第44話 僕達は調査状況を聞き出せた。
「さあ、少しは考えが変わったかな?俺達が本気だって分かったでしょ。」セックス後、縛られ着衣が乱れたままスンスン泣き止まない積山さんに信也が問いかける。しかし積山さんは「地獄へ堕ちろ」とボソっと言っただけだった。
「地獄へは行けないなぁ。何故ならそんな場所は無いから。強いて言えば神への不信、無理解から本来の姿に比べて卑小な在り方。それが地獄だよ。」
「違うわ。あなた達のような鬼畜には必ず天罰が下る。」
「そこまで信仰心や愛社精神が厚い人だと思ってなかったよ。積山さんだって「仏様が見ている」と言いながら、朽木エリカのあら探しをして、面白おかしく記事に書いて貶めているじゃないか。積山さんにはバチが当たらないのかな?」
「あの女は自業自得よ。私達に正義がある。」
「面白い事を言うね。どうしてそんなに朽木エリカを目の敵にする?エリカが自業自得と言う理由を聞かせてもらおうか。…何を知っている?」信也が聞いても積山さんは顔を背けて黙り込んだ。信也から目配せがあり、また僕の出番だ。僕は積山さんの鞄からスマホを取り出し、数珠を手首に付けている左手の指を使って生体認証ロックを解除した。カメラアプリを起動し、積山さんが写っている事を確認して信也に手渡した。
僕は全裸になり積山さんが転がっているベッドへ再度上がった。前回の僕の唾液や積山さんの股間のヌメヌメが拭き取られておらず乾き始め、少し匂いがしている。
「何で撮ってるの?止めて。」
「今だけ、自分だけ我慢すれば何もなかった事にできると思ってるでしょ?残念だけど君が喋らなくても他の編集部員に聞くだけだ。これから撮る動画はその時に脅す材料として使わせてもらうよ。…じゃあ、2回目を始めちゃって。」信也が僕にGOサインを出した。
「処女だって先に言ってくれたら、もっとアソコで遊んだ後に入れたのに。」積山さんはさっきまで口では強い事を言っていたが、今は完全に怯えている。積山さんが太ももに力を入れて閉じてある両足の足首を青くんに上に持ち上げてもらって、僕は陰毛と割れ目を広げて観察してあげる。指で割れ目を左右に広げてトキ色のアソコに鼻をギリギリまで近づけると、湿った感じはしているが無臭だ。穴の入口にちょっと血が付いているが血の匂いはしない。
「恥ずかしいからもう止めて。」
「道代ちゃんが言う淫らな行為にはオナニーも入るのかな?自分でも触ってないでしょ。綺麗なアソコだね。ぐふふ。」
「何なのコイツ、本当に気持ち悪い。」積山さんが腰や足を動かして暴れるから落ち着いて遊べないので、僕は青くんに積山さんの足を下ろしてもらい、上から全身で体重をかけて乗った。僕より積山さんの方が背が低いようで、女の全身に僕が覆いかぶさるような格好だ。
「くっさ。」僕が積山さんのメガネに当たらないギリギリまで顔を近づけると眉間にシワを寄せながら言い放った。
「臭いとか気持ち悪いとか酷いなあ。仲良くしようよ。」ちょうど目の前に積山さんの顔が有るので、お近づきの印に僕からキスをしてあげる。積山さんは僕の唇から逃れようと顔を上下左右に動かすが、動かせる範囲なんてたかが知れている。唇同士のフレンチキスを数度してあげた後、口を固く閉じたままの積山さんの唇に上から唾を垂らしてあげた。積山さんは口を開けずに右横を向いたので僕の唾が唇から右頬へとこぼれて行った。僕は両手で積山さんの頬を挟んで正面に戻し、口周り、鼻の下、鼻孔、頬をゆっくり優しく舐めてあげた。積山さんは「ん~~~」と唸りながら最後は背伸びするように顎を上にあげて、僕の舌が顎や首に移るとまた右横を向いて「ヴォエ~」と女子らしからぬ声を出して何度かえずいて、涙と涎と鼻水を垂らした。
「はい、コレ。」信也が未開封のコンドームを渡してくれたので、一旦上半身を起こしてゴムを装着する。
「道代ちゃん、あっちを見てごらん。僕達が愛し合ってる姿を彼が撮ってくれているよ。」
「止めて、撮らないで。これが「愛し合ってる」ように見えるわけないじゃん。頭おかしいんじゃないの?」目に大粒の涙を浮かべて怯えながら信也に懇願した。
「失礼だな~、キスもセックスもした仲じゃないか。体の関係から恋愛に発展することもあるんだよ。」青くんに女を押さえてもらいながら積山さんの股間を力ずくで広げようとする。
「もう嫌だ。気持ち悪くて耐えられない。本当に止めて。…お願いだから助けて。」
「1回ヤって処女じゃなくなったんだから、2回も3回も同じでしょ。それとも調査の事は喋っちゃう?そしたら彼を止めてあげるよ。」信也がからかうように言うと
「……情報提供者よ。」女が早口に言った。
「なんだって?情報提供って誰の何の事だ。」信也が僕を手で制止して、積山さんに再度問いかけると
「情報提供者って言ったのよ。ネットの書き込みで「レディフーシェ」と名乗る人を見つけたの。情報提供をお願いして直に会って話をしてみたら、その子は朽木エリカの高校時代の友人で、名前は村野マミコだった。エリカは友達の名前をデートクラブの偽名に使っていたのよ。安直で適当な偽名を使ってくれたおかげで私達は朽木エリカが有明容疑者の言う「マミコ」だと確信できた。」
「なるほど、そんな単純な事で朽木エリカと「マミコ」が繋がったのか。クラブネームを考える時にそこまで深く考えなかったんだろうな。…情報提供者は村野マミコだけか?他にも東京に出てからのエリカの情報を補強する奴がいるだろう?」信也が重ねて問う。
「同じくネットの書き込みで「マヌカン=ヴァランセ」と名乗る人がいて、その情報提供者は朽木エリカと同じ芸能事務所「フレームズ」に所属する垂井蘭(タレイ ラン)というモデルだった。彼女にエリカの稼ぎが急に増えて私生活が変化した事や、芸能事務所での悪行を教えてもらったり、エリカがブランド物で着飾って外出している写真も撮ってもらった。」
「へえ~、芸能事務所内に内通者がいたのか。エリカって事務所では嫌われ者だったのかな。ははは。」
「話したんだからもういいでしょ。今すぐこの気持ち悪い男を何処かにやってシャワーを浴びさせてよ。」
「待て待て、まだ終わりじゃない。どうしてネルソンは執拗に朽木エリカを追いかけ回す?」
「売春で金儲けしているからよ。「女性が女性に憧れる」モデルだか何だか知らないけど、若い女の子があんなのに憧れて真似したら社会の風紀めちゃくちゃになるわ。…男だってそうよ。エリカのせいで金さえあれば女なんて何でも言う事を聞くと男に勘違いされたら善良な女性はいい迷惑だわ。」
「なるほど。それがネルソン編集部なりの正義か。そんな義憤に燃えてエリカを調査していたとはね。…でも、どうしてネルソン編集部は朽木エリカが死んだ今になってもデートクラブにバイトを潜入させてまで調査を続けている?ネルソンはエリカが「マミコ」と名乗って有明の旦那に売春していた事を掴んだんだろ。」
「どうして潜入調査の事を知ってるの?あなた達は何者?どこの手先?」
「俺達も仕事だって最初から言ってるじゃん。それより質問に答えろ。」
「…それは…。」積山さんは黙り込んで言葉を選んでいる。
「状況証拠しかない。かな?情報提供者や報道された警察証言からエリカが「マミコ」と名乗りデートクラブで売春をしていたと推測できるが、エリカは有明と出会う前からブランド品を買い漁れるほど稼いでいた。金額を考えれば有明以外にも何十人という男を相手に売春したはずなのに、実際に「マミコ」を買った男が有明以外に見つからない。つまり、エリカが売春をしていたという確たる証拠や証言が有明以外には無いんだ。」
「悔しいけどそのとおりよ。『独占』や『定期』っていう大金持ちが女を囲うふざけたシステムもあるらしいけど、マミコを買った下衆野郎が他に見つからない。」
「ネルソンの調査状況が良く分かったよ。ここからはお願いなんだけど、これ以上朽木エリカをほじくり返すのを止めてくれないかな。俺達は死人を出してもケガ人を出しても、おたくの調査を止めさせるように依頼を受けている。積山さん以外に犠牲者を増やさないためにも職場でよく話し合ってほしい。」
「だったら私じゃなくて、もっと上の人に言えばいいでしょ。」
「ははは、僕達も楽しく仕事したいからね。若い女の方が君の上に乗っている彼が喜ぶんだよ。じゃあ、僕達はこれで失礼するけど、積山さんのスマホはいただいて帰るね。」
「なんでよ。こんな事をして、あなた達ただじゃ済まないから…」積山さんが言い終わる前に信也が再度テーザーガンを使った。
後日発売された「ウイークリーネルソン」の朽木エリカ特集では、編集部が途中まで調べた調査内容を記事にしたものの決定的な証拠や証言が無いまま、編集部の見解として朽木エリカ=「マミコ」と結論付けていた。しかし、我々の脅しが効いたようで「編集部員に危険が迫っている」と言い訳をして中途半端なまま調査を打ち切っていた。なお、積山さんは僕に襲われたのにチカンにあったことにされていた。
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