番外編 不動 澄恵 愛ゆえに・・・6/8


学校の襲撃事件も地元のニュースで取り上げられて学校は悪い意味で有名になった

しかし私にとってはどうでもいい、返り討ちにした剣一君は皆に恐れられて近寄る悪い虫が居なくなったからだ


私は、学校内でも剣一君の御世話をしてプライベートでも何回かに一回はハウスキーパーのバイトに入れてもらった


そしてある日突然事件が起こる、剣一君が皆なんとか言う年寄りの小説家とお母さんの会社の金森とか言う編集長と東京湾上でクルージング中に船が沈没して行方が分からないとの連絡があった


「澄恵!私すぐに現地に行くから!お父さんと待ってて!!」


「いやよ!私も行くから!!!今回は絶対に行くから!!」


必死に縋る私に折れた母親と捜索本部の仮設された場所に向かうと


「ああ、純香さんに澄恵さん心配を掛けました・・」


救急車の傍で治療を受けてる剣一君はずぶ濡れで頭からタオルを被っているが、体自体は問題ないそうだ私は安心して体の力が抜ける


「それで・・剣一・・・何があったんだ?」


剣一君は私の方を少し見て、優しく微笑むと意図を察したお母さんから席を外す様に言われお母さんの車で待つことにした


(剣一君・・・雰囲気が変わった・・・あんな優しい笑顔で私に・・・うふ、ふふふふふ・・どうしよぉ♡)


車から様子を伺うと何人かの警察とお母さんそれに座って治療をうける剣一君が話こんでいる



結局助かったのは剣一君だけで他の2人は見つからなかった、剣一君は検査入院で3日程入院した


「今度は私にお世話させてよね!!」

強引に剣一君の御世話を申し入れ、私は学校から帰ると面会時間ギリギリまで剣一君に付き添った



学校では、池月とその取り巻きの逮捕という事実を受け退学となり学校もイジメと混乱問題の収拾の為、調査機関の立ち入り実態調査が行わられた


すると、校長と教頭の賄賂による一部生徒の不当な優遇が明るみになり、脱税の罪も合わせ懲戒免職及び逮捕となって、更に悪い話題で学校は連日報道を騒がせていた



クズの幼馴染は妊娠、流産、そして二度と妊娠できなくなるという事実に精神的ショックから引きこもりになった、このままだと退学は間違いないだろう


そして琴音のクズは、剣一君の手紙を受け取った翌日あたりから急に大人しくなりクラスの皆との話にもあまり加わらなくなって空いた時間で一人で黙々と自習していた


剣一君の手紙の内容が何だったか知らないが、私は今後二度と私の剣一君に近づかなければ良いからと無視する事にした




剣一君は退院後に会見を開き騒動の責任を謝罪し、自身の出版物の自粛を発表した。


会見に参加していた、皆なんとかの遺族と金森の遺族は剣一君に罵声を浴びせて警備してるスタッフに追い出されるという映像が流れていた


確かに運転してる人にお酒を勧めるのは良くないと思うが、実際に飲んだのは金森で剣一君が一方的に責められるのはおかしいと思うが会見ではその遺族に対しても頭を下げて謝罪をしていた


だが私は剣一君が無事に生きていてくれたことが何よりで、そのだけで救われた気になっていた・・・・・・のに・・





「え!?従兄ちゃんが!?」


それは母からの突然の電話だった、会見の後すぐに剣一君は激しい頭痛を訴えて控室で倒れそのまま救急搬送されたという事だった


会見場に同伴していた母が付き添いで救急車に乗り込み今から緊急オペだという、予断を許さない切迫した状況なので私もお父さんと一緒に病院に向かう


(神様・神様・神様・神様・・・・・・)


車の後部座席で必死で祈る


病院の救急の受付口から待合室に向かうと椅子に座り正面の時計を見つめて緊張してる母の姿があった


「お、お母さん!おに・・剣一君は!?」


「澄恵・・落ち着いて・・・今オペ中よ・・・いまは大人しく待ちましょう・・・」


(神様・神様・神様・神様・・・・・・)


私は母の横でずっと祈る、4時間を超える頃に赤々と点灯していた【手術中】のランプが消え、自動扉が開きオペを終え血まみれのオペ服を着た先生達が額に汗を滲ませながら出てくる


その内の一人の先生が母さんと廊下をウロウロ歩くお父さんに気付き、談話室に来るように言ってきた


「嫌よ!私も一緒に話を聞くから!!」


「分かりました、妹さんもどうぞ此方に・・・」


先生がパソコンの画面を操作すると、頭の断面図が映し出された


「結論から申しますと、息子さんは脳に血栓が出来ており、それが大きくなった影響で今回と恐らく前回も倒れられたのだと思われます」


母は驚きながらも尋ねる「けっ血栓ですか?・・前もということは以前から血栓は出来てたという事でしょうか・・」


「はい、その通りです」

医者は別の断面図に切り替えると拡大して説明する


「脳のこの部分は、人間の痛覚・・を司るといわれてる部分です、剣一君はこの部分の周りにかなり前から血栓が出来てたと思います」


「この部分に血栓ができると、身体的な痛みや精神的な苦しみに対し無感になり本来人が痛みで抑制するはずの身体的に無理な動きなどの抑制が効かなくなってたと考えられます」


「先生!剣一は何故、血栓なんて・・・」


「おそらくですが、長年にわたる頭部への強い衝撃・・一般的にはボクシングや格闘技などで頭部への打撃が考えられます、あとは精神的なストレスも原因と考えられます、よほど大きな精神が耐え切れない程のストレスを受けたとか・・」


(池月達による日常的な暴力と、幼馴染による裏切り行為で大切にしていた陽香叔母さんとの大事な思い出を踏みにじられたからだ・・・・・)


「血栓は除去しましたが、脳の損傷は激しく左脳のほとんどが機能しなくなってしまいました」


「え?先生・・・それは、どういう・・」


「非常に残念ですが、意識が戻ったとしても右手と左足に後遺症が残る事になるでしょう」



(そんな・・・剣一君・・・剣一君が・・・・)


『はぁ?俺が誰をイジメてようが関係ねぇだろ?それよか、お前可愛いなwあんな陰キャどうでもいいからよw俺と付き合えよ、沢山良い目見せてやるよw』


『私が好きって言って告白されて付き合った相手が、たまたな幼馴染をイジメてる相手だかっらって何で私が責められないといけないの?』


『まぁ母さんの形見は悪い事したとは思うけど、私がここまで責められる様な事なの?とか思うのよねぇ』









許せない・・・・・






許さない・・・・・







生きてる事を許さない・・・・・







私が許さない・・・・









私は池月と姫野に底知れない憎悪を抱いた

このままにしておけない

二人を許すわけにいかない

二人を破滅に導いてやる


まず黒羊という匿名で池月宛に手紙を送り

姫野 雫が池月の子供を妊娠していたが半グレによる集団強姦により流産となりその時に受けた暴行の影響で二度と妊娠出来ない体になったという事実を告げる


池月の精神状態は分からないが、既に池月の両親は離散しており、

たとえ出所してきても既に帰る場所はない

自分の責任で一生癒えない苦しみを持つ人が居るとわかれば出所してからの生きる目的として勝手な償いを模索して姫野との接触を考えるかもしれない

クズのままでも、池月は姫野に接触して何か行動を起こすに決まってる

あれだけ女癖の悪い馬鹿だ、手っ取り早い性処理相手に姫野を選ぶ可能性は高い




そして姫野の方は以前の様にDMで慰めのメッセージを送る


【黒羊:姫ちゃんの状況は本当に大変なんだと思うけど、姫ちゃんが今何をしたいかだね、こんな事をした相手に対して・・】


【姫:うん・・今は、後悔と恨みの感情が入り乱れてる・・・幼馴染に謝りたい・・・そんな資格無いけど】


【黒羊:幼馴染の事は置いといて、姫ちゃんに酷い事をした相手に対しての憎しみでも恨みでもいいから強い感情が生きる意味になるし】


こうして二人に対し、お互いが相手に対し【償う】【償わせる】という感情の種を植え付ける




コイツらは絶対許さない・・・

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