第13話 悪魔神、グラウンド100周を秒で終わらせ、パンツ鑑賞無双

「さて、気を取り直して……」


俺の回復魔法で復活したルヴェールは、たんたんと授業を進めた。


あれ以来目が合っても逸らされるし、当てられることもなかった。……解せぬ。


次は外での授業らしい。

科目ごとに担当の教師が違うらしく、ルヴェールはもう今日は授業をしないらしい。


グラウンドに出ると、筋肉質なムキムキのおっさんが待ち構えていた。


全員揃ったのを見かねて、声を発する。


「体育の担当はこの俺、マッスル・クルアシーが担当する! お前らよろしくな! 」


なんともフレンドリーな感じだ。


「まずは合格おめでとう! ……むっ、どいつも筋肉がないな。筋肉を付けなければ魔法なんて打てないぞ」


なんだ、ただの筋肉厨のようだ。

それとこいつの言ってることは間違っている。魔法に必要なのは魔力、そして反復練習だけだ。


どんな魔法も練習し続ければ、いずれはものにできる。


「これでは授業にもならん! 全員グラウンドを100周しろ! 」


「は!? 」


「ひゃ、ひゃくしゅう!? 」


「授業時間一時間目ですよね、絶対終わらないじゃん」


阿鼻叫喚の嵐となり非難の声が上がるが、マッスルは意に介さない様子。


「終わったものから授業を初めて行くぞ〜! 」


「授業ですらないんない! 」


そう誰かがツッコミを入れると同時に、地獄(?)のランニングが始まったのだった。


皆端っこにきて、各々困惑した表情を見せながらも走り出していく。


俺はというと……。


「100周なんて無茶だよー! そんなの出きっこないよ」


「こ、こんななななな……広いのにいいいいい……1周でも大変だよ。るなは無理……」


「剣の素振りなら何回でも出来るけど、この広さのグラウンドを100周は、ボクでも無理だよ。マッスル先生は何を考えてこんな……」


「ルナちゃんマジそれな! あーしふつーに1周の聞き間違いと信じ込んでたもん! 」


「どう聞いたら、1周と100周聞き間違えるの!? 」


思い思いに愚痴るこいつらの面倒を見てる。

なんかしれっとメリアとその友達も混ざっているが、賑やかなのにこしたことはない。


「まったく、お前ら100周くらい余裕だろう? 」


「まさかのマッスル先生側だった!! 」


「がーん!! 」


「うっすらそんな気はしてたけどね」


「あんな魔法みせられた後だもんね。ダーリン何でもできそう♡ 」


「あれは人間が放てる魔法なの……? 」


「そこで固まってるお前らぁ!! やらないなら減点するぞ! 」


「できっこないですよ!? うぅ、けど初日から減点されたくないよぉ〜」


仕方ない、ここは俺がこいつらを助けてやるとしよう。


「おいマッスルとやらよ、100周すればいいのだろう? 」


「そうだ! 」


何も禁止事項を言ってこないということは、何をしても文句は言えないはずだ。


俺はにやりと笑い、不安な顔をしながらストレッチを初めたこいつらに言う。


「お前ら、俺にくっつけ」


「「「「「え? くっつく……? 」」」」」


綺麗にハモった。その後。

【神速】を超えるほどのスピードで、抱きついてくる。


右腕にエニナ、左腕にルナ、右背中にメリア、左背中にメリアの連れ。


一人ポツンと取り残されたセリカ。


「またボク!? 」


今空いてる箇所といえば、真正面しかない。

男に真正面から抱きつかれるなんて、勘弁して欲しいところだが、セリカだけ助けない訳にもいかないから、仕方なく、仕方なくだが真正面に来てもらった。


「お前ら、全員しっかりつかまってろよ? 」


エニナとルナは言わずもがな、腕がこいつらの胸に押しつぶされるほどぎゅっと抱きついてきている。


俺の言葉をもってして、メリアと連れも身体を押し付けてきた。


「誘惑するチャンス♡ 」


「し、失礼しますね……てか、自分しれっと紛れてますけど、いいんでしょうか……」


「名前すら知らんが、メリアの友達なんだろ? なら助けてやるよ」


「ありがとうございます。えぇと、名前はツムギです。おっしゃる通りメリアの友達です」


「やー♡ 親友じゃんっ♡♡ 」


「そ、そうだね……っっ!♡ 」


蚊帳の外である。

言うならば、百合の間に挟まる男状態。


して、この二人も色々とデカイ……。

真正面以外の全方位が柔らかいものに囲まれて押しつぶされているわけで……?


違和感に気づいた。

壁のはずの真正面からわずかながら、むにっと感触がしたのだ。しかし居るのはセリカ。


デカイの囲まれすぎて、幻覚か何かでよく分からなくなっているのかもしれない。


悪魔神のメルタルを持ってしても尚、色々と来るものがあるので、さっさと終わらせる。


「【神速】っっっ!! 」


ビュンンンンンン!!!!!!!


目にも追えぬであろうスピードで、グラウンドを回っていく。


もちろん、走っている他の生徒に迷惑がかからないように、わざと端の方を選んだ。


「「「「「あばばばばばばばばばばばばばばばばばばば!?!? 」」」」」


むっ、このスピードで走ったことがないのか、目を回している。酔って吐かれても困る。


「【視覚共有】、【全耐性付与】」


俺の視覚……見えている景色をこいつら全員に共有して、スピードに慣れてもらい、一応念の為耐性も付与しておいた。


急に見えている景色が変わると、身体が追いつかず、頭がパニックを起こしてしまいかねないからな。


しかし、こいつらは筋がいいのか直ぐに適応できた。


「わぁぁ……!! さっきまで何が何だか分からなかったのに、今は目で追えてる! 」


「あばばばば……みんなが数歩歩いたら、るなたちは1周してる……こんなの初めてぇ♡♡ 」


「た、大変だヘルク! ルナちゃんがメリアちゃん化してしまった!! 」


「ちょ、あんたどういう意味よ!!」


「メリア怒らないで〜!! 今そんな状況じゃないよ〜!? 」


して、数分後。


「これで100周だ」


ぶへっ!


ずざっ。


「急に止まらないでよぉ〜」


「悪い悪い。んで、マッスルよ。これで俺たちは終わりだ。授業を初めて貰ってもいいか? 」


「い、いや……お、お前らは休憩しておけ……疲れただろう……」


真っ青な顔をしたマッスルが、額の汗を拭いながら言う。


俺は全くを持って疲れていないが、横を見ると、全員ぶっ倒れてクタクタになっていたので、なるほど、と納得し、一人全員が走り終えるのを待っていた。


因みにだが、倒れるようにして横になったこいつら全員パンツが見えていた。


ランニングをしているヤツらが、ここの通り際にのぞこうと目線を這わせていたので、【転倒魔法】で全員粛清してやった。


俺だけが眺めれる、至高の時間となったのであったーーー。


結局、俺たち以外誰も100周出来ず、授業の終わりを知らせる鐘がなり、1時間のうちの50分ほどをパンツ鑑賞で過ごした。


当然後でミッチリ怒られた。

メリアだけは、怒らずに自分からスカートをたくしあげて、パンツを見せてくるようになった。


ちゃんちゃん!



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【あとがき】 「続きが気になる!」「面白い!」「ハーレム要因だヨシ!」「悪魔神も男の子なんだね」「次回、メリアパンツ無双?」と少しでも思って頂けましたら、 広告下からフォローと星を入れていただけますと、幸いです。皆様の応援が、執筆の原動力となります!よろしくお願い致します!――――――――――――――――――

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