第35話 僕は寄り道して遊んだ。

 偽装退会の不正をしていた児玉鈴さんのその後についても面白い。

 「鈴さんの方はどうする?お金が欲しくてパパ活していたのに、借金が増えちゃったね。」大沢コーディネーターが半笑いで聞くと

 「お金を支払うアテなんて有りませんから、クラブに戻ってお手当の中から少しずつお返しします。」

 「それだけじゃあ期日に間に合わないでしょ?300万円だよ。」

 「じゃあ、どうすれば良いんですか?…助けてください。」鈴さんは逆ギレしているのか態度が太々しい。

 「クラブの取引先というか懇意にしている方を案内してあげるよ。運良くいいお客に恵まれたら300万円くらい稼げるんじゃないかな。」

 「よく分からないけど、もうそれでいいです。」


 会員制の社交場「YORIMITI」。特に宣伝や広報をしていない隠れ家的な社交場のようだ。「ゼタバースクラブ」が運営しているのではなく、全くの別会社が運営しているが、時々「ゼタバースクラブ」から男性客や女性キャストの紹介をしたり、紹介されているらしい。男性客と女性キャストでピンと来た方もいるかもしれないが、ご想像のとおり風俗のようなものだ。

 社交場「YORIMITI」に数人の女性キャストがいて、来店した男性客がドリンクを飲みながら女性を選んで、後は近くのホテルで“休憩”する。ただ、この「YORIMITI」が変わっているのは、セックス“だけ”するという点だ。ホテルで女は着衣のまま最低限股間だけを露出し、男は必ずコンドームを着けてセックスする。女を全裸にしたり、男から女にキスや胸を触ったりできないし、逆に女から男にフェラをさせたりすることもできない。ただ単にチンチンをアソコに入れて気持ち良くなる。それだけだ。一般的な風俗店では、色々なサービスはあっても法令の関係上セックスだけはNGとなっているが、ここではセックスだけしかできない。男は手軽に手早く、まさに寄り道感覚でセックスできて、女も風俗特有のサービスをする必要が無いので、割り切る事さえできれば肉体的にも精神的にも楽で衛生的だ。男は1回(ただし最長でも60分以内)の行為が終われば、女に支払いをして帰るなり他の女と遊んでも良いし、女はお金を貰ってシャワーを浴びて「YORIMITI」の社交場に戻っても良いし、切り上げても良い。男も女もそれぞれのモチベーション次第だが回転率を上げて遊ぼう・稼ごうと思えば何度でも出来るし、1日1人しか客を取らないと自分で制限する事もできる。

 男性は紹介制で、既会員の2名以上からの紹介が無いと入会できないシステムになっており、会員になるハードルが高い。女性会員は自身や親の借金の返済、起業資金の調達、遊興費稼ぎなど色々とワケ有りの子ばかりで、客が付かないようなのは最低限面接で除外していているが質としてはピンキリだ。でも上質な女も多いらしい。美人OL鈴さんは大沢コーディネーターからの紹介で「YORIMITI」に通うことになったようだ。そして、今回の不正摘発を喜んでくれた大沢コーディネーターの取り計らいで僕は1か月間限定で「YORIMITI」の会員になる事ができた。


 早速僕は平日の夜にミナミまで足を伸ばして「YORIMITI」で遊んでみる。薄暗い場内はカウンター席とテーブル席が有り、男も女も数人ずついて男女で何やら話をしている人もいるし、一人でドリンクを飲みながらスマホを操作している人もいる。黒服の係員によると、カウンター席に座っているのは今日まだ手付かずの女で、テーブルに座っているのは既に誰かしらと1回以上遊んだ女らしい。テーブル席の背が高い女が気になったが別の男に話しかけられていたので、手付かずのカウンター席にいるOL風と学生風の女2人に話しかけてみた。仕事帰りなのか少し疲れているOL風は3万円、これからバンドの練習があるのであまり時間が無いという大学生風からは2万円を提示され、どうせなら若い方が良いので大学生風と遊ぶことにした。女には基本的に拒否権が無いので、誘えば付いてくる。

 大学生風の女はHarakoと名乗り、身長は僕と同じくらいだ。オタサーの姫のような童顔で、ダボダボのスウェットパンツに大き目のパーカーを羽織り、バンドではボーカルをしているらしく、よく通る声をしている。風俗店のように提携しているホテルが無いので適当に空いているラブホテルに入ると Harakoちゃんはパンツとヨレヨレのパンティも脱ぎ、下半身裸で上半身は薄い灰色のパーカーのみという不思議な格好になった。Harakoちゃんの無造作陰毛に素人感があり、すぐにチンチンが勃起した。


 僕は全裸になる。

 「全部脱いだんですね。私からは何もしませんよ。」Harakoちゃんは不愛想だ。

 「知ってるよ。でもHarakoちゃんも男の裸を見た方が興奮して濡れるだろ?」

 「いえ別に。逞しいスポーツマンならまだしも、ただの毛深いおっさんですからね。」

 「そうか、まあこっちは入りさえすればいいんだ。さっさとやろう。」

 「そうですね。」Harakoちゃんはベッドに上がり、自分で股を広げて正常位を受け入れる体勢をとったので、僕はコンドームを装着し望み通り正常位で入れてやった。風俗嬢以外とヤルのは2人目だ。やはりソープ嬢のようにスルッと入るのではなく、押し込むにせよ途中で引っ掛かる。濡れていない上に今日はまだ手付かずで穴が広がっていないからだろう。僕のチンチンで穴を押し広げながら刺し込む征服感がたまらない。Harakoちゃんは目を瞑ったまま顔をしかめている。

 「痛いのか?」

 「別に。」

 「ぐふふ。Harakoちゃんの穴はいい具合に締まるね。」僕は上から Harakoちゃんの肩を押さえて覆いかぶさるように体重をかけ、チンチンを全部入れた。

 「臭いから顔や体を近づけないで。」

 「何が臭いんだよ。」

 「口も、体臭もよ。おまけに毛深くてモソモソするし。」

 「僕だって仕事帰りなんだから仕方ないじゃないか。シャワーを浴びていないのはお互い様だろ。」

 「そうなんだけど…。バックに変えてもらっていいですか?」

 「はいはい。」僕はいったんチンチンを抜き、Harakoちゃんが四つん這いになった後、後ろから挿入して腰を振った。この女は15分程前に出会ったばかりの女子学生だ。ソープ嬢ではない素人の女がケツの穴もアソコの穴も丸出しにして身体を差し出していることに興奮が高まり、自ずと腰の動きも激しくなる。

 「ほら、気持ち良いだろ。我慢せずに声を出して良いんだよ。」

 「おっさん童貞?チンポさえ入れたら女は喜ぶなんて勘違いも良いところだわ。早く終わって。」デブではないが、柔らかく肉付きがよい色白のお尻を後ろから突いていると少し生臭い匂いがしだした。 Harakoちゃんは終始お尻を向けて前を向いているのでどんな表情なのか分からないが、たぶん不承不承穴を差し出し「早く終われ」と僕がイクのをジッと待ってるのだ。僕としてはできるだけ長く楽しみたいところだが一応は素人女なので、ちゃんとチンポが包まれている感覚があり、出し入れしていると気持ちが良い。普通に10分程でイクことができた。ホテルをチェックアウトする前に2万円を渡して僕は家に帰るが、Harakoちゃんはバンド練習の集合場所に向かうようだ。バンド仲間も自分達のボーカルがおじさんと一発ヤってから練習に来ているとは思わないだろう。


 日を改めて何度か「YORIMITI」に行った。ムラムラしていたというより不正を暴いてやった鈴ちゃんとヤリたかったからだ。そして4度目の訪問でやっと僕は鈴ちゃんと「YORIMITI」で遭遇することができた。残念ながらテーブル席に座っていて、既に誰かに遊ばれた後のようだが構わず声をかけて連れ出した。

 ラブホテルの部屋に入るなりスーツ姿の鈴ちゃんがキレ気味に問いかけてくる。

 「どうしてあなたがいるんですか?クラブの手先ですよね。」

 「お前達の不正を暴いたボーナスで期間限定会員になれたんだよ。」

 「そういう事ですか…。」

 「ほら、さっさと脱いでやらせろ。」鈴ちゃんは不機嫌な顔でスーツのスカート、黒のストッキング、紺色のパンティを脱いでベッドに上がる。

 「ぐふふ、やっぱり綺麗な足をしているな~。あの時バスローブ姿の鈴ちゃんを見て、興奮したんだよね。」

 「早く終わらせてください。」

 「こっちは鈴ちゃん会うために4回も「YORIMITI」に足を運んだんだぞ。もっと愛想良くしろよ。」

 「ここは風俗店じゃないんで。」

 「まあ確かに、今の鈴ちゃんは風俗以下の“ただの穴”だもんね。」コンドームを着けて入れてやるとスルッと入った。僕より先に何人とやったのか、前の奴と終わった後あまり時間が経っていないのか分からないがユルユルだ。

 「まだ綿貫さんとは続いているの?僕の方が若いから気持ち良いだろ。」

 「あんたのショボいのなんか綿貫さんと比べ物にならないわ。」

 「へえ~、あのおじさん見かけによらず大きいんだ。鈴ちゃんは大きいのが好きなエロい子なんだろ?」

 「静かにして。」

 「だから穴もこんなに緩いのかな?スルスル滑るだけで気持ち良くないんだけど。」

 「あんたのが小さいからよ。」

 「そうかな~。鈴ちゃんは美人OLなのに「ゼタバースクラブ」で男を満足させることができなくて、相手から関係を切られていたらしいね。」これは大沢コーディネーターから聞いた話だ。だから鈴ちゃんはクラブに戻ってパパ活をするだけでは違反金の返済がなかなか難しいらしい。ちなみに鈴ちゃんを「YORIMITI」に斡旋して、僕がこの女を馬鹿にしながら犯すところまでがクラブからの“お仕置き”だ。

 「うるさい!黙れ。」

 「ぐふふ、図星か。だから、やっと見つけたデカチンに安値で『独占』をしてもらったんだろ。今日だって他の男はちゃんとイってたか?」鈴ちゃんは小さな声で「ひどいよ。…なんでそんな事を言うの?」と言った後、股を広げて正常位で入れられたまま、手の平で顔を覆ってシクシク泣き出した。

 「ほら答えろよ。男はイったのか?ちゃんと男からお金を貰えてるんだろうな?違反金は期日までに払えよ。」正常位で突きながら問い詰めえるが、鈴ちゃんは手で顔を覆たまま首を横に振って何も答えない。嫌がっている女と無理やりセックスするのは興奮するが、如何せん緩くて刺激が弱い。ソープ嬢でもイケたんだから大丈夫だろうと思っていたが無理だった。

 「もういいよ。全然気持ち良くない。」チンチンを抜いて、泣きながらベッドに横たわっている鈴ちゃんの枕元に3万円を置いてあげた。

 「鈴ちゃんは違反金をクラブに支払った後、しばらくはセックスや指入れをしない方がいいんじゃない?このままだとセックスでは射精してもらえなくて、子作りできないよ。」自分とのセックスでは男が射精に至らないというのは、女にとって最大の屈辱だろう。将来結婚相手を見つけることができてもセックスは空振りに終わり、妊娠する可能性は極めて低くなるのだ。鈴ちゃんの泣き声が一段と大きくなった。

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