部脱がすと誰か来た時に大変だから、ブラウスはボタンを外すだけとか、スカートはめくり上げるだけでヤルだろ?机に手をついてもらってバックでヤルのが一番興奮するんや。」墓野くんの自慢話を参考にした。

 「分かるー。誰か部屋に入ってきたらどうしようとか、濡れて制服にシミが出来たらどうしようとか考えるんやけど、女も結構興奮しているんですよ。あれ。」

 「そうやろ。よぉ濡れとったもん。」

 「女友達さんとはどんな時に遊んだんですか?」

 「授業のノート見せてあげたお礼とかで、手で気持ち良くしてくれた。まあ僕も胸やアソコを触ってパンツ湿らせたったけどな。」

 「イクヤさんカッコイイ。……ねえ、私もぶっちゃけて良いですか?」

 「いいよ。なに?」

 「イクヤさんのチンチンって臭いし、汁が苦いんだよね…。私って学生時代からフェラ苦手やったし、おじさんとキスするのってやっぱり嫌なんですよ~。…で、今日はフェラとキス無しでもいいですか?」バカなりに言葉を選びながら遠慮がちに言われた。

 「え…、他でイカせてくれるなら我慢するけど。」

 「そうくると思った。でも「フェラを拒否った」って、お店に告げ口とかも無しですよ。秘密を守ってくれますか?」

 「分かったよ。」

 「じゃあ♪……コレを買ってくれません?」Aoiちゃんがベッドから降りて鞄からコンドームを1つ取り出した。

 「それ、ゴム?」

 「そう。私、この前パチスロで6万円負けちゃって、今ちょっとピンチなんですよね…。口が堅いくて優しいおじさんなら、この意味分かってくれますよね?」コンドームを持ったままベッドに上がって来て、顔を近づけてくる。

 「ぐふふ、いくらなの?」

 「3万円。」というAoiちゃんの値段を聞いて、今度は僕がベッドから降り、マジックテープの財布を開いて1万円札を3枚取り出した。

 「イクヤさんありがとう。助かる~。もう一回言いますけどお店にもSNSでも内緒ですよ。」

 「もちろん。お店に知られると僕の方も何されるか分からないし。」

 「そうだよね。もしもバレたら、私はお客さんに無理やり襲われたって嘘つくから。」

 「ひどいなぁ。」

 「じゃあ、ちゃんと秘密を守ってよ。」Aoiちゃんはベッドの上で、スカートの中に手を入れ自分でターコイズブルーのパンティを脱いだ。僕は3万円と引き換えにAoiちゃんからコンドームを受け取り、自分で装着してAoiちゃんに入れる。

 「なあAoiちゃん、今だけ「ナオミ」って呼んでいい?元カノの名前なんだ。」

 「いいですよ。私も恋人っぽくイクヤって呼んであげましょうか?」

 「いいね。ついでに「気持ち良い」とか「イキそう」とかも付けてよ。」

 「ははは。まぁ、いいですよ。」Aoiちゃんと正常位でセックスをした。36歳の僕が高校時代のクラスメイトの娘にチンポを突き刺している。顔や背格好が似ているし、胸は18歳の娘の方が大きいくらいだ。ほんの少し濡れているし穴の具合もいい。たぶん高校時代に枯林さん本人とセックスできていたらもっと興奮しただろうと思いながら「ナオミ」と連呼して腰を振り、Aoiちゃんも「イクヤ、気持ち良い」とか「んんー、イキそう」と気持ちよさそうな演技をしてくれて、大興奮で果てることができた。Aoiちゃんはやはり頭が悪いのか「ナオミ」が自分の母親の名前と結びつかなかったようだ。

 ちなみに、これで素人とするのは8人目だ。Aoiちゃんはデリヘル嬢だが、本来はセックスNGの子なので素人にカウントに入れても良いだろう。


 事後、二人でシャワーを浴びた。

 「イクヤさん久しぶりだったんですか?ゴムの中めっちゃ出てましたよ。」

 「まあ、久しぶりっちゃあ久しぶりやな。」元クラスメイトの娘としたのだから興奮したに決まっている。

 「だからかな~。なんか腰の動きはぎこちないし、体位変えるのももたついていましたよねー?演技するのキツかったですよ。」

 「そ…そうやったん。まあ初回やし手加減したってんけどな。」

 「えー、本気でヤってくれても良かったのに。イクヤさんのって小さいからもっと来てくれても痛くなかったですよ。あれなら自分でオナニーした方がましなレベルでした。…イクヤさんって、本当に学生時代からヤリまくってたんですか?」Aoiちゃんが不信の目で見てくる。

 「ホンマやって。30人以上経験あるもん。」もちろんソープ嬢を含めてだ。「フランキンセンス」のMioちゃん等ほんの2~3人をのぞいて、ほとんどは一人1回きりだから下手くそなのがバレたのだ。僕はセックス後に女性から怒られるという貴重な体験をしてしまった。愛し合う男女でも、ソープ嬢とお客でも女性からセックスについて面と向かって文句を言われるなんて経験は中々できないだろう。ましてや娘くらい年下の女の子からだ。

 「まあ、もうヤった後やしエエけど。イクヤさんって30代後半だっけ?こんなに年上とセックスしたの初めてやったし、私も珍しい体験ができたと思うようにするわ。」とAoiちゃんはあどけない表情で笑っていた。

 「僕はめっちゃ気持ち良かったよ。」

 「おおきに。でもまあ演技はともかく、フェラよりセックスの方がやっぱ楽やったわ~。」Aoiちゃんが両手を上に伸ばして伸びをしながらしみじみと言う。

 「Aoiちゃんさあ、風俗が面倒で割り切ったセックスが楽なら「YORIMITI」って言う社交クラブを知ってる?行ってみたら?」

 「何なんですか、それ?」

 「フェラやキスも無しで、単純に男が女の穴に入れて出すだけの割り切ったセックスで女の人はお金がもらえるんだよ。」

 「へえ、面白そう。…教えてよ。」

 僕はデリヘル嬢になった枯林さんの娘と遊び、裏オプでセックスをして、別の売春の場を教えてあげた。果たしてこれが枯林さんへの復讐と言えるかどうかは微妙だが、いつか本人がこの事実を娘から聞かされたら、心理的ダメージを受けることは間違いない。


 これが僕の頭頂部の毛が少し薄くなり、髪をかき上げるとフケともホコリとも分からない白い粉が舞い上がるようになった36歳の春の話だが、職場でも後の僕の人生に大きな影響を与える出来事があった。4月の人事異動で地味田歩々未(ジミタ ホホミ)さんが僕のいるクリーンセンターへ異動してきて、席を並べて仕事する事になったのだ。異動当初こそ僕を「主任」と呼び、色々と話しかけてくれたが、僕が仕事のできないポンコツだと分かってくると、「有尾さん、真面目に仕事をしてください」と口煩い優等生となった。しかも僕の言動が「セクハラで不快だ」と他の女性職員と結託して僕を攻撃するようになり、僕は地味田さんの弱みを握るため彼女が一人暮らしをしている部屋を「bug」で監視をするようになった。

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