第33話 狛田家、崩壊の序曲


○ 狛田家、崩壊の序曲



「狛田主任に2番お電話で~す」


受話器を取り、ランプの付いてる2番のボタンを押す


「もしもし、お電話代わりました〇〇商事営業2課 狛田です」


月末間際で、書類整理に追われてて受話器を肩に挟み手を動かしながら電話応対する


『わたくし、J〇Bクレジットの並木と申します、この度クレジットの残高未払いが3ヵ月続いておりますので、お問い合わせのお電話となります』


「え?!」俺は咄嗟の事で受話器を肩から落としてしまった、慌てて受話器を拾い上げ電話口に戻すと


『ご自宅に、督促状を何度か郵送させて頂きましたが、ご連絡いただけないので失礼かと思いますがこうして旦那様のお会社様に直接お電話させていただいた次第です』


「ちょっ、ちょっと待って下さい!私毎月15万程カードの口座に振り込んでいます!残高が無くなるなんて事は・・・」


『申し訳御座いません、〇〇銀行よりお振込みの翌日には全額引き落としされてまして、当方が引き落としする時には残金が残っていない状況で御座いまして』


(嘘だろ!?家のローンや光熱費は別で引き落とししてて、15万で生活出来ないとか!?)


『契約者様?大丈夫でしょうか?』


「は、はい!、申訳ありません、で、いくら支払いが滞ってるんでしょうか?私、出張先で督促状をみていないもので」


『お電話口で申し上げてよろしいでしょうか?』


「はい!お願いします」俺は近くのメモを取り金額を控える「・・・・・・!?」


『では、期日までにお支払いお待ちしております、本日は大変お忙しい中ご対応誠に有難う御座いました』


俺は静かに受話器をおいて、今書いたメモ用紙を振るえる手で掴み確認すると


「188万6400円・・・」


その日は残業せずに直ぐに帰宅し、妻に電話する・・・出ない・・・・出ない・・・どうなってる!?


仕方なく俺は琴音に電話を掛ける・・・早く・・・まだか・・・【ガチャ】


「琴音!」

『義父さん・・・なに?今更・・』


娘の無感情な喋り方にイライラが募る

「何?じゃない!!、お母さんは!何してる!!」


『ちょっと!電話口で怒鳴らないでよ・・うるさい・・』


「うるさいじゃない!お母さんは!!」


『お母さんは出かけてるよ・・ここ暫くは夜遅くにしか帰って来ないよ・・』


「はぁぁ?俺が一生懸命に働いて、疲れて帰ってるのに、アイツは遅くまで遊んでるのか!?ふざけるな!!」


『はぁ~だから、それは夫婦の問題でしょ?なんで私に怒鳴ってるのよ・・』


「いいか!良く聞け!お前の母親が家のカードを使って遊び惚けているせいで、190万近くの借金ができてんだ!!」


『そんなの、知らないわよ・・私の作った借金じゃないし・・さっきも言ったように夫婦の問題は夫婦で解決してよね・・母さんが借金作ったからって私に文句言われても・・』


「お前ら親子は疫病神だ!!母親は金遣いが荒いしヒステリー、娘は義兄を蔑ろにして精神的に追い込み、家から追い出すクズだ!!これなら剣一の方が何倍もましだった!!」


『ふ、ふざけんじゃないわよ!!自分の事を棚に上げて偉そうに!!』


「本当の事だろうが!!だいた『山岡 咲』・・・え?


『知らないとでも思った?それこそ舐めるんじゃないわよ!アンタがしてる事私知ってるんだから!』


「ちょっ、ちょっと待て・・ど、どこで・『もう、アンタと話す事ないから切るね、お金の話は母さんと直接して!!』・・【ツゥー・ツゥー】


どうしてバレた・・誰が・・剣一?・・剣一か!!アイツ!!俺との約束を破りやがって!!!


俺は怒りに任せて剣一のアドレスをタップすると、緑の発信ボタンを押す・・・・クソ!・・・クソ!・・・出ろよ!!・・・【ガチャ】


「おい剣一!どういうつもりだ!!」


『あぁん?何がだ?つかお前誰?』


「ふっふざけるな!お前の父だろうが!それよりも良くも家族にバラしてくれたな!!」


『あぁぁ、クソの元父親か・・久しぶりだなぁ?w今日はどうした?』


「どうしたじゃない!!良くも家族に咲の事バラしたな!!!」


『あぁぁ、まぁ遅かれ早かれバレるしねw』


「き、貴様!!!俺の不幸がそんなに楽しいか!!ええ!」


『おい、この際ハッキリと言っておく、お前は母さんが病で苦しんでいて、目が届かない事を良いことに今のクズ元義母と浮気し臨終の時もホテルに入り浸り母の死に目にも現れなかった』

『挙げ句の果てに、母の保険金をクズ元義母のホストで作った借金の返済に充て使い果たし、葬式も満足に挙げられず、墓石に墓碑銘も入れない』

『お前みたいな奴は、最初から親とも思ってないさ』

『そんなクズを何故俺が守らないとならない?殺されないだけ有難いと思えよ』



「お、お前は・・『それより、咲さんがそろそろ帰ってくるよ、大事なお・は・な・し・じゃないかな?』


「き、貴さ【ガチャ バタン】「ただいまぁ~ちょっと病院が混んじゃってて~今から夕飯作るねぇ~」

『プッ、アハハハハじゃそういう事なんでぇw』

【ツゥー・ツゥー】


「あれぇ?誰かと電話してた?」


「い、いや、そ、その、あっあぁ娘とな、久しぶりに・・電話でな・・」


そう言うと咲はエプロンを付けたまま俺の胸に飛び込んで抱き着いた




「ねぇ出来たみたいw」


「・・・・え?晩御飯もう出来たの?」












「プッ・・フフフ、もうぉやだぁ違うよ~赤ちゃんだよwあ・か・ちゃ・ん」



【ピロリィン】





剣一:【おめでとw】パチパチパチ(拍手のスタンプ)

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