第6話 僕は即答でふられた。
18歳高校3年生。別の日の話だ。
「そう言えばオマエ、この前泡っちゃんに抜いてもらっている時に「好きな女の人とエッチしたい」って言ってたけど誰なんだよ?」全裸の僕にベルト首輪をして正座させながら苦道さんが聞いてくる。
「勘弁してください。そんな事を聞いてどうするんですか?」
「ん?告るの手伝ってやるよ。」
「いえ結構です。」
「そんな風に遠慮してるからいつまで経っても彼女ができないし、童貞なんだぞ。」
「遠慮とかじゃなくて…。」
「いいやん、教えてよぉ。」と左横の椅子に座っていた枯林さんが足を伸ばして、軽く僕を蹴押す。
「あ、枯林ちゃうか?こいつ枯林をいつもオカズにするし、ハイハイの時もスカートの中を覗いてたやん。」墓野くんが言い、
「なるほど。単三、そうなん?」と苦道さん。
「いえ……、いや、そうです。枯林さんです。」好きな人は枯林さんということにして場を切り抜けようとしたが下手過ぎた。
「はい、嘘~。バレバレやねん。」
「なんやねん、ウチかって雑魚モテしても嬉しないわ。」と枯林さんも不愉快そうだ。
「じゃあ、いつも誰でオナニーしてんねん。言えや。」
「あー、ムカついてきた。」と苦道さんが立ち上がり、僕にプレッシャーをかけてきたその時、
「オカズで思い出した。1組の女子の体操着や。」と汚黒くんが突然声を出して立ち上がった。
「汚黒、ナイス♪」と苦道さんは自分の鞄から携帯を取り出し、おそらくあの晩の画像を探しているのだろう、指で素早く操作している。
「分かったぞ単三。1組の只鳥や。そやろ?」
「違います。許してください。」
「いや絶対そうやって。只鳥って子、まだ学校におる?」苦道さんが言うと
「探してくるわ~。」泡知さん達が小走りで教室を出た。
15分位待った頃、弾地さんが「只鳥さんに来てもらったで」と2組の教室に連れてきた。只鳥さんは吹奏楽部の楽器別練習をしていたが、ちょうど片付けて帰ろうとしていたところらしい。急な展開に全裸の僕は身体を丸めて誰のか分からない机の下に隠れた。
「只鳥さん、帰る前に悪いな~。うちのクラスの有尾が只鳥さんとお話したいねんて。」と言いながら苦道さんが立ち上がって、手招きで教室へ入るよう促す。ベルト首輪は持ったままだ。
「はぁ。」と只鳥さんはキョトンとした顔で入って来た。有尾って誰?と思っているのかもしれない。ちょうど只鳥さんを探しに出た他の連中も帰ってきた。
「ほら有尾、そんな所に隠れてないで出てこい。」苦道さんにベルトをグイッと引っ張られる。首が締まり「オエッ」とえづきながら机の下から引っ張り出され、苦道さんの隣に立たされた。ほとんど意味は無いと思うが、一応自分の両手でチンチンは隠した。
「きゃーーー。」全裸の僕を見て只鳥さんは手で顔を覆い、床に座り込んだ。
「コラ有尾、只鳥さんが驚いてはるやんか。」とバカ達が笑っている。
「もう帰って良いですか?私、帰ります。」と只鳥さんが立ち上がり出入口に向かおうとしたところ、弾地さんが「ゴメンゴメン。すぐ終わるから話だけ聞いてあげて」と只鳥さんを引き留めた。
「はやく言わないと只鳥さんが帰ってしまうぞ」、「男らしくハッキリ言えよ」とバカ達に急かされ
「只鳥さん好きです。付き合ってください。」ととりあえず言った。僕の本命は鶴見さんだが、今は只鳥さんに告白するしかない。
「無理です。気持ち悪い。」とゴキブリでも見るような目で僕を見て即答した。バカ達が「見事にふられたな~単三」、「しゃーない、切り替えて次行こう」等と大笑いしている中、苦道さんは只鳥さんの肩を抱き、教室の出入口までコソコソ話をしながら歩き、廊下に出たところで「時間取って悪かったな~。サヨナラ」と只鳥さんを見送った。苦道さんは只鳥さんに一応口止めをしたらしい。
苦道さんは「せっかく手伝ってやったのに残念やったな~単三。」と僕を一瞥した後、「失恋してショックやろうから今日はお開きにしたるわ。」と言いながらバカ達と一緒に教室から出て行った。
その日の晩、自分の家の自分の部屋でオナニーをした。タンスの奥に隠してあるエロ本「リュクべっぴん」を取り出し、学習机の上にお気に入りのページを開いて準備する。同年代よりも上のお姉さま系女性のグラビアが多いが、僕は幼い顔立ちにロリ体型の女の子が載っているページが気に入っている。当時はまだスマートフォンや動画サイト等が無く、リビングにビデオデッキがあるだけで、両親や弟がいる中、自分で自由に使えるのは隠し持っているエロ本だけだった。
今日はエライ目にあった。可愛いとは思っていたが、好きでもない女子に告白させられたのだ。しかも全裸で唐突に。当然OKをもらえるはずがなく、振られた挙句に「気持ち悪い」と言われ、バカ達に大笑いされた。しかし、僕が好きなのは鶴見菫さんだ。鶴見さんは1組の女子を象徴するような子で、掃き溜めのようなうちの学校に咲く可憐な花のようだ。可愛くて落ち着きがあり、品行方正。僕が校内の階段で躓いてコケた時に「大丈夫ですか?」と微笑みながら手を差しのべてくれる優しさもある。もしも鶴見さんと結ばれたなら…と考えながらするのが一番満たされる。パンツをずらし右手でチンポを触りながら、エロ本の女性の顔を鶴見さんに脳内変換して妄想を膨らませる。
「有尾くんが真面目で優しい人だってこと、私は知っているよ。違うクラスだけど、実は私、有尾くんのことが好きなの。」制服姿の鶴見さんが僕の家に遊びに来てくれて、恥ずかしそうに告白してくれる。
「ありがとう。僕も鶴見さんがずっと好きだった。」
「ふふふ、両想いで良かった。」
「目を閉じて鶴見さん。」
「菫って呼んで。イクヤくん。」僕は目を閉じた菫さんにキスをする。ここで本のページをめくり、妄想は僕と菫さんが僕の部屋のベッドに二人とも裸で寝ている場面に変わる。
「私の“初めて”をイクヤくんに貰ってほしい。」
「ああ、もちろん。実は僕も菫さんのために童貞を守ってきたんだ。」
「そうなの?じゃあ私達初めて同士だね。何だか照れるね。」
「大丈夫、僕がリードするから任せて。」
「うん。優しくしてね。」僕が控え目な大きさの柔らかいオッパイを揉むと菫さんは顔を赤らめ、ピンクの乳首をペロペロしてあげると慎ましい声をもらす。ここで隣のページに移り、妄想も僕と菫さんがセックスをしている場面に変わる。
「イクヤくん、痛くて入らないわ。」
「緊張していると思うけど、最初はみんなそうだから。リラックスして。」
「はい。」
「ほら、ちゃんと濡れてるから奥まで入るよ。」
「あああ、イクヤくんすごい。」
「菫。」
「あん、イクヤくん気持ち良い。イク~。」僕が正常位で菫さんとセックスし、お互いの初めてを捧げあう。「随分男にとって都合が良い」、「色々と過程が抜けている」、「処女がいきなりセックスで感じるか」とツッコミを入れたくなるかもしれないが、童貞の妄想など精々この程度だ。目を閉じて右手でスパートをかけようとすると、突然「私が初めての女やぞ」と泡知さんのニヤついた顔がカットインしてきた。慌てて目を開けてエロ本の女性に焦点を合わし、菫さんの笑顔を強く思い出してフィニッシュした。泡知さんに手コキをされた後、スパートをかけると時々あの顔が浮かぶようになってしまった。気持ち良かったのは認めざるを得ないが、一人の時まで興をそがれ困ったものだ。妄想の中くらいは僕の自由にさせてほしいのに。
そう言えば、只鳥さんも今日見た僕の裸を思い出してくれるのかな。だとすれば隠さないでチンチンも見せてあげればよかった。実はあの時、只鳥さんのような可愛い女子に裸を見せつけて興奮し、勃起していたのだ。
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