第40話大会議




探索者ギルド協会本部の大会議室。


全てのドアには、内側から施錠せじょうされて外から入れない。

警備する者や出席した議員は、身体検査を受けた。


スマホ類は、没収されて外に連絡も動画配信も出来ない。

そして秘密保持契約もさせられていた。


「世界を揺るがすと言われても・・・坂田さんは、何か知りませんかお願いします」


「知らんよ。こっちは旅行までキャンセルさせられて、頭にきてるんだ」


「聞いた話ですが・・・スパイダーの製作者が来るらしいです」


「それは本当か・・・ワシもどうにか知り合いになりたい・・・何か良い手はないかね」


「あったら、先にやってますよ」


「それもそうだ。わははは・・・」


司会者の矢部議員が「静粛にお願いします」とマイクに向かって話した。


「皆さんに開示する情報は、極めて重要な情報です。親や配偶者、子まで決して話してはいけません。それでは動画を見てください」


照明が落とされる。



異世界の街並の風景が映し出された。


「コスプレを見に来たのか!」とヤジがとんだ。


新しく総理に就任した鎌田が「黙って見ろ!」と怒鳴った。


ウーが裸になった時には「ウオーー!!」と歓声があがった。

それもつかの間だった。


狼になる瞬間は、皆は息をのんだ。

そして大会議室は静寂に包まれる。


オークと戦う場面では、腹を裂いて内臓が「ドバッ」と飛び出した。

それを見て女性議員の数人が失神して、1人が気分が悪いと言い出した。


映像がストップ。


待機していた医者と看護士や警護員によって、別の部屋へ運ばれた。


「気分が悪くなった場合は、あの部屋へ静かに行ってください」


そんな注意がなされた。


また暗くなって映像が流れる。


さっきより残忍なシーンが続いた。

それを我慢して見続ける。


全ての映像を見終わった議員からため息が漏れる。


その顔には、まだ信じられない思いが垣間見えるのが俺だけだろうか・・・


俺と谷本さんと彼女らが皆が見える位置に歩いた。



ザワザワと話し声が波のように広がる。



谷本「探索者ギルドでは、転移門で異世界へ行けないか試しましたが行けませんでした。原因は不明のままで、


なので湖へ『深海丸』以上の強度の重力ドローンを偵察で試みた結果、このような映像を・・・ご覧ください」


どでかいゴーレムによって指先で潰されるまでの映像が流れた。


「あんなモンスターが居たのか・・・地上に現れたら大変な災害になるぞ」


「スパイダーで倒せないのか・・・転移門で行けばいい」


谷本「それは不可能です。ダンジョンには、転移門を開くことが出来ません・・・」


「わたしは、異世界人に聞きたい。魔王が居ると聞いたが攻めてくる気があるのか・・・それが聞きたい」


相沢「彼女らは、まだ会話は出来ません。わたしが変わって答えます。魔王は、ここの皇族のように尊い存在で彼女らには、分からないのです」


「考えてみれば、納得もできるな・・・彼女らの身分は確かなのかね」


相沢「彼女らは、奴隷です」


「もしかして君が買ったのかね」


相沢「はい、買いました」


「なんと!恥をしりなさい。すぐに奴隷から開放しなさい」


相沢「開放しろと言われても奴隷契約の魔法でどうにもなりませんよ。あの首輪を切ったりしたら死にますよ。それに殺される寸前の奴隷を助けたのも事実ですよ。感謝されても非難される覚えはありません」


だから詳細を語り、シルーの無残な姿の写真も見せた。

ルシハーの目がクル抜かれた顔写真。

片足の無いウーまで・・・俺が助けた証拠だ。


写真を見ながら涙する議員も・・・


「言い過ぎた・・・すまん」


「なんて酷い制度なんだ。中国の西太后せいたいこうと一緒ではないか」


ああ、あの話か・・・ 中国史の「三大悪女」の西太后。

咸豊帝かんぽうていに愛されていた麗妃れいひに嫉妬した西太后は帝の死後、麗妃の手足を切断し、生かしたまま、水瓶に入れた・・・

たしか映画であったな・・・題名は忘れた。


谷本「もう1つ、知らせる情報があります。湖の階段は、ダンジョンの階段では無い可能性です」


「それは、どう言う意味かね」


谷本「2階層の岩場の穴に3階への階段が見つかりました。そこは吹雪が吹き荒れる場所でした。しかも砂漠と同じく温度は23度で凍え死ぬことはありません」


「その階段がダンジョンの階段だと・・・砂漠と同じで気温も・・・」


谷本「なので湖は、レアなケースと考えてます」



そんな情報で議論が尽くされた。


海外には秘密にして、様子見だ。


何をしたら良いか分からないのが現状だった。



そして・・・

中国のスパイから重要な情報が議員らに知らされた。


中国でクーデターが起きる情報だった。

中国の経済が困窮こんきゅうしてるのは、皆も知っている事実だ。

それがクーデターの原因でもある。


日付は未定。


そのクーデターの構成員の一部が北朝鮮にも接触して、北朝鮮でもクーデターを起こす計画だった。

それも中国共産党全国代表大会に核ミサイルを撃ち込む計画だ。

その混乱で中国クーデターを成功される。


その議案も様子見となった。


スパイ法で創設されたWJI(世界日本調査)も機能するには、数年必要と判断。

WJI長官が皆に謝っていた。



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