3話 初めての感覚。
大慌てで持っていたトレーを空いている席に置き、
黒髪をなびかせ、高身長の女性店員、
「大丈夫ですか?お兄さん」
そこにはテーブル席付近に
うつ伏せに倒れている
…
…
うつ伏せ状態から、起き上がり崩した正座ように床に座る。
「うぅ、大丈夫です。少し体が痛いですが、これくらいなら…」
「貧血とかですかね。病院に行かれた方が良いんじゃないでしょうか?」
「ん-、こんな事は初めてなので、まさか倒れるなんて…自分でもびっくりですよ。最近仕事が忙しくて疲れがたまっていたのかな」
心配そうな顔をしたまま月見は、如月に手を伸ばす。
「手を汚しちゃうから、でも、ありがとう」
如月は地面に手を置くと、よいしょっと立ち上がった。
「お騒がせしました、大丈夫そうです」
他のテーブル席に座っていたお客さんも大丈夫かな?って顔で如月を見つめていたが
如月が立ち上がると、ざわざわとした空気は安らぎ、普段のカフェの空気に戻っていた。
「では、今日はここで失礼しますね」
入口付近のレジでお金を受け取ると、月見は如月の目をしっかり見て
「気を付けて帰ってくださいね」
と一言付け加えた。
―――――――
自宅に着いた。
今日はなんだか疲れた。
今から寝るまでまだ時間はあるし
コーヒーを飲んで、カフェインをキメテるから寝れないだろうな…
お風呂でも入りますかねー
眼鏡をはずして風呂場へ。
鏡に映る自分をみて、今日もお疲れ様を言う。
自分と目があうと、目の奥へ奥へと吸い込まれる感覚があった。
…
『…誰が…はじめたか…探…せ…そいつを止めろ…』
?!
浴室は一人のはず
しかし
誰かの声が聞こえた。聞いたことのない声だ。
『…誰が…はじめたか…探…せ…そいつを止めろ…』
気のせいじゃない。
これはなんだ。
混乱する如月。
怖くなって鏡に映る目から目を離す。
顔が鏡を通して、見えたが、そこにはどこか懐かしい顔が映った。
ビックリして鏡から目を離す。
そう、鏡に映ったのは自分の顔ではない、誰だろう…
恐る恐るもう一回、鏡を見る。
そこには自分の顔が映るだけ。真顔の如月が映るだけだった。
「さきほど映った顔は、見間違えか?見た事はあるんだよなぁー…思い出せん」
小さく独り言は言うと
シャワーで頭と体を洗うと、風呂場をあとにした。
ぼーっとして時間を過ごし…ベットに入ることにする。
掛け布団をかけ、天井を見上げるとそこはいつも木目調の壁があった。
―――――――
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