第47話4階層




あ!あったぞ。

地面を凍らせて分からないようにしているが、俺の鑑定なら簡単に探し出せたぜ。


やっぱ凍ってるから、この場所は肌寒いぞ。


『スラ!炎で溶かしてしまえ』


『わかった』


赤い炎が広がって凍った地面を溶かす。


やっと溶けた階段は、水でベチョベチョだよ。

だから滑らないように1段1段を踏み締めて下りる。


『スラ、あそことあっちも溶けてないぞ』


気づかなかったら下まで滑り落ちてたハズだ。


『ごめんです』と答えてスラは、「ボッ」と炎を吹いて溶かす。



そして下りた先には、まさに圧巻だ。


高さ10メートル幅は8メートルもあった。

人工的に作られた通路が・・・

壁の7メートルの位置に微かに灯る火があった。


あれが無かったら真っ暗になっていたに違いない。



その火が巨大通路の奥まで続いてる。

まさに4階層は、巨大迷路を予感させていた。


ここに止まっても仕方ないので歩きだす。


鑑定が『何かあります・・・トラップです』と表示。


「これって、トラップか・・・」


通路の床は、ほこりが積もっていて上手く誤魔化していた。

しかし、俺の鑑定が20センチの正方形がトラップの仕掛けだと見破った。


そこを踏めば、2メートル四方の床が「パカッ」と開く落とし穴だ。


え!なんで・・・


スラがスルスルと進んで「カチッ」とトラップを起動。

開いた落とし穴に落ちやがった。


急いで落とし穴を覗き込んだ。


鋭い槍が・・・そんな槍にもスラは平気だった。

レッドの教え以降、恐るべしスラの身体能力だ。

物理攻撃無効を開花させているぞ。


あ!炎を吹いて穴からも脱出に成功。

俺の目の前に着地したぞ。


床が「バシャン」と閉じた。


え!この落とし穴、勝手に閉まるんだ。


『スラ、勝手な行動はよせ!』


『わかった』


俺は、2メートル四方を避けて通る。

もしかして開いたら怖いからだ。



またトラップだ。

石を取り出して投げる。


床に当たった瞬間に2メートルのブロックが「ドンッ」と上から落ちた。

俺が投げた石は、粉々に潰されたよ。


こりゃー1発で死ぬぞ。


もしかして、この石も上に戻るのか・・・


あ!マジで石が浮いて10メートル上まで戻った。

ダンジョンは、なんでもありか・・・


そんな落下トラップが34ヶ所もあった。

スラを肩に乗せて踏まないように注意して進むだす。



ああ、またトラップだ。


このトラップ、避けれないようにセンサーで作動するタイプだ。

横の壁から太く長い針が飛び出す仕掛けだ。


知らない人間なら串刺しだ。


どう見てもセンサーに引っ掛かってしまうぞ。

赤外線のような生やさしい物ではない。


『スラは、右から飛んでくる針を叩き落とせ。俺は左を担当するから・・・』


『わかった』


作動した瞬間に4本の針が時間差で飛んできた。

無音の攻撃だ。


鋼鉄の腕輪で「カン、カン、カン、カン」と弾きとばす。


スラを見た瞬間・・・針が刺さってるぞ。


『おいしくない』


『お前、針を喰ったのか・・・』


『たべたらダメ・・・』


『ダメではないが・・・』




そんなトラップゾーンを抜けると高さ30メートル、横幅60メートル。

奥行きは分からん。

そんな空間が広がっている。


「カサ、カサ、カサ、カサ」と音が・・・


ムカデだ。

頭は、1メートルもあって全長は、10メートル以上も・・・



大ムカデ

HP500

MP250


スキル

呪い



え!俺の目の前に・・・思い切り蹴り上げた。

反射神経がさせた。


鑑定が『呪いが発動します。目を隠してください』と表示。


目をつぶって左手で目をかばう。


それでも何かピカッと光ったような・・・


あ、体が・・・これって・・・

体全体にしびれが、右腕なんかダラリとさがって動く気配もない。


これはヤバイぞ。

心臓の脈拍も弱ってるぞ。

こっれって即死の呪いだ。

目をかばったから死んでないだけだ。


あ!『60、59、58、57、・・・』死へのカウントダウンだ。


あ!レッドが飛び出してきた。


『ピエー、ピエー』


え!2メートルまで成長してた。

そして、大ムカデに向かって右手で引っかく動作を・・・なぜか大ムカデが綺麗に引き裂かれていた。


俺は痺れで、その場に倒れ込んでいる。

動くこともできないし声も出ないぞ。


これなら魔方陣の魔法を跳ね返す結界を張ればよかった。

今になっては、後の祭りだ。


え!レッドが近づき何かを発動。


鑑定が聖なる光を感知して動かない体が元に戻った。

カウントダウンは、『10』で消えた。


おいおいおいおいおいオーーイ!!『呪い無効』を手に入れたぞ。



「レッド、ありがと・・・これで怖いものナシだ」


『ピエー、ピエー』と鳴くレッド。


「おい!よせ」


俺を押し潰す気か!


え!今度は、俺を高い高いをしやがった。

俺は、お前の玩具か・・・



  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る