プロローグ② リペルソルジャーとシーフースー

《リペソル》「えっ!?」

  《シー》「えっ!?」


俺達は歯医者にいるわけでもないのに大きな口を開けていた。

理由はそう…

目の前の金ピカやろうだ。


《金ピカ剣士》「お〜い…聞こえなかったか?討伐に参加させてくれと

言っているんだ…」


《シー》「パクパクパクパク」


だめだ、こいつ緊張して口が魚みたいになってやがる…

…これだからシーは……と俺はため息をついた



《リペソル》「おい、金ピカ!俺達に着いて行くのはいいが

お前みたいなガチガチの装備の

おそらく、ギデサルム王都の方の剣士だろうがな…

そもそも王都の兵士がこんな辺境の地のギルドで討伐依頼を

受ける理由なんてないはずだ。

それに俺はこの町に2年近く住んでいるが、お前のような身なりのお得意様は

聞いたことがない。だから俺は、お前の真意を知りたいんだ。


お前は何者で?ここに何をしに来た?」

俺が質問してもからも、奴は微動だにせずギルドの真ん中で突っ立っていた。

がすぐに


「………受付、寄生ツタ植物パラサイトヴァインの手配書をくれ」と言った

どうやら無視を貫くらしい。


ちなみに…


この村の討伐クエストは4人以上だったら

上限何人でもいいし、どんな身なりであってもいい。


剣士だろうが、農民だろうが、何歳だろうが(10歳以下、15歳以上の保護者同伴)

それがたとえ…

他の村のやつだろうがだ。


まぁ…あまりに変なやつだったらギルド側で依頼を断る事もできるが…


相手は王都の剣士だ…

断ったら何されるか溜まったもんじゃないからな


それに、こいつは明らかにそこら辺のペーペーの剣士とは格が違う。

今ここで問い詰めると嫌な予感しかしない。




――――

そんなこんなで俺はシーフード兄弟(シーフースーのことです)

 と怪しい金ピカ剣士と一緒にモンスター狩りに行くことになった。




《フーとスー》「♫モンスタ狩りに行こ〜ぅ

         み〜んなで行こ〜ぅ

        モンスタ狩りに?行こう!

        さぁ〜行こう!!イェ〜い!」




《シー》「可愛すぎるだろ、うちの弟と妹(迫真)」




《リペソル》「確か、今年でどっちも7歳だっけ?兄弟仲良くしろよ(迫真)」



《シー》「もちろん…これからも仲良くするさだからお前も親しい奴を

大事にしろよ〜例に漏れずお前の友達の魔術師とかな(笑)

あんまし困らせることすんなよ〜」



《リペソル》「ハイ…」

コイツ痛いところついてくんな…


まぁ一応年上だもんな…


まぁ、それはさておきだ…問題はこの金ピカ剣士だ




《金ピカ剣士》「………」


コイツ…しゃべらねーなー!!オイ!!!

いや、期待してないよ!してないけども……

なんかね、ねぇ!(息を吸い込む)

ずっと俺が声かけても無視するんだもん。コイツ

村を出発してからざっと1時間!ずっと!!

普通はさぁ!!

声かけてくれたら一言ぐらい返事はするもんじゃん?!しないんだよ!!一切!

悲しいし…それにしても無視決め込み過ぎてるだろ!










「………」



「なぁ…

《シー》「おい……来なすったぞ!!」

俺が声を掛けるのを遮るようにシーは言った。


そして目の前には……


間違いないイノシシに寄生した寄生ツタ植物パラサイトヴァインだ。

こいつらは名前の通り、動物の死体や動物に種子を植え付け

成長したら動物のコントロールの主導権を奪い

寄生した体で他の生物を捕食し、養分を吸い取り花を咲かすという

中々おっかない生物だ。



《リペソル》「ああ、それに敵はどうやら1体じゃないようだぜ」


さっきから明らかに複数の鳴き声が聞こえる。


「鳴き声の数的にざっと4匹はいるな

行けるかシーフード兄弟?」

《シー》「シーフースーだ!きちぃけど…

やってやらぁ!!フーとスーお前らは援護頼む!」



《フーとスー》「はいな!」 


そう言って2人は持ってきた弓を構えた。


ハテノ村では他の王都や他の村とは別の掟で子供から老人まで

剣と弓の鍛錬を


これは自分の身は

自分たちで守れるようにするためだ。(ちなみにこれは俺が考えた掟である)

なお、この村の討伐クエストに

子供が参加できるのはこのためである。


「よっしゃ!久しぶりに俺も暴れるでぇ〜」

と俺も意気込んでいたんだ


金ピカが動くまでは


聖光の剣ホーリーソード!」

という声が聞こえ、一瞬のうちにやつが剣をさやから抜いて

横に振ったかと思うと…


魔物たちが細切れのサイコロステーキに

なってしまったのだ!

これにはシーフースーも状況を

理解できてないようだ。


《シー》「へっ、あっ…へっ?」

《フー》「うそぉ〜!何がどうなってるの?」

《スー》「バラバラだ〜」



おい!あいつ今の今までなんにもしてなかったのに…

いいところだけ持っていったぞ!!


俺達が驚いているのを裏腹に、そいつは

近くに元凶を見つけたらしい。

《金ピカ剣士》「1.2.3……残り4匹だな。任務を遂行する」



《リペソル》「おい…待てよ!!」

俺が止める間もなく、そいつはすでにスタートを切っていた。


《リペソル》「追うぞ…シーフースー!!!」


《シー》「えっ?あっ、ああ」


《フーとスー》「追いかけっこ!追いかけっこ!!」



――――



「はぁ…はぁ…速いな、アイツ…」

それにしても変だ…こんなに走ってるのに、金ピカとの距離は変わらない……

アイツ鎧着てるのに体力ゴリラか何かか?

それとも機械でも追いかけてるような……


ん?待てよ………

そうか!そういうことか!



まずいぞ…の奴が危ない!!




***



はぁ…はぁ…………

あの剣士とリペソルのやつ速すぎだろ!!

あいつらチーターの生まれ変わりか何かか?!


フーとスーは……

よし!ついてきてるな

リペソルのやつは一体どこいったんだ。全く


「フーどうした?」

フーの様子が珍しくおかしい



《フー》「ねぇ、お兄ちゃん……あれ何?」


そしてフーが指差す先には………

「グルシャァァァァァー!」


巨大なクマに寄生した寄生ツタ植物パラサイトヴァインと例の剣士が見合っていた……

どうやら剣士はあの魔物に苦戦しているようだ…

俺はこんなときのために蘇生薬や回復薬をもって来たが…

あいつは見たところ剣しか持っていない。どうすればいい…!



おれは……!


《シー》「………スー、フーあの木の陰で待っててくれ」


《スー》「兄貴はどうするの?!」




「………俺は……

金ピカを助けに行ってくる……!」

と、言い放ち剣士の下へ駆けていった


《スー》「駄目だよ一人でなんて!」

《フー》「そうだよ……兄貴!!」


そう呼び止められた気がするが俺は進む……

冒険者になってからはや2年……

あいつの背中を追って2年…

親が魔物の大群により殺され、

!!

俺は奴を全力で追いかけた。

日々努力して…

努力して…

努力して…!!


それでも届かなかった……

奴と俺にはあまりにも差があった。

絶対的な差がな……

ケドな!!そんな俺でもな!


やつに勝てる唯一のやつがあるだろうが!!!

誰も俺達のように死なせない!!

不幸にさせない!!!そういったなぁ……



「志があるだろうがァァァァァ!!!!」


俺は叫び、さやから剣を抜いた!


***


《金ピカ剣士》「不味いなこれは…クマの攻撃が激しくて中々近づけない…」

この化け物をどうしようか悩んでいたときだった…


《シー》「おい!助太刀に来たぞ!」


あの子についてきていた1人が私を助けに来たのである。

《金ピカ剣士》「助けはいらない…私のさっきの魔法…見たでしょ?

私は貴方より遥かに強いだろう……私一人で十分だ…」



《シー》「何言ってるんだ!!あんた一人でこの化け物に勝てる保証はあるのか?今ここで一人で死んだら全て終わりなんだぞ!!

いくら強くても一人で戦うなんて無茶だ!俺が援護する!!」


ああ……

なんて…人なんだろう。敵か味方か分からない私を

できるだけ生かそうとするために……

がこの子を特別気にいってる理由がわかる気がする。


《金ピカ剣士》「分かった…私が正面でこいつを何とかするから

貴方は後ろからまわってコウゲキして…!」

《シー》「わかった!!」



***


金ピカは熊の攻撃を全力で受け止めていた。



…金ピカが熊の攻撃を弾いている。今のうちに!

俺はあいつの後ろにまわりこんだ。


そして……


「これでもくらえやぁぁぁ!!」

と剣で斬りつけた


途端にクマが暴れ出す

「シャァァァー!」


しめたと思いもう一発、もう一発と切り込む…!

そして…


《シー》「トドメだァァァァ」と

やつの心臓を剣で突き刺した!




しかし……

俺はやつが寄生生物であり、

クマとしてはすでに死んでいることを忘れてしまっていた…!

「シャァァァー!」


刺されたことに驚いたのか、その魔物は暴れ出し

俺と金ピカは後ろにふっとばされ、俺はものすごい勢いで木にぶつかった。


自分の骨が折れる音が聞こえ、血が口から出てくる。

しかし…

奴はすぐそばまで迫ってきている。


「ああ…手が…動かない……これ…じゃあせっ…かく持っ

てき…た蘇生…薬も使えな…い」


は…は…自分より強い奴を助けたい…だ何…だって

言ってたやつがこ…の有り様か


は…は…は…

ふぅ〜…


母……さん、父さ…ん今……そっち行くよ………


妹と弟を残して死ぬなんて…

なんてクソ兄貴なんだ

ガキン!

***

俺は相棒のスコップで熊の攻撃受け止めながら

シーにいう

《リペソル》「そうだな、今死のうなんて馬鹿野郎のすることだ

それに…俺がそれを許すと思ってるのか?」


《シー》「!!!…遅えよバカ」


《リペソル》「ヒーローってやつは遅れてやって来るって言うだろ?」





お前らに俺の不思議な力について教えてやろう

俺の能力は

ありとあらゆる衝撃を倍々して

この脳髄まで腐った化け物に


弾きかえすことだ!!!


俺はこの化け物の攻撃を防いだことで生まれた衝撃を

化け物の腹にぶちのめす

衝撃の報復インパクト!!」


その衝撃に耐えることもなく、化け物は木っ端微塵となり

その破片は彼方へ吹き飛んでいった!!


「俺の友達ダチをいじめて生きて帰れると思うなよ、カスが」

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