第29話 KUZU file2 池月 流星(クズの本命)

●時間は遡り、、剣一が入院して3日目が過ぎた辺りのクズSIDE



KUZU file2 池月 流星(クズの本命)



今まで俺がイタぶる側だったのに、あの一件で全てが逆転した・・学校では野良犬野郎に殴られて、家に帰ればその野良犬野郎に失礼の無いようにしろと俺の事を蔑ろにする親に幻滅する。

悔しいが奴の喧嘩の強さは本物だし社会的なパワーバランスも親父より上らしい、

あんなクソ陰キャにへコヘコ親子揃って頭を下げなきゃならないなんて我慢ならない・・


しかし、学校に行けば奴に殴られその都度、土下座して許しを請うそんな毎日に俺は肉体もプライドもズタズタだ



「お、親父・・俺、ちょっと頭が痛くて・・学校を休みたいんだけど・・」


俺は着替えず寝巻のまま額を押えて、苦い表情を作ってキッチンに降りてきた


「休む事は許さん、体調が悪いなら朝食は要らないな、直ぐに制服に着替えるように」父は新聞から少し目線を上げ一瞬俺を見ると興味無さ気に新聞に目線を戻し俺に告げる


「ちょっ、まってよ!俺体調悪いっていってるじゃないか!父さん医者だろ、体調が悪い場合は無理しないのが一番じゃないか!」


父は俺を見る事も無く「ふむ、お前の言う様に私は医者だ、その私が問題ないから学校に行けと言っている、何かおかしいか?」

(しまった!墓穴を掘ったか・・まぁ今から着替えて学校に向かっても遅刻は間違いないし、どうせなら学校に行くふりして途中でサボって遊ぶか♪)


俺は自室で出来るだけ時間をかけて制服に着替え、怠そうに玄関に向かい

「それじゃ~行ってきま~


「待ちなさい、


玄関で呼び止めた親父はスーツに着替えて出かける用意をしている

「ああ、父さん行ってくる「今からじゃ遅刻だろう、私が車で学校まで送ろう」・・え?」

「い、いや・・大丈夫だよ・・そ、そのいざとなれば走って行「体調が良くないのだろう?遠慮するな」

(クソ!くそ!糞!最悪だ!さっきから墓穴を掘ってばかりだ!これじゃ途中でサボれない!クソ!クソ!)

結局、親父の車に乗せられて囚人が護送車で刑務所へ送られるような絶望感を感じつつ、いかにあの野良犬野郎から逃げるか考えていると


「流星!不動君に失礼の無いようにキチンとお勤めを果たしなさい!」


車から降りようとした俺を見る事も無く、運転席のウインドウから俺に告げるクソ親父・・

(クソ!まるで本当の囚人じゃないか!)

俺は無視して、重い足取りで教室に向かった・・


すると、野良犬野郎は来ておらず、その上暫く入院するらしい、ビクついて損したじゃねーか!

あの糞野郎は居ても居なくても俺を不機嫌にしやがる、クラスでの俺の扱いも酷い物だ、アレだけチヤホヤしてた連中が誰も寄って来ないどころか影でコソコソなにか噂してやがる

偶に睨み付けると、バツが悪そうに目線を避けやがる、コバンザメ共も俺に近寄りもしない

野良犬野良みたいにボッチしてやがる、まぁ俺も同じか・・

しかし、姫野だけは俺に小さく挨拶をしてきた、まぁ今は色々と状況を打開する方法を考えているが、取り合えず数が正義だクラスの連中もあんな暴力的な野良犬が居たらクラスの空気が悪くなるので奴の存在自体望んでないだろう


俺は放課後に残った連中に、協力して野良犬野郎を学校から排除しようと呼びかけたが、誰一賛同する奴は居なかった

俺が失敗した時の報復を恐れて、どっちつかずの日和見な連中に俺はイライラして扉を蹴とばし帰宅する事にした


帰り道もイライラが収まらないのと最近ご無沙汰で溜まってるのも有り解消する為、俺は姫野を呼び出す事にした。

メッセージアプリを開き、上手い具合に呼び出す文言を考えてると、俺の元取り巻きから先ほどの野良犬の排除の話しに協力したいとメッセージが来る、俺は底の浅い連中に呆れながらも捨て駒が出来たことで良い作戦を思いつきとある知り合いに電話を掛ける



「もしもし、ご無沙汰です竜崎さん」

『ああ、誰かと思ったら流星か・・最近連絡が無かったなぁ・・』


俺は緊張しながら電話していた、今電話してるのはこの辺一帯を根城にしてる半グレチームの【紅竜】のリーダー竜崎 紅丸だ、コイツのヤバい噂は数知れない、強姦、強盗、喧嘩、窃盗、恐喝、犯罪歴に事にことかかない


「い、いえ・・その少し困った事がありまして・・」


俺は今学校で起きてる事を簡単に電話で説明した


『へぇ~そんな舐めた奴がまだお前の学校にいんのかw』

「そ、そうなんです、な、なんなら、【死神】が来ても、全部まとめて潰してやる!とか・・いって」


【ガシャーン】電話口で何か割れる音がした


『おい、流星・・聞き捨てならんぞ・・お前、【死神】の鮫島さんを知ってて言ってんだろうな・・』

俺も都内で一番大きな暴走族の【死神】は知ってる、まさに【紅竜】はその下部組織で、【紅竜】の管轄区内で【死神】への軽はずみな行動や言動を放置したら、竜崎自身の身が危険だ


『お前・・本当に、その不動って野郎が鮫島さんに舐めた事言っていたんだろうなぁ~違いますでは済まねーぞ!!』


もう旗は振られた、ここから引き返すのは無理だ俺は「勿論です!おれが今までに竜崎さんを裏切るような事したことないですよね!!」


汗を拭いながら、なんとかボロが出ないようにコイツ等を使って、あの生意気な野良犬野郎を潰してやる!





『まぁ俺とお前の仲だ、今回は信じようじゃないか』

「はい!有難うございます!!」

おれはホッと胸をなでおろし思い描いた通りに事が運んでニヤニヤしていた


『ああ、それと前に頼んだ立ち番の宛ては見つかったのか?』立ち番というのは、窃盗や強姦をする時に周囲に見つからないように警戒する時のいわゆる見張り役だ


「はい!勿論です、2人程揃えましたので今度紹介します」俺は元取り巻きの連中を駒に使うつもりで居たw


『それと、毎回悪いが俺らの活動資金のカンパ頼めるか?』


「勿論です、明日の夜でもお持ちします!」(結局、金か・・まぁいい、これであの野良犬が始末出来るなら安いもんだ・・)


『それじゃ、明日いつものアジトに21時な』


「了解しました!!」おれは通話を切り

「フフフフ、アハハハハ、ア~~ハッハハハハ」


「最高だぜ、全部俺の手の内だw頭の足りない脳筋野郎をあの糞生意気な野良犬にぶつけて徹底的に潰してやるぜぇぇ」

「それに、俺を裏切ったコバンザメにも此方から抜け出せないようにしてやるかなぁ覚悟しとけよ!!アハハハハ」



久しぶりに気分が晴れやかだ、俺は久しぶりに姫野にメッセージを送った、その返信は素早くあの女はかなり俺に依存してる事が分かった


「それじゃ雫、明日の20時半に港側にあるコンビニで待ち合わせな、二人とも色々有ったから久しぶりに海でも見ながら落ち着いたデートをしよう」

『うん!流星、大好き、私楽しみにしてるね!!』


俺はツールの赤い丸を押して、姫野との通話を切ると








「クックッ、本当に楽しみにしてろよ、し・ず・くw」



  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る