2話 カフェでの出来事。

昨晩、老人から聞いた話。

一体なんの話をしているのか理解できなかった、だから今日もリュンヌに行く。


「こんばんはー、あぁ、今日も来たんですね」

美人店員が、サラリときれいな長髪をなびかせながら、おしぼりと水を持ってきてくれた。


どうやら、俺の顔は覚えてもらえたらしい。

別に嬉しいとは思ってんない…多分。


しかし、なぜか顔がにやつく。

うっすら笑みでコーヒーの注文をしてる俺がいた。


「いつものブレンドコーヒーですねー、少々お待ち下さいー」


今日は土曜日だが、もしかしたら

いるのかも知れない、来るかもと期待している自分がいた。

しかし、佐藤はいなかった。


諦めて、リュンヌの本棚になにがあるかを見に席を立つ。

絵本から推理小説、料理本、雑誌などから今日は地元情報誌でも目を通そうかなっと。


手にとった地元情報誌には市内のおすすめカフェが載っていた。

そこにもリュンヌが紹介されており、今までコーヒーしか頼んでなかったが

名物のモンブランに魅かれた。

メレンゲの土台にマロンクリームがのった逸品。

学生の頃、パリ市内で食べたモンブランとおなじスタイルだった。


「すいませんー、注文お願いしますー」

「はーい」

「モンブランを1つお願いします」

「あら、すいません、今日はもう品切れなの。いつも16時くらいには完売しちゃうのよ」


時計を見るともう18時を過ぎていた。


「それは残念ー、仕事終わりに来ても食べれないのか…」

「しかもね、残念な事に17時には、パティシエの人帰宅なのよねー」


17時以降は、コーヒーゼリーとパンナコッタ、焼き菓子が提供されてるようだ。

仕方がないので、クッキーを注文することにした。


丸くて手のひらサイズのまるで満月みたいなクッキーが出てきて

バターの香ばしさと、コクがありミルクが包むとても上品な味だった。


この日は、情報誌を読んで、帰宅することにした。


―――――――


何回か、リュンヌに通ったが、ご老人には会えなかった。

しかし、ついに佐藤さんに会えた。それは雨の降るジメジメした日だった。


「こんばんはー」

「あ、如月きさらぎくんか、よく来たね。私は長く生きているだけが、とりえの老人だ」


中略


「そっか、この手があったのか、、、これを君へ。」


―――――――


将棋を終えて、佐藤さとうさんと握手をした時に感じたあの温かみは

別に嫌な感じはしなかった。


「あの、この前、話していた秘密の話なんですが・・・」

「あぁ、あの話か。アレは老人のたわいごと…、気にせんで」

「えー気になりますよ」

「気になるなら自分で探せばいい、答えはそこにあるさ」

「…もったいぶらないで教えてくださいよー」

「もう答えはある、あとは気がつくか気がつかないか、の話なんだ」


佐藤は残りのコーヒーを口に入れると、ゴクリと飲み込んで一言


「さて、私はもう帰るとしよう。また会おう若者よ。」


ソファーから立ち上がり、オレンジ色の革製の鞄を持つ佐藤。

年季の入ったその鞄は、佐藤と同じ月日を共に過ごした戦友なんだなと思った。



今日は仕方がない。

自分も、コーヒーを飲み終えたら今日は帰るかな。


「ゴクリ、さて帰るか」


椅子から如月きさらぎは立ちあがる。




are


なんだか、


めまいが…


ドッスン。。。




――――――――


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