第34話 狛田家、崩壊の協奏曲
〇 狛田家、崩壊の協奏曲
剣兄が巻き込まれた、半グレチームの学校襲撃事件
事件を引き起こした犯人の一人は、義兄をイジメていた池月だった
池月は自ら事件への関与を認め此れまでの経緯を全部洗いざらい警察へ証言してるらしい、
更に一斉に検挙され逮捕となった半グレチーム【紅竜】の首班、竜崎 紅丸(21)も仲間だった池月の取り巻き連中も全員犯行を全面的に認め刑に服す事を執拗に求めているらしい
その中で、同じ学校で池月と交際していた女子生徒の一人が半グレによる集団強姦されたとの情報が地上波では無くSNSで拡散されていた
私は見て無いが、怪しいサイトからアクセスした男子生徒は強姦されてる映像が2年の姫野先輩によく似てたと言っていたのを耳にした
実際、ここ1週間以上、雫ちゃんは学校に来てない、心配で私から電話もしたしメッセ―ジも入れたが返事は無かった
【ピィンポーン】
【ガチャ】
「はーい、どちらさ・・・・琴音ちゃん・・いらっしゃい・・」
玄関から顔を覗かせた叔母さんは憔悴してるようで笑顔もどこか窶れて見えた
「あ、あの・・雫ちゃんは・・」
叔母さんは、深い溜息と共に首を重そうに横に振ると
「折角心配して来てくれたのに、ゴメンなさい・・雫は今誰とも会わないって・・本当に御免なさい・・」
叔母さんは軽く笑いながら頭を下げて謝ってくれたが、その笑顔は今にも消えそうな線香花火の様だった
暫く経ったある日私が教室に入ると、私の昔からの友達でもある澄恵が大勢のクラスメートに囲まれていた
「ねぇ澄恵!!本当に澄恵って不動先輩の妹なの!?」
「ちょっと、違うって、妹じゃなくて義理の妹で関係は従妹だってばぁw」
え?これ・・どういうこと?澄恵が剣兄の従妹?義妹?たしかに澄恵の苗字は・・不動だったけど・・小さい頃には私と砂場で遊んでて意地悪してきた中学生を剣兄が追い払った後も何度か一緒に遊んだ事あったはずなのに・・その時は何も・・従妹とも言ってなかったのに・・・どういう事?
「え?ちょっと澄恵!?剣に・・不動先輩・・と従妹って・・私聞いてないんだけど・・・」
「えw?そうだっけ?でもぉ私も知ったのつい最近だから~ぁ♪琴音に言って無かったならゴメンねぇ~♪」
何これ・・・確かに剣兄は狛田家と縁を切って亡くなったお母さんの妹さんの所に養子になったとは聞いたけど・・
それに・・なんだか澄恵のこちらを、蔑んで見下す様な目・・・・気に入らない・・
「あっ!でも皆、私、従兄(おにい)さんに学校では不動先輩って呼ぶように言われてるから皆も気を付けてねぇ~♪」
・・・・私は・・私は・・剣兄に学校では絶対に家族バレしない様にって無下に扱い、その結果兄から絶縁された・・
しかし目の前で、恋する乙女の様に嬉しそうにはしゃぎ、クラス女子に従兄自慢する友人は剣兄を大好きな自慢の従兄だとクラスメートにふれまわる・・
【ギリッ】私は奥歯を嚙み潰して、澄恵を睨み
「澄恵!!どういうつもりなの!私へのあてつけなの!!」
急な私の怒鳴り声に、クラスメートは驚き静まるが
「あははは、琴音は何を怒ってるのか分かんないけどw♪」
すっと、運動部らしい軽い身のこなしで座ってた机から飛び降りて、私の少し前に着地すると、スッと顔を上げて殺気の籠った目でわたしを見ると急にニコっと笑い、他の女子生徒の方を向くと
「いやぁ~琴音は一人っ子だしねぇ急に私にあんな素敵でイケメンな従兄が出来て嫉妬したかなぁ~w」
【確かに~あんなイケメンの兄弟か親戚私も欲しいぃぃ】【私なら恋人で欲しい!!】【えええ、澄恵!不動先輩私に紹介してよ!!】
元義兄を前は陰キャ先輩、ネクラ先輩と馬鹿にしてきたクラスの連中が、掌を返してもてはやす姿に怒りを覚える
「元々は!私の「琴音ちゃん!琴音ちゃんは今も昔も一人っ子、そうだよね?」・・・澄恵ぇぇ・・あんたぁ~・・」
怒りに震える私の肩を軽くポンポンと叩き耳元で(お昼になったら食堂前の通路脇にあるベンチに・・)と小声で澄恵に告げられる
そしてモヤモヤしたまま午前中の授業が終わり、他の女子生徒のお昼の誘いを断りながら、運動部らしく大きめの弁当袋を持ち足早に走り去る澄恵の姿を見てその後を追った
「来たわよ・・澄恵・・」
「うん、私も今来た所、まぁ座ったら?」
そういうと、2人かけのベンチの片方を開けて私に座るように促した
大きなお弁当の袋を抱えたまま開けて食べる気配が無いので私からの言葉を待ってるのだと思い口を開く
「ねぇ、澄恵・・あんた教室での態度・・あれなんな訳?」
澄恵は勝ち誇ったように目を閉じて見え透いた作り笑いをする
「態度?何?いつもと同じじゃない?」
「あんた!剣兄が私の義兄だったって知ってるよね!それを自分の従兄だって知ったからって!」
澄恵は呆れて軽く溜息をつく
「ちがうよ?琴音・・・剣一さんは従兄だけど今は、わ・た・し・の義兄(おにいさん)、あんたは今、無関係のあ・か・の・た・に・ん・わかる?」
澄恵の言ってる事は正論で、その通りだが
「だ、だからって!私の前であん「琴音が言ったんだよね?私に、当時の狛田先輩が自分の義兄だって絶対に周りに言うなって」・・そ、それは・・・」
澄恵は見下した様に私に言い放つ
「もし言ったら、絶交・・・だっけ?♪」
「まぁ別にアンタと仲良くする必要も理由も無くなったしね、絶交するなら絶交しても今なら全然いいけどね~w」
「なぁ!?」
動揺した姿を見ていて、奥の何かに気付いた澄恵が私の後ろに向かって、満面の笑顔で手を振りだした
「従兄さ~ん!!」
恐る恐る振り返ると、澄恵の呼びかけに反応してる無表情の剣兄が立ち止まって此方をみていた
「ちょっと待っ~てぇ~」そういうと澄恵は慌てて振り返り弁当袋を持ち、剣兄に駆け寄っていった
その姿を茫然と見つめていると、剣兄から何やら茶色い封筒を差し出され話をしている不機嫌そうな澄恵と無表情の剣兄
暫くすると、渋々剣兄から封筒を受け取り自分のもっていた弁当袋を代わりに剣兄に渡し、こっちを不機嫌そうに見ると再び近寄ってきて剣兄から渡された封筒を無造作に差し出す
「これ!!従兄さんからっ!!さっさと受け取って!!」
そう私の胸に押し付けて私が受け取ると顔を近づけ
「私の剣一さんに、二度と近づくな・・・」
殺しそうな冷たい目で睨みながらそう言うと
クルと反転して剣兄の元に駆け寄り、腕に絡みつき無表情な剣兄に幸せそうに話をしながら二人で食堂に消えていった
唖然として見送る私の手には宛名に【狛田 琴音様へ】と剣兄の筆跡でかかれた茶色の封筒が握られていた
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