第36話依頼




朝早くから冒険者ギルドへやって来た。

3人の登録をするためだ。


熊のおっさんがギロリと見た。


「お、お前は、昨日の奴だな・・・成る程、戦闘奴隷を買ったか・・・そこの小さいのオーブに触れ」


シルーが触った。


「なんとランクBだと・・・白金貨10枚で買ったのか・・・なんて奴だ」


ルシハーも触った。


「魔族だと・・・いわくつきか・・・調べる必要なくランクBだ」


ウーも触った。


「ランクBだ・・・言っておくが、このオーブはランクB以上は分からん。依頼を完了させてギルドの信頼度をあげることだ。依頼失敗だけはするな・・・B依頼を100件もすればAランクだ」


100件も依頼を達成させるのか相当な期間だぞ。


「分かった」


「素直でいいぞ・・・このギルドには、ランクBいないが依頼はある。今は、この50枚だ」


ランクBが居ないのに依頼はあるのか・・・この熊おっさん、ようやるわ。


それにしても字が読めん。


「どれが良い・・・良いのを選んでくれ」


ウーが1枚の依頼を取った。


「盗賊団のオークを選ぶのか・・・奴らがどこに潜んでいるか、それを探し出すのがBの依頼の理由だ。それでもやるならかまわないぞ。そして依頼を受ける時は、ここへ来い。分かったか・・・」


「うん、分かった」






何のことは無い。

ウーは、鼻が利くから探し出した。


武器屋に寄ろうかと言っても3人は「いらない」って・・・


どう見てもオークは、100以上いるぞ。

俺の爆弾攻撃を見せる羽目に・・・


拙者せっしゃ1人でやる」


そう言って布を脱ぎ捨てた。


裸だよ。

恥ずかしくないのかよ。


え!手を地面につけたぞ。


丸見えだ。


なんと!毛が生えだして体も徐々に大きくなって、黒い大狼になってた。

アメリカのCG映像なんかカスみたいだ。


「タンッ」と地面を蹴って走りだす。


なんて速い走りだ。




オークの頭が飛んでいた。


え!知らない間にオークまで到着して又も頭を刈る。


首から鮮血が「ドバッ」と吹き出す。


隣にいたオークの腹も引き裂いていた。

内臓が「ブシャ」とまかれて倒れるオーク。


あ!移動も速い。


草を刈るようにオークを倒した。


「あれって囲まれてるよね」


「御主人さまは、知らないので申し上げます。狼人の灰色は集団攻撃が得意で御座います。それに対して黒は、1人でも灰色集団を超える存在になります。なので心配は無用と・・・」


あ、本当だ。

一瞬で回転切りみたいに刈って、頭を落としてるよ。

それは大輪の花を開くように血が・・・我を忘れて見とれてた。


「御主人さま、オークキングです」


「えっと、ここのボスかな・・・」


「そのように解釈しても・・・普通のオークより数倍は強いです・・・しかし、オークキングが居るならA依頼になってもおかしくありません」


「え!依頼詐欺・・・」


「オークキングの目撃情報がない場合は、依頼はBになります・・・後で申請すればAになるでしょう」


ウーみたいに全身真っ黒だ。



互いに睨み合った。

次の瞬間には、勝負は決まりオークキングは倒れた。


戦った瞬間なんか見えなかったぞ。


え!何これ!・・・コマ送りのように残像が・・・

これって鑑定の新たな能力。


「御主人さま、終わりました。行きましょう」


え!終わったの。






俺が現場に行った時には、オークの鼻が全て切り取られていた。

ウーも人型に戻っていた。

ルシハーから布を受取る時に、麻袋を「ドサッ」とおいた。

麻袋の底が赤く染まっていたから、中には切り取られた鼻だろう。


それにしても麻袋の血は最悪だ。

なのでアイテムボックスの機能を使って、血を全て回収。

そして地面へ「ドバッ」と捨てた。


ウーも驚いた。

驚いた顔をこれで何度目だ。



あれ!・・・この死体は・・・


「あそこの女5人も殺したのか・・・」


首の頚動脈けいどうみゃくを綺麗に切られていた。

血の流れ出した量は半端ない。


俺の診断は、出血性ショック死だ。


ヤギの角を生やした女が3人、犬族なのかシッポと犬耳の女2人。

可哀相に・・・


「なんで殺したんだ」


「御主人さまは、何も知らないようですね・・・この女達は狂っていたに違いありません。何故なら、それ程にオークの性欲は強いのです。御覧ください・・・オーク100人を相手する苦痛は並大抵ではありません」


え!女の足を開くなんて・・・あ、ひどい・・・オークって性欲バカなの・・・


「すまなかった・・・」


「気にしてません」






帰りはバギーに乗って帰った。

行きはウーの鼻頼みなので使えなかった。

俺が運転して、シルーが後ろ座席に・・・

向こうは、ウーが運転してた。



ルシハーの悲鳴が凄いことに・・・





冒険ギルドの受付で麻袋を置いて・・・


「121個を確認しました。なのでオーク盗賊団が討伐されたと認めます。それにオークキングも確認できました。なので今回の依頼はA・・・報酬は金貨20枚です」


200万円か・・・ちょっと安くね・・・Aの依頼だよ。

オーク盗賊団がため込んだ金は、もろもろ合わせて56万円だよ。


クレームを言って悪く思われたらダメだ。

金貨20枚もらって引き下がった。



なんだなんだ・・・ギルドで酒場でもある酒場が騒がしい。

あは~ん。俺の話だな・・・


え!違った。

彼女らの話題だった。


「あの引き締まった体は、たまらんな」


「お前は、そっちか・・・ダメダメダだな・・・女って奴は、やっぱ若い女を俺好みにしつけて立派な女になれるんだ」


「魔族崩れの女も捨てたものでもないぞ」


「ケヘヘヘヘ・・・」


何だそのバカ笑いは、男としてクズだ。

酒と女しか興味ないのか・・・



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