第2話 あなたはどうやら男だったようだ
◆
『前世は、男性だった』
『あなたはしゃべる鳥だった。すごく知性の高い』
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思い出せないと消えてしまう。そんな恐ろしい事を言われたような気がして必死に記憶を掘り起こす。だが、思い出そうとしても具体的な事はサッパリ思い出せない。ただ唯一、多分男だったような……、という淡い記憶だけが残っていた。
「うん。男だ。俺は男だったよ」
「承認。あなたは男でした。その事実が白紙世界に適応されます。外見情報が更新されました。確認されますか?」
「え、あ。うん。お願いします」
応えると、謎の立方体“キューブ”がくるくると回りながら俺の周りをまわった。
すると驚く事が起こる。目の前に宙に浮かぶ鏡のようなものが現れた。
「なるほど、男、だな……。本当にそれだけって感じの」
そこに居たのは、黒髪黒目の、どこにでもいそうな男。年齢は十代後半から二十代? 本当に特徴のない、イケメンでも不細工でもないごく普通の男のようだった。
「貴方の
そういうとキューブのそばにホログラムのようなものが表示される。
なんだこれ。なにやら、文字が書いてあるな……
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【ステータス】
名前:未定
称号:白紙世界の唯一者
性別:男(New)
種族:不定
得能:なし
特性:なし
状態:漂白直後
世界浸透度 1%以下
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「そうか、俺は名前もないのかぁ」
未定ということは、まだ決まってない、という事なんだろう。
そういえば、男だと思い出した影響だろうか。自分の事を自然と俺と呼んでいる。
性格は、うん。まぁよくわからないけどこんなもんなんだろう。
予感として、これからどんどん変わるような気もするけど。
「さて、これからどうすればいいんだろうか……?」
とつぶやいた瞬間だ。キューブが白紙世界と呼ぶ真っ白な世界に突然警告音が鳴り響いた。
「警告、警告。
「な、なんだって!?」
「【男】とは生物:人間を指す言葉であり【人語を介する知性の高い鳥】とは矛盾します。その場合は、雄であると言う処理が必要になります。このままでは、あなたの存在は矛盾概念に引き裂かれ消滅します」
「ちょ、待て待て待て! いきなり消滅とかなんじゃそりゃ。何とかならないのか?」
「回答。異なる主体概念を分離させます。あなたという存在を切り離し、人間、【男】であり、【人語を介する知性の高い鳥】という矛盾を解消させます」
「お、おお。わかった。それでやってくれ! 死ぬよりましだ!」
「了解しました。実行します」
キューブがそういった時だ。
「う、うげ、うげげげげ」
胸がからせり上がってくるものがあった。こらえきれなくて吐き出すとそれは卵だった。た、卵……? と思っていると、その卵にひびが入る。
「ケー---ン!!」
卵から、赤い立派な鳥が飛び出して来たんだ。
バサリと翼をはためかせ、そいつは俺の肩に止まる。
「我はお前、お前は我。知恵あるものとして生まれしお前の分身。何なりと相談するがいい……」
その鳥は、知性たっぷりの偉そうな声でそう言ったんだ。
◆システムメッセージ―――――――――――――
あなたは男だったNew
あなたは人語を介する知性ある鳥でもあったNew
あなたは突然の鳥誕生に狼狽えている。キューブは静かに回っている。
鳥は知性ある存在であるから、あなたの質問により多くの知恵をもって答えてくれるだろう。あなたがすべきことも提示してくれるかもしれない。
鳥に何を聞くべきだろうか?
あなたは、鳥に聞いてもいいし、キューブに命じてもいい。
あるいはまったく関係のないことを行ってもいい。
全てはあなたの自由である。
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(コメント欄に自由に書き込んでください。その情報によって、世界が変化していきます。また書かれた事がすべてそのまま反映されるわけではありません。長文でも、短文でもなんでもかまいません)
(次回更新は、6月29日14:50ごろです。)
(コメントがなくとも、それ相応の展開が進んでいきます)
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