覚醒
ん。ここは???
ようやくお目覚めか…リペルソルジャー
だ、誰だお前、真っ暗で何も見えねぇ…!!
俺は七魔王の一人 嫉妬のレヴィアタン。この蜘蛛は、嫉妬の心に漬け込んで我が乗っ取らせてもらったのさ。
へぇそうかよ…それは良いけどここから出せよ。今、その蜘蛛に仲間が襲われそうになってるところなんだよ…!!
あの勇者の小娘のことか?
な、何で知ってるんだ!?
フフフ、お前の脳みその中なんてお見通しさ。このレヴィアタン様にかかれば……それよりも、なぜお前はあの小娘の事に肩をかける?
どうゆう事だよ!?
奴は勇者で、本来だったらお前を殺しに来たはずの刺客だ。それと呑気に旅なんて……随分とお人好しがすぎる……
はぁぁ?ニファは悪くねぇよ…全部、全部あの王様が悪いんだ。村を守らなかったのも、ニファを苦しめたのも…全部!!
へぇぇ…随分と嫉妬してるじゃねぇかぁ…やっぱお前は最高だ…!!
でも違う、お前が本当に嫉妬してるのは……
違わねぇよ。嘘偽りない俺の気持ちだ。
違う。それは、自分だ。そして、2年前お前を裏切った元同僚の事もなぁァァァァー!!!!
違っ…ヤメロ!!
良かったよなぁァァ三人で街を守るヒーローごっこはヨォォーーチヤホヤされて随分と良かったよなぁァァーーー!!!
やめて……
お前はあの時から一切変わってねぇぇ。結局お前は誰かを信じなきゃやっていけねぇんだ。タワラ村の雑魚3兄弟にも、狂った魔道具師にも、慈愛の勇者様にも、鍛治師見習いのあの餓鬼にもなぁ。裏切られないって勝手に思い込んでよォォォォォォォォ。
やめてよ!!!!!
気づいたら俺は黒い空間で一人、泣いていた。
俺を惑わすあの声は。もう…しない。
「ごめんなさい、ごめんなさい。自分はこんなに馬鹿で、調子乗りで、だからみんな離れて行ったんだ。だから俺はいつも一人ぼっちなんだ……」
動きたくない。動けない。こんな思いはソロンと出会う前のあの時以来だろうか……
その時だった。
「違うよ…レント」
暗闇の中から微かに声がする。
「誰…?」
「貴方は頑張ってる。間違いなく」
優しい声は俺にそっとそう言った。
「で、でも俺は周りの奴らの足引っ張ってばかりで。迷惑かけてばっかりで。それで…それで……」
「でも貴方はその分たっっくさんの人を守って来たはずでしょ?
タワラ村のみんなに、シーフースーちゃん。勇者のニファちゃんにケルトンさんにノーサちゃん。みんな貴方に何かしら助けられた部分はあると思うわよ?」
「でも、俺怖いよ…また裏切られたらって思うと…泣いちゃうよ……」
自分でそう思うと目頭が熱くなる。
すると優しな声はさらに続ける。
「いい?ずっといいことばっかりしてるとね、いい人が集まってくる。でも逆に悪いことばっかりしてると悪い人が集まってくる。これはどんな時でも一緒よ…!だから自信を持って。今の貴方の周りにはいい人しかいないわ。私が胸を張って保証してあげる…!」
俺は思わずその言葉に笑ってしまう。
「何自分の息子みたいに自慢してるんだよ…おっかしい…ハハハハハ!!」
「それもそうね…ウフフフフ…!」
俺たちはしばらくの間笑い合っていた。
そして俺は思った。
やっぱり俺は意地でも人を疑っちゃいけない。今を信じ続けなきゃいけないって。
それが俺の過去の払拭でもあり、剣を捨て、スコップを持った俺なりの償いだ。
「じゃぁ…行ってくるよ。みんなの元へ…!!」
「気をつけてね。忘れ物はない?」
俺は手に持った新たな相棒を決して離さない。
「うん…!!」
俺が飛び出そうとしたその時だった……」
「ちょっと待って…」
「何?」
「………うぅん。まだいいわ」
「そっか。じゃあ行ってくる!!」
そう言って、俺は光のする前へ前へと進んでいった。
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