7話 老人の本③。

老人の書き続けるこの本【0からの1】は書き手の、たわいごとなのか

佐藤さとうは本を書いて何を残そうとしているのか。探す読み手。



【…】

【前に書いたように、人間は言葉で生を紡いできた】

【今、この紡ぐ方法は困難を極めている】

【悪にバトンが渡されると、今までの過去が荒らされる】

【この悪に対して善は決して。未来だけを見ている】

【ここでの悪は、産まれた事に対して怒りを持っているんだと私は思う】

【だから過去を消滅させてなかった事にしようとしている】

【…】


本を読み進めて、如月きさらぎは思った。

ウロボロスのように、世界は回っているんじゃないかと。


〖死と再生〗


佐藤はそれを伝えたいのか?

この本の本質を探してるが、これで合っているだろうか。

悩む如月。


【…】

【私は思うことがある】

【未来のために人間は次の人間を生産していると】

【産まれた事に感謝する人がいて】

【しかし、産まれた事に恨む人もいるだろう】

【なので、対立する2極の最前線は人間同士の争いとなる】

【…】


んー理解するのに時間がかかりそうだ。

いや、はたして、この本には意味があるだろうかと。


【…】

【戦争が終わらないのは、過去の恨みが関係している】

【恨みは終わらない・終結しないんだ】

【よく孫の代まで呪うってあるだろ?】

【その言葉はいまも残念ながら紡がれている】

【この戦争を終わらせる方法、あるんだろうか】

【人類が滅びるか、一人一人がバラバラに暮らすかないと私は思う】

【…】


たしかに戦争は続いている。

しかし、分かち合えば、歩み寄れば人間は、共存できると如月は考えていた。

それぞれ考え方、言語、環境が違いはあるけども

人間は一人じゃ生きていけない。共存してこそ豊かに暮らせると思っている。


【…】

【実はもう、人類はある人間たちを残して消えた。】

【これが私が到達した結論だ】

【数々の戦争が起き、血を根絶やしにするまで人は戦う】

【その結果、人類は、ほぼいなくなったのだ】

【それで私は墓まで持っていく秘密を抱えた人間こそ生き残りだと思う】

【人間は最後まで、秘密を隠すことは困難なんだ】

【ついつい告白し懺悔する、誰かに聞いてほしいんだ】

【…】


【…】

【この広い宇宙には、星があるだろう。それに1つずつに、、、、】


ここで佐藤が書いた本は、終わっていた。

まだ途中とは言っていたが、なんだか大事な部分が読めてない気がする。


そっと本を閉じ、如月はベットに横になると、いつも見ている天井が視界入る。


「あれ、いつもこんな景色だったけなぁ…」



――――――――




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