常識知らずの悪魔神、転生したので学園で二週目人生を謳歌する〜一切の容赦をせずに無双していたら、何故か周りの剣聖の娘や大魔導師、その娘に溺愛される。やれやれ、これって普通じゃないのか?〜
第6話 悪魔神、「テストが100000点でヤバいって、低すぎるって意味だよな?」
第6話 悪魔神、「テストが100000点でヤバいって、低すぎるって意味だよな?」
「おきてー! 」
そう声をかけられ、身体を起こす。
それを見計らってエニナがベットから身体を伸ばしてカーテンを開ける。
太陽が差し込み、眩しさのあまり目を瞑る。
起きて数秒しかたってないので、目を瞑るだけで、もう一眠りしてしまいそう。
「ああ、ちょっと寝ちゃだめだよー!? 」
朝から元気が良いのはいいことだが、少し元気すぎやしないだろうか?
ベットへと倒れ込みそうになる気持ちをなんとか抑えて、立ち上がる。
あくびをしながら、いつものルーティンで服を着替える。そう、いつもの気持ちで。
「無言で着替え始めないで!? ……半裸なヘルク君もかっこいい」
ついいつもの調子で着替えてしまった。今この場には友達のエニナがいたんだった。
友達とはいえ異性同士だからな。男の裸なんて見たくないだろう。
「びっくりしただけだがら、それに朝からいいものを見させてもらいました……」
はて、いいもの?
そう聞き返してみたが、何も答えてくれなかったので二人で食堂に行き朝ごはんを食べた後、荷物をまとめて宿を後にした。
俺は荷物はほとんどないので、ほぼエニナ待ちだった。
「ヘルク君の荷物が少なすぎるだけだよ」
「少なすぎる……と言ってもだな。必要なものはバックなんぞより自分で持っておく癖があるからな」
スラムの時の癖もあるだろうが、なにより【アイテムボックス】になんでも詰め込める。
わざわざ重い荷物を背負わなくとも、何時でも好きな時に取り出せるから便利だ。
だからそれを説明してみたのだが。
「えっ、それって賢者様や異世界から召喚された勇者様しか使えない魔法だよ!? 」
えらく驚愕された。それに勇者、の名前が出てきたからか、少し気が悪くなる。
「ごめん私なんか嫌なこといった? 」
分かりやすく顔に出ていたのか、それを感じ取ったエニナは物凄く悲しそうな顔で聞いてきた。
「そういう訳ではないんだが、生憎俺は勇者が嫌いでな」
前世の勇者とは何も関係ないのは分かっている。それでも勇者という存在には拒否反応が起きてしまう。
どうしてもあの憎たらしい顔と死ぬ間際の煽りが脳裏に浮かんでくる……。
「勇者様が嫌いだなんて珍しいね。けど、同年代みたいだからもしかしたら学園に編入してきたりするかもしれないよ」
「それだけは勘弁して欲しいものだな」
「会ったことあるの? 」
「今世では会ったことない。だが俺はどうしても勇者という存在は好きになれなくてな」
どうして、と思うだろう。
普通なら魔物や魔族から自分たちを守ってくれる存在である勇者を嫌う理由なんて見当たらないはずだ。
それでもエニナは理由を聞くことはなかった。
「ふっ、優しいのだなエニナは」
「えっ、どうして!? 」
「勇者が嫌いだなんておかしなことを言っている人間に、その理由を聞かないでおいてくれたからな」
「そりゃ気になるよ。けどね、ヘルク君の顔を見たら何かあったんだなってことは伝わったから。それだけで十分だよ」
「俺は優しい友人をもったものだ」
「急になに!? わ、私もヘルクみたいな友達が出来て嬉しいよー! 」
こうしていると校門前にたどり着いた。
その近くには人だかりが出来ていて、貼られている紙の中から、自分の名前を探していた。
これでは人が退くまで、見れもしないだろう。
エニナも困った表情だ。
俺はエニナの手を引いて、人混みの中へと歩き出す。
掻い潜っていき、なんとか最前列へと到達できた。
まぁこの俺が合格してないはずがない。
高速で流し見をしていく。そして、当然ではあるが合格していた。
しかし何か変だ。点数が100000点となっている。2位のクレハという奴は90点だ。3位は80点台とどんどん下がっていく。
何度見てもこのとち狂ったような点数が付けられているのは俺のみだ。満点である100点ではこの俺を評価し切れないとこの段階で見きっていたのか。
ふっ、この採点をつけた者はよく分かっているじゃないか。
「俺は合格していたぞ。エニナもーーー」
合格していた、そう伝えようとしたが思いとどまった。こういうのは本人が名前を最初に発見して喜びたいだろう。
それに水を差すようなことはしたくない。
俺の声も聞こえてないほど、集中し、真剣や眼差しで目を追っているのが分かる。そして名前を見つけたのか顔が綻んでいき、だんだんと笑顔になっていく。やがて嬉しさが爆発したのか俺に抱きついてきた。
「やったぁ!!! ヘルク君! 私合格してた!!! ほら、あそこに私の名前ある!! 」
俺の胸元で飛び跳ねて喜び、目が合う。
やがて状況を理解したのか、周りをキョロキョロと見渡して、みるみる顔が赤くなっていくのが分かる。
「あ、あぅ……ごめん……こんな場所で」
「可愛いから許す」
申し訳なさそうに離れようとするエニナを抱き寄せて、俺は周りを見る。
なるほど、これは確かに恥ずかしがるはずだ。
なにせこの場の全員が俺たちを見ていたのだ。
そんな野次馬共に言う。
「貴様らこれは見世物では無い。さっさと自分の名前を確認したら後ろの奴らに譲るんだな」
「お前が言うな!? 」
そんな反論が飛び出したかと思えば。
「ひゅーひゅー! 朝っぱらからいいもん見せてもらったぜ」
「もっとイチャつきやがれー!! 」
などと野次もとんだ。
なんだこいつらは、暇人なのか。
野次を飛ばしてきたうちの一人が俺の元へとやってきた。
「俺はウルマ! お二人さんは? 」
「ヘルクだ」
「エニナですっ……! 」
それを聞いて固まるウルマ。いや、周りの全員が固まっている。 どうしたのだろうか。
「へ、ヘルクって100000点とかヤバい点付けられていたあのヘルクであってるのか? 」
「ああ、そうだが。何か変だったか……ふむ、俺にしては少なすぎるって意味か? 」
俺のことを知っている訳がないだろうが、そういってみる。
魔族であれば俺の名を知らない奴はいなかったからな。
人間界でも少しは名が知れていたかもしれないが、良くは分からない。
「いや100000点が低すぎるって自己肯定感どうなってるだ!? 高すぎるって意味に決まってるだろう!? 」
「俺は100000点などに収まる器ではない」
そんなウルマとのやり取りを、未だに抱き寄せられたまま聞いていたエニナは絶叫した。
「じゅ、10万点ーーーーーーーーーー!?!?!?!? 」
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