第37話スクロール




ウーを護衛にして街をブラブラしてた。

ここの常識と俺の常識の違いを探るために・・・


奴隷制度でもまだまだ知らないことで一杯だ。

食事も俺が同席した場合は、俺が「食べていいぞ」と言わない限り食べない。

そんな暗黙ルールが存在してたよ。


「あの2人に買い物を任せて大丈夫でしょうか・・・」


君よりマシだと思うよ。

ウーは、お世辞にも家庭的でない。

あの薄味スープに塩を振って、食べた俺の真似をして・・・

「ドバッ」と振って塩辛いって・・・そりゃー辛くなるよ。


あ!れって・・・「あの看板は何・・・」


布がひらひらしてる看板って何屋さんだ。

旗屋、生地屋、包帯・・・


「あれは、魔法習得のスクロールの取引所です」


「え!今なんて」


「スクロールを売ったり買ったりする取引所です」


「スクロールの前に言ったのは・・・」


「魔法習得ですか・・・」


「それそれ・・・なんで早く言ってくれないかな~」


「聞かれてませけど・・・」


これなんだよ。


常識の違いって・・・


話をよく聞いた。

自分自身の魔法を取引所へ売ってスクロールに封印するシステムだ。

封印魔法って言う魔法だ。


そのスクロールを買って本人が広げると魔法を習得できるらしい。


これだよ俺が求めた物は・・・


ドアを開けて入った。


「え!スクロールは、どこにも無いぞ」


「御主人、あのカードに魔法の説明と値段が書いているので、欲しい魔法のカードと金を店主に手渡す必要があります」


あ、そうか・・・

スクロールを勝手にひらかれたら台無しだ。



ウーは、1枚のカードを選んだ。


「『うつす魔法』は、自身が病気や怪我で重症の場合になった時に、他人にうつす魔法です。価格は白金貨10枚になります。いい魔法です」


何、言ってんの白金貨10枚って1億円だよ。


「他人にうつしても罪にならないのか・・・」


「他人にうつした場合は、罪になります。しかし、相手が奴隷の場合は大丈夫です。そのように申告して役人立会いでするので」


「え!それで奴隷が死んだ場合は」


「罪になりません。それに病気がうつる病気で死ぬ恐れがあれば、うつした後に火で焼き殺すのも罪になりません。主人の命を救って病気根絶したとたたえられます」


富める者はますます富み、貧しき者は死が待ってるか・・・


「御主人、流行病の場合は、『うつす魔法』を転売するのも大丈夫です。流行病が流行れば高く売れます」


嫌々、やめてくれ・・・そんな話を聞きたくないよ。

もう頭の中はモヤモヤだよ。


それなのにウーよ・・・ケロッとした顔をするな・・・


白金貨10枚、持ってないのに聞くだけ無駄だ。


「白金貨1枚の魔法を探してくれ」


「白金貨1枚ですか・・・『傀儡くぐつ魔法』、相手を操り人形のように操れる魔法ですね」


なんか怖過ぎる魔法だぞ。

テロを考えてなら俺が欲しいわ。


「それキープしておいて・・・」


ウーはうなずいて読み始める。


「これは金貨1枚ですよ・・・『次元を切る魔法』がありますが説明が無いですね」


次元って空間の広がりの度合いで、線は1次元、面は2次元、立体は3次元。

その次元を切るなら、なんでも切れるぞ。


次元の意味が分からないから説明もない。

本人も何に使っていいか分からん魔法なら、安くなっても納得だ。



『衝撃魔法』も安かった。金貨3枚。


見えない衝撃を相手にぶちかます

なんでも精神力と衝撃の理解度で威力が違うらしい。





店の店主は、女性だった。

緑の肌に緑の髪のドリアードの熟女だ。


「この3枚をください」



『傀儡魔法』白金貨1枚


『次元を切る魔法』金貨1枚


『衝撃魔法』金貨3枚


テーブルに差出した。


「変わったものを買うんだね・・・ウフフフ」


店の奥に行ってゴソゴソして戻ってきた。


「さあ、ひらきな・・・」


「え!ここでひらくの・・・」


「呆れたね・・・それも知らないのかい・・・持って帰るなら1つ白金貨1枚だよ。作るのが大変なんだよ」


嫌々、聞いてないよ。

ウーの方を見る。え!なんかありましたか、そんな風な顔だよ。


決心して『傀儡魔法』をひらいた。


あ、感じる。

ステータスにも傀儡魔法が表示されてる。


この『次元を切る魔法』もひらいた。


あ、感じるぞ凄い真実も、これってありなのか。

表示されて・・・次元空間を切れる・・・それに時間を切って過去や未来へ行けるって・・・


どう頑張っても最高1時間内のタイムワープが限界だ。

そりゃーそうだ。


俺が生まれる前に行って何かして未来が変わったら、俺の存在も怪しくなる。



白金貨1枚をテーブルに出して、『衝撃魔法』を持って帰ることにしたよ。

日本でも使えるか試す必要があるからだ。

ダメなら・・・ダメで仕方ない・・・なんとかなるって・・・


「次回に来た時に、このスクロールで交換って出来ますか・・・」


「出来るよ」呆気ない言い方だな~。



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