第15話 悪魔神、ハーレムがまた1人増える。そして新たな候補っぽいのも現れる

「えー、これから各自で好きなとこを回っていってくれ。場所によっては先輩たちがいて案内をしてくれるだろう。けど、なるべく何人かのグループをつくって行ってくれると助かる」


そんなこんなで、始まった学校内見学。

てっきりルヴェールが全員を引率して一つ一つ紹介して行くものだと思っていたが、どうやら自由行動らしい。


我先にと飛び出していく生徒たち。

当然、友達が出来ている者や、学園に入る前から知り合いだったりする奴ら、貴族は貴族でつるんで教室を出ていく訳だが。


たった二日で親睦を深めるというのは難しいだろう。

一人、ぽつんと佇む奴らが何人か。


しかし、そいつらのうちの一人が声をかけ始め、一つのグループができていた。


最後まで教室に残っていた俺たち。

いや、もう一人居る。


さっきのやつらに気づかれることのなかった可哀想なやつ。

目線があったが、すぐそらされた。


そして、そさくさと出ていこうとするところを呼び止めた。


「なんか用ですか」


「お前一人で回る気か? 」


「わたしは図書室の場所さえ分かれば後はどうでもいいので。それに見たら分かると思いますが友達居ないですし。皆さんにはいつも本を読んでる変な女って思われてるんでしょうね、いやまず存在すら把握されてない気がしますね。貴族は言うまでもなく平民を嫌ってますし。なので一人で行く他ありません」


なんか闇の深そうなメガネっ子美少女が言う。


こいつが言ってたように、確かに俺こいつ初めてみた気がするんだが。


「ヘルク君!? それは酷いと思うな!? 」


エニナが言う。


そうは言われてもな……。

だってこのクラス、良い意味でも悪い意味でも印象に深く残るような奴が多い。


「現時点で一番印象に残ってるのって誰なんです? 」


ツムギが俺に聞くと、他の皆も気になるのか視線を向けてきた。


「いい意味で残ってるのはお前ら全員。悪い意味で残ってるのはバカカス」


「私たちの中でも特にってなると〜? 」


俺はメリアの方をむく。

そうすると、驚いたように聞いてきた。


「えっ、あーし!? てっきりエニナの姉御だと思ったよっ〜けど序列一位な姉御に勝てたの嬉しみ! 」


「だってお前色々とアレじゃん。髪とかスカートとか」


「あ〜これは、あーしの思う可愛いを極振りしてみただけ。それが項を成したならグッジョブ過去のあーし」


「あのわたしもう行っていいですよね? 」


ザっ!と向き直る皆。

全員、「あっ、忘れてた」って顔をしている……。


「こううるさいのが多いが、もしよかったら一緒に回らないか? その図書室に一番最初に行ってやらんこともない」


「はぁ……ど、どうしてもってのならついて行ってあげてもいいですよ」


「じゃあ決まりだね〜! 一緒に行こー!! 私はエニナだよっ!! 君は……たしかっ、ネルシーちゃんだったよね 」


「……! そうです。わたしはネルシー」


グイグイくるエニナに驚きながらも答えるネルシーは、何か少しだけ嬉しそうな表情を見せていた。


にしてもエニナはよく名前を覚えているな。

今初めて顔を合わせて話したと言うのに。


「だって自己紹介あったよー!?逆にヘルク覚えてないの!? 」


「そんな全員が全員覚えれているわけがないだろう……お前らもそうだろ? 」


賛成を求めて話を振ったが、返答は全員一緒だった。


「るな……ネルシーの自己紹介……覚えてるよ……! 」


「ボクも当然覚えているさ。全員の名前と顔は一致しているよ」


「全員はすごっ!? あ、けどあーしも大体の名前は覚えてるよん」


「自分も男子はまだですけど、女子は大方覚えれたかと」


一人も俺の味方は居なかった……。

がっくしと、項垂れる俺。


そんな俺を励ますようにネルシーが言った。


「む、無理もないです。わたし幼なじみと同じ部屋に5時間居て、お前いつから居たんだって4時間30分くらいの時に言われるくらいには、影が薄いので」


「ヘルクを励ますために、自己犠牲をっ!? 」


「本当のことを言っただけなので。けど皆さんはあの一瞬の自己紹介だけでわたしの事を覚えててくださって嬉しいです。さっきはあんな冷たい態度取ってごめんなさい」


「全然いいんだよー! ……へ? 冷たかったっけ。私は全然思わなかったけど」


「それはエニナさんが優しいからですよ」


「まっ、じゃあネルシーが仲間に加わったことだし、今日からは7人がけのテーブルの場所取りしないとだねっ! 」


「あの……」


ツムギが俺の裾を引っ張ってきた。


「なんだ? 」


「ネルシーも、その……ヘルクの……ごにょごにょに加える気なの? 」


「流石に加えないぞ!? なんも知らん、なんなら今名前知ったような仲だぞ」


いくら何でもそうポンポンと加えるのは違うだろう。

それにネルシーからしたら意味がわからないはずだ。


「そうは言っても、いつか絶対加わりますよね? 自分、分かりますよ? 黒髪ロングメガネっ子であれも、女の自分から見てもめちゃくちゃデカいあんな子。ヘルクがほっとく訳がないじゃないですか。好きですよね、ネルシーみたいな子。……自分みたいなさほどでかくなくて普通よりちょい上くらいで、顔は普通で、色気もない人の方が存在消えますよね」


「ツムギも魅力的な女だぞ。……エニナが俺にとって一番なのは変わりないが、おまえら全員可愛いし」


きゃっ、と騒ぎ出すこいつら。

エニナは「し、幸せ……」とか言いながらぶっ倒れて、ルナが介護してる。


ツムギは嬉しそうに微笑むと、手を差し出してきた。


「自分より後に来たネルシーが思いのほか強敵になりそうだし、序列取られたらかなわないから、自分もヘルクさんのハーレムに入れてください。あの時エニナさんを助けてた場面をメリアと見ててから、ずっと自分も気になってたの。けどメリアも分かりやすく同じ人に恋してたから、友達……いや、親友の恋を応援しようと決めて、自分の想いは心の奥底に閉まってた。けど、ヘルクさんが、いや……あなたがこんなに女の子に好かれて、それを受け入れているなら、自分だって入りたい! 自分の気持ちに嘘はつきたくない! ……朝はあんなこと言ったけど! 自分は! あなたの事が好き!!!! 」


まさかツムギに告られるとは思っていなかった。

返事はもちろん……。


「おっけー。これからよろしくな」


「すんなりOKしてくれるのね。少しは驚いた顔が見れると思ったのに。けどそっか……こんなにも沢山の女の子から告られて来たわけだもんね。慣れてるか」


「いや? 告ってきたのお前が初だぞ? 」


「はぇ!? えっ、エニナさん!? ルナさん!? 」


「にゃはは、私はヘルク君と一緒に寝たりしたからこんな感じ。助けてくれたあの時から心撃ち抜かれてるし、らぶだけどっ。丁度良い機会だし私もいいかなっ? ヘルク君、私と付き合って♡ 」


「はい、喜んで!!!!!!!!!!!!! 」


「ちょっと自分の時と違いすぎない!? 」


「ツームギっ♡ さっきめっちゃときめいてたよ! 親友が頑張ってる姿見たら、あーしもあの時ちゃんと言えばよかったって後悔しだしたよ……。」


「じゃあメリアももっかい……次はメリアとヘルクさんがちゃんと告白したって思えるような告白してみたら? 」


「ん、そーするつもりだよ? けど、ルナちゃんが先っしょ」


「わわわわわわわ、わわたしは……その……二人っきりの時に……したい……だから、メリア……先に」


「皆がバグってるだけで、ふつーそうだよねっ! けどじゃあ、あーしもお預けかなっ」


「え……なんで……メリア……ヘルクのこと、あんなに好き好き♡ なのに」


「ルナちゃんが序列二位なんだから、あーしは抜け駆けできないわよ。ルナちゃんの思う最高の雰囲気の時に刻っちゃえ! 」


「メリア……ありがと……! 」


「そうなると……なんか自分が抜け駆けしたみたいになりません?皆さん差し置いて」


「知らなかったんだし、仕方ないよ! ツムギちゃんのおかげで私もやっとちゃんと思いを伝えれたんだし♡ 」


「エニナさ……姉御? 」


「あはは、無理して姉御とか呼ばなくていいんだよ!? メリアちゃんにつられてない! 」


「エニナさん……自分にはこっちの方があってますね。……何はともあれ、これからよろしくお願いします、皆さん! 」


「よーこそハーレムへ! みたいな? 」



「わたしはやっぱり蚊帳の外……。けど、いいものを見させてもらいましたね。(なんか今のを見てるとあの人がかっこよく見えてきましたね……なんて)」


――――――――――――――――――

【あとがき】

「続きが気になる!」「面白い!」「ハーレム要因だヨシ!」「ツムギの決断、以外に早かったね」「なにはともあれハーレム加入おめでとう!……もう新たなフラグかよ!」と少しでも思って頂けましたら、 広告下からフォローと星を入れていただけますと、幸いです。皆様の応援が、執筆の原動力となります!よろしくお願い致します! ――――――――――――――――――

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