タワラ村⑤(上) 慈愛の勇者ニファ

「我が名はギデサルム王都七勇者の一人…慈愛の勇者 ニファ!!

 リペルソルジャーよ…ここで自らの人生を終えるがいい!!」


「勇者様ぁ?!……… 」

 シーは驚きすぎて泡吐いて失神したようだ。


「わぁ!!兄ちゃんしっかり!」

 フーは気絶して倒れたにいちゃんの元へ駆け寄る。


「フースー、にいちゃん連れてそこの木の影まで連れて行け!!」



「リペソルさんまで一人で戦うの?」

 スーが俺にもの悲しそうに聞いた。


 俺はニヤリと笑いこう返した

「大丈夫だ!!俺は絶対生きて帰るし、コイツを殺さない。ただ……してやるだけさ…!!だからそれまで、お兄ちゃんをしっかり守ってろよ!!!」

 それを聞いたフースーは互いを見て、こちらを見た後元気に返事をする。


《フースー》「はいな!」

 そう答えると二人は木の影までシーを頑張って運んでいった。


「へぇー、優しいじゃない。あの子達に気を使わせないようにして……」

 ニファが俺の言葉に対してそう言った。


「そうか。そりゃどうも」

 俺は神々しく立つ、勇者に睨みを聞かせて言う。


 七勇者…七魔王に対抗する為に生み出された七人の勇者。

 王都直属の剣士の中でも高い魔力や剣術などの技術面。そして何より、の力を持った者が勇者となり、その頂点に君臨する。


 それにしても今のギデサルムは人使いが荒い。勇者様を一人でこの辺境の地に行かせるなんてなぁ…ここまで来んのに馬でも1ヶ月、徒歩だと45ぐらいかかっただろうに。村のみんなのためにも、ここは穏便に済ましたいところだが…


「だが、私も勇者として人を手にかけることはしたくない。

 私の条件を飲んでくれるなら無駄な殺しはしない…聞いてくれるか?」

 ニファと呼ばれる勇者はそう言い、剣を鞘に戻した。

 俺は渋々、奴の条件を聞いてみることにした。

「条件ってのはなんだ?」


「タワラ村の管理を我々、王都が仕切ることにしたい。王は退防衛線を回復したいとのご意向だ。

 村の皆や村の管理者であるお前には相応の金や手当てをし今まで通りの生活を送ることができるようにする。だからどうか…私たちの条件を飲んでくれないか?」




 ……返答は決まっている

「無理だ」と俺は言った。


 これだから王都の連中は嫌いだ。王都の剣士団は貴族や身分の高い奴らのいいようにしか動かず、他の奴らはないがしろにして。

 にこの村が魔物の大群に襲われた時だって、王都の剣士達は誰一人として村の人を助けようとはせず…捨てたんだ。

 は、それは酷い有様だったよ…思い出したくないくらいにさ…村を助けた後、俺たちが筆頭になって村を復興させ…今ではみんな忙しくもみんな幸せに働いている。


 これは俺のかもしれない、村の人達はお前らを許しているかもしれないがな、俺は許さない……幸せに暮らしていた人達を見捨てたお前らを俺は決して許さない!!


「交渉決裂というわけだな……だったら申し訳ないが……私はお前を殺し……無理矢理にでも村を手に入れなくてはならないのだ…」

 ニファは剣を構え、俺の前に立ち塞がった。


「もうと、奪わせはしない!!!!」

 俺はを構え、今互いに激突した!!





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