第39話帰れた




そろそろ日本に帰るか・・・彼女らも連れて帰ろう。



スマホのアプリを見ながら出発点へ戻った。


「ここが御主人さまが来られた場所ですか・・・壁ですよ」


なんか俺も急に心配になってきた。

鑑定を発動して確かめた。


「大丈夫だ、帰れる階段はあるから・・・」


彼女らにも、日本への期待が高まっていた。


その原因は、スイーツだ。

美味しいスイーツの話で盛り上がったよ。

アイテムボックスに残ってた玉子サンドを3人が食べた・・・


アイテムボックスの飴で思い出した。

レッドは、ここに来てから『音信不通だ』

異世界だからと・・・

だから飴は、出さなかった。

出したら永遠のお別れになるようで嫌だった。



「御主人さま、どうかしましたか・・・」


レッドのことを思い出してボーッとしてた。


「それでは、新たな世界に行くぞ」


「はい」


「はい」


「御願いします」


手を取り合って壁に向かって歩いた。


俺は入れたのに、シルーの手が何かに拒まれて入れない。

これってダンジョンが拒否してる・・・なぜだ。


俺は引き返した。


ルシハーも壁を触っているが反応がない。

ウーも拳で殴った。


「ダメなようです・・・わたしが奴隷だから・・・」


「それは違うぞ」


あきらめムードが漂っていた。


「最後の手を使うぞ」


「何か方法でも・・・行けますか・・・」


俺は手をかざして転移門を魔方陣で発動。

強くなったし、成功する予感が・・・


「成功だ。先に入れ!」


黒い楕円形があった。


転移門って、こんな感じだったのか・・・初めて見たからビックリだ。


「何してる!入れ」


勇気を出してシルーが入った。

ルシハーもウーも入った。


最後に俺も入る。


自宅の10畳に3人は、立っていた。


俺は玄関に開いたハズなのに、勝手に入ったな・・・


それに土足で上がるなんて、あ!知らない3人に怒れない。


「靴を脱いで・・・」


「靴をですか・・・」


「なぜ・・・脱ぐの・・・」


「ここは土足厳禁なの・・・とりあえず脱いでくれ・・・」


脱いだ靴を玄関に持って行った。

土で汚れた畳も土を回収して綺麗にして座り込んだ。



『ピエー、ピエー』とレッドが出てきて俺に抱きつく。


あ、レッドだ。

生きてたのか・・・ちょっと涙が・・・慌てて拭き取った。


「レッド、寂しかったか・・・」


『ピエー、ピエー』


「御主人さま、この生き物は何ですか・・・ドラゴンの子・・・」


「そうだよドラゴンで・・・名はレッドだ」


『ピエー、ピエー』


「おおお、幻の聖獣では・・・」



なんとか落ち着かせた。


「テレビでも見てくつろいでくれ」


テレビをつけた。


「何ですか・・・」


「ギョ!」


押し黙るウー・・・



初めて見たらビックリするよね。


「何を言ってるのでしょう・・・御主人さまには分かりますか・・・」


「え!同じ言葉で話してるけど・・・」


「いえ、まったく聞き取れません」


これって奴隷契約なのか・・・向こうで話せて、知らずに自動会話が出来るようになったのかも・・・


ノートパソコンを持って来て電源オン。


たしか『サルでも話せる日本語』があったハズだ。

これだ・・・


ひらがなの『あ』が表示。


女の人が『あ』と発音。


口の中の絵が出てきて舌や口の形が詳しく書いてあった。


「これが『あ』だ。皆で『あ』って言ってごらん」


「え」


「あ」


「いいよ、いいよ」


「あ」


「完璧だ」


そんな彼女らを見ながら、弟子達も心配してるだろうとスマホを見た。


え!日付が変わってない。

これって、向こうに行ってる間は、時間ストップか時間が遅く経過した可能性も・・・


なんてこった。



スマホで旭に電話した。


「旭か俺だ。薬師でしょぼいスキルの子・・・誰だったけ」


風間鈴かざますずですよ。何かありましたか・・・」


「その子に魔法が習得出来るかもと言ってくれ。それで習得したいなら俺の自宅に行けって言ってくれ」


「変なことをしませんよね・・・わたしもついて行きますのでよろしく」


あ、切りやがった。



俺は谷本さんに電話した。


「もしもし谷本さんですか・・・折り入って話がしたいので自宅に来てくれませんか・・・大変申し訳ないと思ってます・・・はい・・・お願いします」


これは、秘密に出来ない。

俺1人で解決できるレベルを超えている。


自衛隊のおっさん連中に話すのも・・・

1番いいのがギルドの谷本さんだ。






なんか外が騒がしいぞ。


なんとヘリだ。


もう風が吹きつける。

木の葉が舞いめちゃくちゃだ。


え!ロープが垂れて人がスルスルと降りて来た。

自衛隊の特殊隊員か・・・



「ピンポーン、ピンポーン」


あれ!誰だ。


画面を見ると谷本さんだ。

ヘリから降りたのが谷本さんだったのか・・・




異世界の話を谷本さんに長々と話した。


「シルー、挨拶を」


「は・じ・・めま・・して・・・シルー・・で・・・す」


もう少しだな・・・


「ルシハーの番だ」


「はじ・・め・・まして・・ルシハー・で・・・す」


「ウー」


「はじめ・・まして・・ウー・・・です」


「不思議だ・・・君が彼女らに話している言葉だが・・・分からない言葉で話していたぞ」


え!俺が分からない言葉で話してたって・・・そんなバカな・・・



「ピンポーン、ピンポーン」


来る人物は、分かっていた。

だからドアを開けた。


「師匠、連れて来ました」


「お邪魔します」


「谷本さん、今から異世界のスクロールを実際に見せます」


「風間君、このスクロールを見ながらひらいてみるんだ。魔法が習得出来るハズだから」


風間はスクロールをひらいた。


「感じます『衝撃魔法』を習得したことを・・・信じられない」


「ガラガラ」と窓を開けて「あそこの岩に当ててみるんだ」


「はい」


え!手をピストルのようにして「バン」って声にだした。


その瞬間に岩は「グシャン」と粉々になって崩れた。

あれが『衝撃魔法』の威力だった。

衝撃の理解度が半端ない。



「やりました。わたしがやりました」


「最初でこれだけの威力だ。訓練して熟練度をあげるんだな・・・」


「はい、訓練してあげます」



  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る