閑話休題 仲直り
私達はレント達が岩蜘蛛を倒した祝いのパーティーに招待された。
場所は、師匠の工房だ。
そして私とケルトン爺は実に、5年ぶりの会話をしている最中だった。
「ケルトン爺。5年立っても全然変わってないわね」
私達は椅子に座り、ディナーを頬張りながら言った。
「お前は、随分と…大きくなったな」
爺よりも小さかった身長は、今では私の方が大きい。
「そりゃあ。
しばらくの沈黙が続く
「ノーサ、わしは親失格だ。お前を傷つけておきながら、私はお前に会いにいかなかった。怖かったのだ、お前が私の前からいなくなってしまうのが。身勝手な私を許さなくてもいい、嫌いでもいい。だから、せめて謝らせてくれ。本当に申し訳なかったぁっ!!」
爺はそう言って私の前で土下座した。
私は爺の謝罪に返事をするわけでもなく、話し始めた。
「爺…実は私、作業を手伝わせてもらえるようになったんだ。
だから…ほら」
私は爺に包んだ箱を渡す。
「これは?」
「サプラ〜イズ!!中を開けてみて……」
テンションが上がる私とは裏腹に、爺はきょとんとしながら包み紙を剥がし、箱を開けた。
「こ、これは…ピッケル??」
「そう!!爺、まだまだ働き盛りなんだからこれでまだまだバリバリ頑張ってね!!」
私は爺にそう言った。
「お前が作ったのか?」
「うん、そうだよ。爺には言ってなかったと思うんだけど、私が鍛治師になりたいって本当に思ったのはね『爺にプレゼントを作りたかった』から。小さい頃から爺は私のために汗水垂らして毎日に働いてくれたよね。私が欲しいって言ってくれたものは買ってくれたし。よく私と遊んでくれたし。私は爺に感謝してたんだよ。だからね、いつもありがとうって伝えたかった。」
強いは私の言葉を聞き終わると、ボロボロと涙を流し始めた。
「そうだったのかぁ…わしのように奴のために、自分でプレゼントを……ハハハハハ!こりゃあとんでもないサプライズだ!!!」
「だからね爺。あれ、どうしてかな…涙が止まらない……
だから爺とずっと仲直りしたいなってずっと思ってた。思ってたよぉ〜!!!」
そこまで言うと、私達は抱き合い、互いに満足がいくまで泣き続けていた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます