第7話
朔矢は、自分の置かれた状況を悲観する事もなく淡々としていた。ゴミの山を掻き分けながら奥のリビングへと案内してくれたが、そこも悲惨な状況なのは変わりがなかった。
「取り敢えず片付けよう」
朔矢の顔を見に来たつもりが、大掃除をする事になろうとは思ってもみなかった。単身向けの小さな冷蔵庫にはペットボトルが二本しかだけ入っていなくて、夕食の買い出しを兼ね必要なものを近くのスーパーへ買いに行き、戻って来てから大急ぎで玄関とリビングだけをまず片付けて、それからようやく夕食の準備に取り掛かった。
朔矢はその間、手伝う事もなくただぼんやりと外の景色を眺めていた。
「朔矢、ご飯にしよう」
呼んでも微動だにしない。寄る辺のない深い哀しみに沈んでいる様だった。
「先生は彼女いるの?」
「何を急に言い出すかと思ったら……いないよ」
「嘘だ。優しいし、面倒見いいし、家事得意だし、絶対モテる」
「だから嘘じゃない。先生、女性が苦手なんだ。その、前に勤めていた学校で色々あって、若い子を前にすると、その、息苦しくなったり、吐き気がするんだ」
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