番外編 不動 澄恵 愛ゆえに・・・3/8

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剣一君と義兄弟になり歓喜の夜からあけて


次の日、どうやって剣一君と兄弟のスキンシップをするか考えながら体育授業でグラウンドを走っていると、校舎側の茂みの奥の道をヨロヨロと歩いてる剣一君を見かけた


私は周回から外れ一直線に剣一君の元まで駆ける

障害になる幼馴染(ゴミ)も遠慮する琴音(クズ)も剣一君の近くに居ない、剣一君の家族になった私は無敵だ、駆け寄ると剣一君の腕を掴む


「せッ先輩!やっと見つけました!!」


「はぁ?誰?俺は君なんか知らないけど・・つか俺帰る所だし離してくんない?」


剣一君の目は他人を見るような目だ、しかし今の私は無敵だ、これからは他人では無く家族、しかも身も心も深い深い家族になるんだから


「私、1年の不動 澄恵です!先日は危ない所を先輩に助けてもらいました!」


私は、剣一君を混乱させまいと自分の昂る感情を99%押し殺し自己紹介して頭をさげる、しかし察しの良い剣一君なら気付くはず・・・


「知らないな・・俺は人助けなんかした覚えもないし、そもそも君とも初対面だ・・勘違いの様だしもう良いか?」


剣一君はそう言うと私の腕を振り払い、足早に立ち去って行った・・・私は・・・


諦める訳ない!!


校門を出て直ぐ壁に倒れ掛かる剣一君を肩に担ぎお母さんに電話して病院を手配してもらい学校にも電話して私が早退する旨伝えてもらった


手配したタクシーが直ぐに到着して、そのまま母の指定した病院に向かう、車中で剣一君の手を握って耳元で囁く


「いつまでも、一緒に居るよ、すこし遠回りしたけど・・不動せんぱ、剣一君・・・これからは私が全身全霊で一杯癒して上げるから♡♪」


「お母さん!私に義兄ちゃんのお世話をさせてよ!!いいでしょ!!」


私は病室の前で正直に自分の気持ちを母に伝えた、そして子供の頃助けて貰った事も、最近車に撥ねられそうになった所を助けてもらった事も


そして剣一君を誰よりも愛してる事も・・・母は驚いていたが私の真剣な話に最後は抱きしめて応援する事を約束してくれた


しかし、母は何か考える様子から軽く首を振り今回の剣一君の入院中の見舞いとお世話自分がするという


「私が剣一君の近くに居るべきなのに・・・私達は一緒になるべきなのに・・・」


あまり強引に押し通して母の不信を煽ると将来の二人で暮らすのに支障になるかもしれない・・・


その代わりに私は、母にお願いして剣一君の退院の日のサプライズ計画を相談しておいた


剣一君の無事退院を願いながらスマホのSNSをチェックしてると【#幼馴染絶縁】で投稿してるアカウントを見つけた


念の為別のアカウント【黒羊】を作成し、姫野 雫本人かどうか探りを入れる


話の内容から間違いなく姫野 雫と言う名のクソビッチのゴミだった、その投稿内容をみると吐き気を覚えるが、たまにある幼馴染と元通り仲良くしたいの匂わせの投稿には我慢が出来ない


【こんにちはw黒羊といいます!姫さんはじめましてw投稿内容に興味があったのでDMしてみましたw】


こんな自分勝手な投稿内容に共感する奴は居ないので多分反応したのは私だけだったのだろう、直ぐに【姫】から返信が来た、それから何回かのやり取りをしていく内に、このクソビッチの本性が見えてくる




【姫:私の事を好きって言ってくれて告白されて付き合った相手が、たまたま幼馴染をイジメてる相手だかっらって何で私が責められないといけないの?】


【黒羊:ああそれね~w八つ当たりの焼きもちかな?幼馴染君w】自分で書いてて吐き気がする、剣一君がこんなクソビッチの股緩女の事を好きだったのかと思うと不条理な世界を呪いたくなる


【姫:そもそも、幼馴染とじゃ付き合ってた訳じゃないのに、彼氏とエッチしてたからって恨まれる筋合いないよね・・彼氏から脅されてとかも、私にそう言えば良かったんだし・・】


【姫:何回も話聞くって聞いてあげたのに言わなかったのは幼馴染の勝手だよね!】こいつ・・・殺してやりたい・・・・今すぐに・・


【黒羊:そうだよw姫ちゃんは悪く無いよ~その陰キャの幼馴染君嫉妬深いね~姫ちゃん気を付けなきゃw】こんな事を書いてしまった自分を許せず、テニスで一番大事な手の甲を何度も殴る


【姫:まぁ母さんの形見は悪い事したとは思うけど、私がここまで責められる様な事なの?とか思うのよねぇ】火葬場で陽香叔母さんのお骨を抱え、寂しそうに俯く剣一君を思い出し、涙が溢れる・・・・


【黒羊:その陰キャ幼馴染君、心せっま~っ一人カラオケのボックスより狭いよww】スマホの画面に溢れる涙がしたたり上手く反応しない


【姫:www確かにw、猫の額的な?w今風だねぇ黒ちゃん】


【黒羊:そそ、姫ちゃんも気にしちゃぁダメだぞぉ~落ち込まず元気出していこうーーー!!】


【姫:おーーーう!w】



コイツは何時か絶対に地獄に送ってやる・・・そう誓い涙でぬれたスマホを机に放り投げ、ベッドに仰向けになり自分で殴って赤く腫れた腕で目頭を覆う


【姫:今日久々に彼からメッセージが来た!!】の頭お花畑のメッセージに反応せずに放置してると、それ以降【姫】からのメッセージは来なくなった


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