Page2.屋敷の子供達×三
「セラー!」「セラ〜!」「パパ様〜!!」
俺とレイファが下に降りていくと、ずっと待ち構えていたのかこの屋敷の子供三人が飛びついてきた。
いつもこうやって飛びついてくるこの子達はものすごく可愛い。
「セラおはよー。」「おはよ〜。」
「おはようミズ、ヒナ。」
ミズとヒナは双子だ。
空色の髪の男の子がミズ。桃色の髪の女の子がヒナだ。
目はどちらも紫色で、紫水晶のようにキラキラとしている。
「パパ様おはようなのだ!!」
「ぐふっ…おはようノノ。」
俺は身長が低いから、子供に飛びつかれると大体胸の辺りに頭がぶつかる。ミズとヒナは勢いが弱いから衝撃も少ないが、ノノの場合はかなり強く思いっきり飛び込んでくるため胸にものすごい衝撃がくる。ズンッて感じで結構痛い。
しかも今も少しずつ成長しているので、どんどん力も強くなっている。
自分はいつまで受け止めることができるかと不安になってしまうこともある。
意地でも受け止めたいから、魔法で自分の肉体を強化する。だからギリギリ大丈夫だろう。たぶん…。もし受け止められなくなってきても頑張ろうと思う。
ノノポールは白色の髪に金色の目の女の子だ。頭からレイファと形の違う金色の角が生えていて、黒い尻尾が生えている。肌は褐色で、この屋敷では一…人だけだ。本人は、自分だけちょっと違う肌だということを一切気にしていない。ちゃーむぽいんとなのだと言っていた。
ちなみに愛称はノノだ。本名で呼ぼうとすると、その時の機嫌によるが、悪い時だと口を聞いてくれなくなるので注意が必要である。
「セラは起きるのが遅い。ぼくとヒナは待ってたんだよ!」「待ってたんだよ。」
「ごめんね。朝ねぇ俺の部屋にレイファが入り込んでたんだ。だから遅くなっちゃったんだ。」
「セラよ。全部わしに押し付けるのか!?」
「また勝手に入り込んでいたの?」「いたの〜?」
ミズとヒナはコテンと首を傾げながら尋ねてくる。
そんな二人はとても可愛い。
「フグッ…うう‥二人ともなんて可愛い顔でわしを見るんじゃ。やめるんじゃ。そんな顔で見られるとわしは…わしは正直に話したくなっちゃうんじゃ!」
「じゃあ正直に話せばいいんじゃない?」
正直に話すことなんてないじゃないか。隠すほどのことでもないくらいいつも通りのことなんだから。自分が勝手に部屋に入りましたって言っちゃうだけなんだから。
「話せばいいんだよ!」「いいんだよ〜!」
「わしが勝手に入り込んだんじゃ〜。」
レイファは顔を隠してしゃがみ込む。そして言ってしまった。
「ちゃんと言えた!」「えらい〜。」
自分が勝手に入り込んだと言ってしまったレイファに、ミズとヒナが駆け寄った。しゃがみ込んでいるレイファの頭を二人でなでる。
これを見ると、どちらが年上なのかわからなくなる。
本当にごめん…全部レイファが悪いんだ。
自分があんなにはしゃいでいたことを棚に上げて、責任をレイファに押し付ける。
俺にも悪いところはあると思うが、確かにそうなってしまった原因はレイファにあるから。押し付けたは押し付けたが、どちらかと言えばレイファの方が悪いのだ。
「ミズ様、ヒナ様、ノノポール様。お待たせしました。マスターとレイファ様が下りてきたので朝食にしましょう。」
「あ〜!セトラがまたあたしのことをノノポール様と言ってるのだ!やめるのだ。ノノでいいのだ!」
「失礼しましたノノ様。ミズ様ヒナ様も座ってください。マスターに食べてもらうために朝早起きして頑張ったのでしょう?」
「急いで座るんだよ!」「座るんだよ〜。」
三人は慌てて自分の椅子に座る。
ノノは三つ椅子が置いてある中の真ん中に座る。そのノノを挟むようにしてミズとヒナが座る。
「今日はセトラを手伝ったのだ!野菜をちぎったのだ!」
「ぼくは混ぜたんだよ。大きい鍋を混ぜたよ!」「わたしは盛り付けやったんだよ。」
「そっか、三人ともすごいね!」「ぁ__
「すごい?」
三人を褒めると、ヒナが聞き返してきた。その質問の答えを、ヒナだけじゃなくミズやノノまでもが待っていた。
思ったことはしっかりと伝えてあげないといけない。
「もちろんすごいよ。自分で早起きしてセトラを手伝ったんだもんね。」
「うん!」「ん!」
「あたしたちはすごいのだ!」
三人は嬉しそうに笑う。
ノノは自分だけじゃなくて、しっかりミズとヒナのことも一緒に褒めている。
それを見ていると、にっこり笑ってしまう。
三人がお互いに褒めあっている光景はとても微笑ましい光景だ。
「セラ!わしを無視しないで欲しいのじゃ!わしも三人を褒めたいんじゃ!」
「ごめんレイファ。聞こえてたけどわざと無視してた。」
「知ってて無視したのか!それは酷いのじゃ!」
「まあまあ気にしないで。三人のこと褒めてあげたいんだろ?今すぐに褒めてあげないと。」
「そうじゃったな。」
レイファは、すでに椅子に座っている三人の頭にポンポンと手を乗せて撫でた。
「三人とも頑張ったのう。わしよりもずっと早く起きて、わしがセラといちゃついている間に_「おい」_セトラのことを手伝って本当に偉いのじゃ。「俺はいちゃついてな_」黙っておれ。_「あ、うん…。」」
そう言った後、最後に朝一番の笑顔でレイファはこう言った。
「ミズにヒナ、ノノもすごいのう。」
「レイファ様、嬉しいよ。」「だけどちょっと恥ずかしいんだよ。」
「母様に褒められたのだ。嬉しいのだ!」
レイファに黙らされたセラは、子供達三人とレイファの会話を見ていた。
最初はこんなに馴染んでなかったのにな…そう思った。
三人はいまだにレイファのことを様付けで呼んでいるが、前よりは気軽になったのだ。
前は近づくことすらしなかったほどなのだから。
今は仲良く話せるようになっているし、レイファのことを呼び捨てで呼ぶようになる日も近いのかもしれない。…いや、ノノポールは別か。
ノノにとってレイファは、とてつもなく綺麗で強い母親なのだ。そんな母を呼び捨てにできるほど、ノノは傲慢ではない。い
つか絶対に追い越してやるとは思っているみたいだが、まだ追い越すことはできていない。
ミズとヒナが呼び捨てにならないのも、レイファが母親みたいなものだからだろう。
血は繋がっていないが、目を開けた時から一緒にいたのだ。母親みたいなものと言っていいと思う。
三人にとってレイファは憧れの母親だ。強くて優しくてとても綺麗なのだから。
そんな母親に褒められたんだ。三人はものすごく喜んでいる。
ノノは全身で喜びを表現しているし、ミズは嬉しいと言う気持ちが顔から溢れている。ヒナはあまり自分で表現をしないが、片手をもう片方の手で包んで胸の方に持っていっている仕草をしているのでやはり嬉しいのだろう。
「さあマスター。レイファ様。席に着いてください。三人がせっかく手伝ってくれたんです。冷めないうちに食べましょう。」
セトラがセラとレイファを席に座らせようとズイズイと押してくる。
かなり強く押してくるので、押し返す理由のないセラはすぐに椅子にすわる。
「セトラ、押さなくていいのじゃ。自分で座るんじゃ。」
「失礼しました。悪かったとは思いますが自分で座るならすぐに座ってください。」
「三人のことを褒めてたから座っていなかったんじゃが…。」
そんなことをぶつぶつと言いながらレイファは自分の席に座る。
ーコトリ
セトラが全員の前に食事を置いていく。
置き終わった後、セトラも自分の席に着く。
「じゃあ食べようか。全員手を組んで。」
「「「「「「自然の恵みに感謝します」」」」」」
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