第39話 二人の魔王と独りの勇者 ③

 「…は?乗っ取るて…?」


 「ああなるほど、さっき避けた悪寒が走る攻撃はソイツの力か?ハハッ面白い」


 「死の力を使うなとは言わないわ。ただ気を強く持って」


 「…わかった。が、もう亡者化を維持するのがしんどいだよね」


 この指輪で消費が抑えられているとはいえ、フレアがそろそろ尽き掛けている。


 「…もしかしてフレアがもう……」


 「ああ、持って5分だ」


 「そう、ひとつ提案があるのだけれど——————っ、何か来る!」


 「『妖術・感覚鋭敏化:対象〈レイ〉。フハッ!吹っ飛べ‼︎『気魔混合砲撃』」


 え?なんで俺にバフ技を?


 ていうか、気・魔・妖全てを使えんのかよ!?


 それにこれに当たるのはやっ!?重力圧グラビティプレスのせいで上手く避けっ!?


 「ガァああああッ!?」


 右…腕が………


 「レイ!っ『妖炎』」

 

 「黙れ。『——


 「チッ、呪いの翼よ『護ッ————」


 ドゴォォォオォッ!!!!!


 「アエリアっ!!」


 ——』」


 …世界が…赤い……アエリア?


 「ガァぁ…ァァぁ」


 「ん?竜?逃げたのか…まあいい、まずはお前だ。お前は死んでも死ななそうだからなぁ、特別にこれ幻神剣で殺ってやる」


 ………………………死ぬ……のか?


 


 嫌だ…生きたい…また………みんなと…一緒に……冬華…母さん…父さん………


 「っ"『亡者化ア"ァ』」


 頭には山羊や羊を思い起こされるツノ、眼も同じく山羊や羊のように不気味になり、脚はバッタのように歪に、爪、そして牙は掴んだモノを決して離さずそして噛み砕く鋭く長くなり、全身は漆黒に染まり大きく、されど洗練された肉体になった。


 これが完全なる『死悪魔の亡者』の力…っ!使いこなせなくてもいい。殺せなくてもいい。ただこいつを撤退させるだけでいいんだ。意地でも一分、いや十分保たせろ!!


 「っ——『神斬カミキリ』————


 


“魂核”との繋がりを介した観測の停止

俯瞰での観測に切り替えます


 「は?お前は——」


 「たく、痛ったいなぁ…僕は慣れてるからいいけどさ、僕の夏生が痛がってらだろうが」


 「———誰だ?」

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