6話 老人の本②。

老人・佐藤さとうの書いた本に本当に嘘はあるのだろうか。

如月きさらぎは続きを自宅で読むことにした。


帰宅したのは、16時頃だった。

小腹が空いたし、カップラーメンでも食べるか。

お湯を沸かす間、ノートPCを開いてメールをチェックした。

そこには、なんと文字化けしたメールが見た事ないアドレスから来ていた。


○○〇@yahaa.co.jp

無題

〖ハクサ嵂ス、ア・ム・ソ。シ・�…〗


???


なんだろ、不気味だなっと思ったが


お腹が空いているのでカップラーメンを食べる。

麺をすする音が部屋に響く。

「チュルルー」


―――――――


栞を外し、続きから読む。


【…】

【私は旅をしてるが、途中で邪魔が入った】

【旅の始まり、この世界の始まりを見つけては困る者がいた】

【私は自分が、生まれた日を私の旅の始まりだと思っているが…】

【非常に困っている、私は産まれてからしか記憶はない】

【この産まれる前、もうそこから旅は始まているのだ、と思う】

【探さなくてはいけないのに、これじゃぁキリがない】

【先祖を調べ続けないと、いけないのか…】

【…】

【生について考えたら、逆はなんだろうと…】

【…】

【死を考えると不安・絶望が湧いてくるのなぜか】

【…自分が死ねば世界は終わる…】

【世界の終わり方はわかったが、私は始まりを探してるのだ】


どうやら、佐藤さとうは自分の出生を調べてるみたいだ。

それにどんな意味があるのだろうか。


本当に世界は産まれた時に始まっているのか?

いや、自分がいなくても世界は回ってるはず、如月きさらぎはそう思った。


【…】

【これは大発見だ。人間は言葉に支配されている】

【言葉を紡いで、今の今まで生を繋いできた】

【…】

【誰かが生きていないと世界は続かない、観照者見守る者が必要だ】

【探せば始まりがわかるかも知れない】

【…】

【ずっと見続けてる者…】

【そしてその血を引く者たち】


佐藤さとうの書いた本は自身が思っていること書いてるのか。

謎は深まるばかり。


【…】

【世界を憎む者と愛する者の対立がこの世で起きてる】

【憎む者は、産まれた事の不幸、受けた恨み、仕返しを考えている】

【愛する者は、産まれた事の幸福、受けた愛、恩返しを考えている】

【大事な事なので、もう一度…】

【世界を憎む者と愛する者の対立がこの世で起きてるんだ】

【…】


この世とは、この見えている世界の事なんだろうか。

如月が見えいる世界には、そんな対立なんて起きてないと思った。


しかし、最近感じる違和感を考えると

この佐藤の書いてる事もまんざらでもないと思い始めた。


―――――――





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