第35話迷い人




彼女3人は、シャワーで「キャキャ」とたわむれていた。

狭いシャワー室で肌と肌が、なんて卑猥ひわいなんだ・・・


想像してしまうぞ。

1人は絶世の美少女のシルー。


そして紫の髪で妖艶なボッキュンボンのルシハー。

少し微笑んでウインクすれべ男なんかイチコロだ。


更に美しい筋肉で体の引き締まりはバツグンのウー。

顔は、野生的な美人だ。



俺の、シャンプー、リンス、ボディーシャンプーを使ってるハズだ。

洗い方は、ああだこうだと教えた。



ここで体や頭を『アワの実』で洗うらしい。

洗濯物も同じ『アワの実』だ。


あ!ボディーシャンプーの花の香りが・・・


あ!出てきたぞ!。


俺は、急いでベッドへ行った。


「そのタオルで頭を軽く包んで、指の腹を使って頭全体を優しくモミモミするだ。ゴシゴシこすってしまうと、キューティクルが剥がれ、水分や栄養が抜けやすくなるからな・・・後はバスタオルで体を拭いてくれ」


あれ、返事がないぞ。


チラッと見た。


女性の裸なんて何年ぶりだ。

髪をタオルで巻いて、互いに拭きあっていた。


あ!ブラジャーを摘んだ。


ブラジャーなんかつけた事がないから、つけ方も教えたが・・・


ここの世界って下着がないらしい。

なので錬金術でパンツとブラジャーも作った。


「御主人さま、終わりました」


見るとシルーの銀髪がキラキラして輝いている。

服は、1枚の白い長い布を色々巻いたシンプルな服装だった。


ルシハーは、ブラウン色のショートパンツとTシャツだ。


狼人のウーは戦う時に狼に変身するって、なので布1枚を羽織る姿だ。

下着は着たくないって。


狼の耳とシッポ以外は、普通の人間の体だ。

それが布を脱ぎさって変身して2倍に大きくなるなんて。

だからパンツをはいてたら破れるのも分かる。


シッポだけは、布から出てた。





皆で1階の食堂で「これって、どんな料理・・・」


「パンとスープだけのシンプルな料理で味も薄味です」


「俺は、これにするから・・・君らは好きなのを頼むといいよ」


「その料理は、奴隷用の料理ですよ。失礼と思い言わなかったのですが・・・」


だって隣のテーブルでは、生きた虫を虫カゴら取って食ってた。

見ていてグロ過ぎる虫だ。


「生きたハァンブは最高だな」


ハァンブって虫の名か・・・長野のイナゴや蜂の子は有名だが・・・

だから下手な料理なんか頼めない。


更に向こうでは、丸々太ったトカゲを・・・

大トカゲ人間がむしゃむしゃと喰っている。


たまに「バリボリ」と骨まで喰ってるぞ。


何なんだ・・・この世界は・・・





ベッドは、3人に寝かせた。


「御主人さま、そのような御命令は聞いたことが御座いません」


「わたし達は、床で毛布に包まるだけの存在です」


奴隷制度ってよく分からないが、そんなものなのか・・・


ダンジョンで寝る必要があると思って、エアーベッドを買って良かった。

ボタン1つで30分で膨らんだ。

そして少し空気を抜いて、ウォーターベッドのようなフニャフニャ感を・・・

そして日本製の毛布を出せば完了だ。



「それは、何ですか・・・これ柔らかい・・・」


シルー、何でエアーベッドの上で飛跳ねる・・・下手したら穴が開くぞ。


「わたしも・・・」


「どれどれ拙者せっしゃも・・・」


ああ、拙者って言ったよ。

ウーは、時代劇のおっさんかよ・・・


「乗って飛跳ねるな!」


あ、遅かった。

エアーベッドの空気が抜けたぞ。


あ!そうだ。

自分自身で直せばいい。


「こらこら、いつまで乗ってる」


「申し訳ありません・・・」


ウーは、土下座してるよ。

こっちにも土下座ってあるんだ。



錬金術を発動。

開いた穴を融合させて強化も施した。

これで完璧だ。


またボタンを押した。

残った空気で20分で膨らんだ。

そして空気調整して、いいぐらいに・・・


「乗ってピョンピョン跳ねてもいいぞ」


3人は、驚愕していた。


「あれは・・・なんですか・・・」


「あれって何・・・」


「え!ここには、錬金術ってないのか・・・」


「錬金術ってなんですか・・・」


「精霊よ、あれは何・・・・・・精霊も分からないと言ってます。御主人さまは、何者ですか・・・」


「ああ、魔人が『迷い人』って言ってたな・・・」


「『迷い人』は迷信のたぐいの話ですよ・・・遥か太古に魔王に挑む黒き髪の男・・・え!一緒だ」


「そんな・・・」


「信じられぬ・・・」


「俺って、この時代の魔王に殺されるの・・・」


「殺したりしませんよ。魔王さまと黒き髪の男は、親友になったので・・・」


あああ、助かった。

遥か太古に日本人が来たのかも・・・


「遥か太古って何年前かな・・・」


「3万年前ですね」


日本の3万年前なら旧石器時代か・・・なんかピンとこない・・・

それっと本当に日本人かな・・・


よう分からん。



よくよく聞いたら・・・この世界には、回復ポーションも無い。

怪我を治す光魔法も無い。


日本人でも2人が光魔法を覚醒した。

1日5回も癒せば、失神するレベルだ。

それも傷を治す程度の魔法だからダンジョンへ行ってない。

それでも盲腸の手術の傷なら綺麗に治すから、結構重宝ちょうほうされている。



  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る