第14話 エニナ、ハーレムの序列を話し合う。(視点は主人公)

今日はもう授業はない。

一旦寮に戻り、昼休みが一時間ほどある。それが終わると各自学園内を色々と見て回れるらしい。


なんか正式にメリアとその連れであるツムギも、俺たちのグループに入ることになった。


そのため4人がけのテーブルでは足りず、6人がけのテーブルの場所取りで苦労することに。


8人がけや、10人がけもあるが、それを占拠する訳にも行かないからな。


そして新たに仲間に加わった二人は直ぐに皆と打ち解けて、仲良くやってる。


しっかし、観察してて思うんだが、メリアは派手の極みみたいな格好をしているが、ツムギは反対にお淑やかな感じ。


ぱっとみ正反対な二人だが、ランニングの時にお互いを親友だと言っていたし、現にめちゃくちゃくっついてるので、相当仲が良いのだろう。


「お、お昼休みはなにします……か? 」


まだルナは緊張している様子。

まぁ、無理もないか。四人の時でさえ、かなり緊張していたんだ。そこに間髪入れずに新たに二人もやってきた。


けど、表情を見る限り嫌ではなさそうで一安心。


「私はお部屋で休憩しようかな〜」


「ボクは……そうだね。ヘルクに合わせるかな? 」


「おいおい、休み時間くらい好きにしたらどうだ」


「あーしはツムギで栄養補給〜♡♡ 」


「そんなでっかい声で、しかも皆が居る食堂で言わないで!? 」


「え……ツムギは嫌……? 」


「嫌じゃないけどー!! ほら、皆見てるじゃん!? しかもヘルクだって目の前にいるのに、そんなこと言ったら自分たち……」


「何を心配しているのか知らんが、俺はお前らが百合百合しようが、嫌いになったりしないぞ? 」


「そ、その栄養補給ってアレ……ですよ? き、き……とかを女の子同士でやってるんですよ、自分たち! それなのに、変だなとか気持ち悪いとか言わないんですか!? 」


めちゃくちゃ驚きながら、次々と言ってくるツムギ。


こいつら同士で何をしようが勝手だと思うのだが。

同性の友達として普通なスキンシップなのだろうなと勝手に納得している。


「へ、ヘルク君……? 普通ではないよぉ……? 私とルナちゃんはキスし合ったりしないでしょ? ね、ルナちゃん」


「エニナとなら……やって……みたい……かも? 」


なるほど。

やはり、人間の普通のスキンシップみたいだ。


「何も問題なさそうだし、全然いいんじゃないか? 少なくともこの俺は、お前らがやることに異を唱えることはせん」


「よっ! それでこそハーレム男! 」


「お前そんなキャラだったっけ。ツムギはハーレムメンバーじゃあないだろう。メリアの連れで、俺たちに付き添っているだけだ」


そう言うと、ツムギが固まった。


「え! あーし、もうツムギメンバーだと思ってたんだけど! あーしとツムギは一心同体なんだから、あーしがメンバーならツムギもだよっ!? 」


いやいや、それは暴論だろう。ツムギの意思が無いじゃないか。俺は無理にハーレムを作ろうとしている訳ではない。


うん? というか俺はいつから今世での目標にハーレムが入ったのだ。人間での青春はハーレムを作ることも含まれているだろうか。


前世のあのインチキクソ勇者。

あいつも何人も女をはべらせていた。


勇者パーティ(勇者以外全員女)だった気がする。

あいつの趣味なのか、はたまた、たまたまスキルを授かったからなのか。


怪しい気がしてきたが青春ということにしておこう。

なんかいい加減、ナビゲーターみたいなやつが欲しくなる。


エニナやルナたちに聞くわけにはいかないこの世界の質問などに答えてくれるような、都合のいい便利なやつが。


勇者にも万能ナビゲーターみたいなやついたし。


決めた。

昼休みはナビゲーターをどうにかしてGET出来ないか色々試してみよう。


「その……ヘルクさんのハーレムに入るかどうかは、少し考える時間をください。自分の気持ちがまだ分かってないので……抱きついたあの時から、不思議な感覚に陥ってて、思考がぼんやりとしか考えれなくて、ごめんなさい」


「秒で入ってきたメリアちゃんがおかしいだけだと思うよ!? だからツムギちゃんはゆっくり考えるといいよー! 」


「 エニナは俺がハーレム作ることに賛成なのか? てっきり、私だけ見てってタイプだと思ってたんだが」


「……そりゃあ私だけ見てほしいよ? けど、ヘルク君は強いじゃん。あれだけ規格外な事ばっかやってのけて、それでいて女の子に優しいヘルク君だもん。皆好きになっちゃうだろうなって思うのは当然だよ。ライバル! っていがみ合うより、自分たちが大好きな人を支え合う選択肢を取った方が、みーんな幸せになれるじゃん! だから私は賛成だよっ! てか、私は助けられた身なんだし文句は言えません! 」


「エニナ……」


会ってたった数日しか経っていないのに、こんなにも俺の事を想ってくれるなんて。


「あっ、泣いてる!? ヘルク君が泣いた!? 」


「ほ、ほほほほんとだ……! 」


「「ヘルクに涙ってあったんだ」」


「メリア!? それにセリカさん!? それはヘルクさんに失礼だよっ!? 」


いや、ほんとに失礼だなあの二人。俺だって涙くらい流すわ。けど今は怒る気にもなれなかった。追い求めていた【幸せ】の少しを感じれたのだから……。


「賛成はそうなんだけど、もちろん私が1番だからね? で、ルナちゃんが2番! 」


「あ、ありがと……」


「あー序列てきな? エニナの姉御って読んだほうがいいかな? てか、順番ならあーしは何番よ。4番でいいのかな? 」


「え? メリアちゃんは3番じゃないの? 」


「セリカ違うの? あーし、てっきりそっちの口もいけるんだなーって勝手に解釈してたけど」


「俺にそんな趣味はないからな!? 」


「そ、そうだよメリアちゃん! ボク、お……男だし」


「んー、けど、あーしの予感が言ってんだよね。多分、セリカハーレムメンバーなるよ? だから3番は開けとくよ」


セリカを見る。

こいつ男のくせに肌つやっつやなんだよな……。


それに手は柔らかくてぷにぷにだし、身体も謎の柔らかさがあったし。


まじまじと見つめていると、なんだかこいつもOKな気がしてきた。


……って、俺は何を考えているんだ。


「だから俺は男をハーレムに入れる趣味は無い」


メリアの頭に優しくチョップをして言う。


「え〜、あーしの予感って大体的中するのにっ! 」


「いやいや予感つってもメリアのただの予想だろ? 的中してたまるか」


「あの……ヘルクさん。その……言い難いんですが、メリアの予感は本人が言ってる通り的中率パないです……ほぼ当たります。99ぱーです」


そんなに当たるの? こいつの予感。

余計な予感を感じるなよと念を送っておいて、俺は皆の食べ終わった食器をひとつのおぼんに重ねて、返却口に持って行った。


片付けながら、さっきツムギが言っていた言葉を思い出していた。メリアの予感は99パー当たる、か。


とんでもないことをしてくれたもんだ……。

いざとなったら【現実改変】スキルでねじ曲げてやる。


セリカがその気であったとしても、この俺がダメだ。ダメったらダメだ。


でもだ。あいつがもし女の子ならOKする他ない。

ま、そんなことは有り得ない。


バカカスが超美少女に生まれ変わるくらい有り得ない話だ。


99パーセントのメリアvs悪魔神。

ククク……この俺が99パーセントなんぞの確率に負けるわけがないわ。


悪魔神の威厳をそんなことに使うなと師匠が怒る声が聞こえた気がする。


はぁ、師匠よ。

この俺は愉快な仲間たちと楽しくやってるぞ。


この姿を見せてやるから俺に会いに来てくれよ、いつでも待ってるから。


窓の先から見える、雲ひとつない晴天を見上げながら、今もどこかで酒を飲んでいるであろう師匠を想うのだった。


――――――――――――――――――

【あとがき】

「続きが気になる!」「面白い!」「ハーレム要因だヨシ!」「セリカお前まさか……」「メリアちゃんかわいい!」と少しでも思って頂けましたら、 広告下からフォローと星を入れていただけますと、幸いです。皆様の応援が、執筆の原動力となります!よろしくお願い致します!


っと、余談ですが、今回の話は書いてて凄く楽しかったです。

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