第7話 「新たな証拠」
ラボに戻り、山下真理子の研究に関する追加情報を調査し始めた。夏美がパソコンでデータベースを検索し、彼女の研究プロジェクトに関する情報を集めている間、私は他のチームメンバーと情報を共有し、次のステップを計画した。
「山下真理子の研究に関する情報がいくつか見つかりました。」夏美が画面を見ながら報告した。「彼女は新薬の治験に関与していて、その薬は心臓に作用する成分が含まれています。」
「鈴木大輝の死因と関連がありそうね。」私はデータを確認しながら言った。「この新薬の詳細なデータをもっと調べて、どのような影響があるのかを確認しましょう。」
「了解です。すぐに解析を進めます。」夏美は迅速に作業を続けた。
解析が進む中、優斗が新たな手がかりを見つけた。「この研究プロジェクトには、複数の被験者が参加しているようです。鈴木大輝以外にも同じ薬を服用している人がいるかもしれません。」
「他の被験者にも話を聞いてみる必要があるわ。」私は優斗の言葉に頷き、リストを確認した。「まずは、このリストにある被験者に連絡を取って、話を聞いてみましょう。」
被験者の一人、田中弘樹に連絡を取り、面談の約束を取り付けた。彼の自宅は市内の静かな住宅街にあった。雨は依然として降り続き、私たちは傘を差して玄関に向かった。
「こんにちは、田中弘樹さんですか?」私はインターホンを押して尋ねた。
「はい、そうです。NDSラボの方ですね。」田中はドアを開けて私たちを迎え入れた。
田中弘樹のリビングはシンプルで居心地の良い雰囲気だった。私たちはソファに座り、彼に質問を始めた。
「山下真理子さんの研究プロジェクトに参加されていると伺いました。その治験についてお話しいただけますか?」私は丁寧に尋ねた。
「はい、その通りです。新薬の治験に参加していますが、特に問題は感じていませんでした。」田中は落ち着いた様子で答えた。
「最近、体調に異変はありませんか?」優斗が尋ねた。
「実は、最近少し息切れを感じることがあります。でも、大きな問題だとは思っていませんでした。」田中は少し不安そうに答えた。
「他の被験者と連絡を取ることはありますか?」私はさらに質問を続けた。
「いいえ、特に他の被験者とは連絡を取っていません。」田中は首を振りながら答えた。
「ご協力ありがとうございました。これが事件解明の手がかりになるかもしれません。」私は感謝の意を伝え、田中の家を後にした。
ラボに戻ると、夏美が解析結果をまとめて待っていた。「山下真理子の新薬には、特定の条件下で心臓に強い負荷をかける成分が含まれていることが分かりました。この成分が鈴木大輝の急死に関与している可能性が高いです。」
「なるほど。この成分が何らかの形で過剰に作用したのかもしれない。」私はデータを見ながら考えた。
「さらに、他の被験者にも同様の症状が出ている可能性があるわね。」優斗が付け加えた。
「そうね。私たちはこの成分がどのように作用するのか、さらに詳しく調べる必要があるわ。」私は次のステップを計画し始めた。
「まずは他の被験者全員に連絡を取り、体調の異変を確認しましょう。」私はチーム全員に指示を出した。「さらに、山下真理子の研究に関する詳細なデータを徹底的に調査します。」
「了解です。すぐに取り掛かります。」夏美と優斗、美咲はそれぞれの役割に戻り、調査を進め始めた。
「必ず真相を突き止める。」私は心の中で強く誓い、調査の続行を決意した。
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