第3話 対策の模索

ジャン=ルイは冷静に対策を講じる決意を固めた。「この生命体はエクリプスから来た。何としてもこれを排除しなければならない。マリー、データパッドの解析を急いでくれ。対策を見つける必要がある。」


マリーは必死にデータパッドを調べ続けた。彼女の手は震えていたが、集中力を失うことなく、過去の記録を読み進めた。やがて、彼女はある記述にたどり着いた。


「船長、ここに書かれています。この生命体は強力な電磁波に弱いようです。我々の船のメインジェネレーターを使えば、これを撃退できるかもしれません。」マリーの声には希望の光が宿っていた。


ジャン=ルイは指示を出した。「よし、ジェネレーターを最大出力にし、船内に電磁波を放出する準備をする。皆、準備を!」


乗組員たちは緊張の中、指示に従い、ジェネレーターを最大出力に設定し始めた。エンジニアたちは冷静さを保ちながら、各機器の調整を進めた。船内の照明が激しく明滅し、不気味な低音が次第に高まっていった。まるで何かが怒りに震えているかのようだった。


その時、再びエアロック近くで異変が起きた。クロードが叫び声を上げ、ジャン=ルイとマリーは急いで駆けつけた。そこには、影のような存在がゆらめいており、クロードを取り囲んでいた。


「船長、助けて…!」クロードの声は恐怖に満ちていた。


ジャン=ルイは決然とした表情で影に向かって叫んだ。「クロード、ここから離れろ!早く!」


クロードは必死に影から逃れようとし、マリーが彼を引き寄せて安全な場所へと避難させた。ジャン=ルイはその場に立ち尽くし、影の存在を凝視した。影は形を変えながら、不気味な低音を響かせ続けていた。


船内の温度が急激に低下し、冷たい風が再び吹き抜けた。腐敗した金属の臭いが鼻を突き、乗組員たちは呼吸が苦しくなった。まるで船そのものが腐り始めているかのようだった。


ジャン=ルイはエンジニアたちに声をかけた。「ジェネレーターの準備はどうだ?」


エンジニアの一人、エマニュエルが答えた。「あと少しで完了します、船長。」


その瞬間、船内の照明が完全に消え、深い闇が全てを包み込んだ。不気味な低音はさらに大きくなり、まるで船全体が悲鳴を上げているかのようだった。ジャン=ルイは冷静さを保ちながら、全員に声をかけた。


「全員、持ち場を守れ!何があっても冷静を失うな!」


その言葉が響く中、影はさらに激しく蠢き、まるで生き物のように動き回っていた。乗組員たちは恐怖に震えながらも、ジャン=ルイの指示に従い続けた。


エマニュエルは必死にジェネレーターの調整を続け、最終的に準備が完了した。「船長、準備完了です!」


ジャン=ルイは深呼吸をして心を落ち着け、ジェネレーターのスイッチに手を伸ばした。「いくぞ…電磁波、放出!」


その瞬間、強力な電磁波が船内全域に放出され、照明が再び激しく明滅した。不気味な低音は次第に高まり、まるで船全体が震えるかのようだった。影は形を変えながら、次第に消え去っていった。エアロック近くにいた影も同様に消滅し、乗組員たちは安堵の息をついた。


しかし、その時、船内の通信システムが再び異常を示し始めた。スクリーンには新たなメッセージが表示され、ノイズ混じりの音声が響いた。


「これは…ただの始まりに過ぎない…」


ジャン=ルイは凍りついたようにスクリーンを見つめた。新たな恐怖が、彼らの前に姿を現そうとしていたのだ。


次の瞬間、船内の照明が完全に消え去り、全てが闇に包まれた。彼らの戦いは、まだ終わっていなかった。

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