第34話奴隷




冒険者ギルドにやって来た。

めちゃ怖そうな連中が酒場で飲んだくれているぞ。

こんな昼間に・・・ああ、片目がザックリと切られた顔で俺を見るな。


あ、あれが受付か・・・「冒険者登録をお願いします」


「冒険者登録ですか・・・珍しい・・・ニャンニャン、2階へ連れて行って測定して来て」


「はい、お姉ちゃん」


「職場では、先輩って呼ぶように言ってるでしょ・・・」


「先輩、すいませんでした」


「分かればいいのよ」


案内されるまま2階へ行った。


「コンコン」


「誰だ!」


「わたしですニャンニャンです。新規の登録者を連れてきました」


「新規だと・・・入れ」


部屋には、大きな熊が・・・

ニャンニャンは、猫人だから熊もありか・・・それにしてもデカイ。


机から玉を取り出して置いた。


「この玉に触れ・・・」


物凄い眼光で俺をジロジロと見る。


仕方ないので触った。



オーブ


ステータスが見える



そんな物があるのか・・・日本へ持って帰ればダンジョン攻略も順調に出来るかも・・・


「何も映らんな・・・Fからだ・・・それにしても弱弱しい体だな、戦闘奴隷でも買えばなんとかなるかもな・・・」


そんなバカな・・・何で・・・

そうか、接続のコネクタが違うだけで接続出来なのといっしょだ。

だから俺のステータスが読み取れない。

なら奴隷でも買ってみるか・・・仲間が居た方が安心だ。


それに、この世界の情報が欲しい。


「戦闘奴隷っていくらですか・・・」


「白金貨1枚なら冒険家業もCまでいけるかもな・・・金を持ってるのか・・・」


「はい、持ってます」


ニャンニャンも驚いてこっちを見た。

手で口を押さえてなければ「キャー」と言ってたかも・・・


簡単な道案内を聞いて、冒険者Fの木の札をもらった。


字が書いてるが読めん。

魔法陣の字でもない。


ここの世界の字だ。


チラッと見た依頼板も何が書いてるのか、まったく分からん。

それを取って受付へ行くのだろう。


字が読めないって、いよいよ奴隷が必要になったぞ。



子供が書いた地図で奴隷商へ・・・立派な店だ。

めちゃ儲けてるぞ。


入るなり「白金貨1枚の戦闘奴隷が欲しい・・・」


手をこすりながら140センチの鼠が近づいてきた。


「生憎、白金貨2枚以上しか居ません。先程、売れてしまいまして・・・」


ああ、残念だ。

俺が思案していると「まあ、戦闘奴隷を見ていってください」


奴隷商って不衛生に思っていたが綺麗に掃除されてた。

男と女は、別の檻に・・・なんで男達は、俺を睨む・・・


ああ、ステータスが見えないぞ・・・奴隷の契約魔法が邪魔してるに違いない。


「こら!お客さんだ。愛想よくしろ!」


お、鼠が怒鳴ってるぞ。


「申し訳ありません。契約を結べばおとなしくなるので・・・」


女の方も・・・同じように睨みつけてきた。

これって反抗的な性格にしか思えないぞ。

そんな性格の奴を買ってもな~。


「この人達以外に居ませんか・・・弱くても良いので・・・」


「居るには居るのですが、気にいるとは思えません。明日にも処分をしようと思ってます。おまけみたいに同業者に押し付けられて、処分申請も金がかかり、あ!愚痴を言ってしまい申し訳ありません」


見せてもらった戦闘奴隷は、狼人とエルフと魔族Aだった。

3人とも女だ。


狼人は、片足がない。


エルフは、両手、両足がなく舌も切り取られていた。


「このエルフは、貴族のなぐさめにあったと思われます。貴族には、いびつな変人が、あ!内緒にしてください」


魔族Aの女は、目がクル抜かれていた。


「この方の父君は、謀反の罪を着せられて死罪に、娘は奴隷落ちに嘆かわしいことです。そして復讐できないように念入りに目を・・・目があれば高く売れるのに・・・」



「買います」


「え!買うと・・・分かりました。奴隷商なのでタダでわたせません。王銅貨3枚で売りましょう。首輪の値段なので秘密に・・・」


「秘密ですね、約束します」


「いいお客さんだ」



汚くて臭う服も着替えた。

服は、3枚で王銅貨2枚。


麻で出来た袋をかぶったような服だ。

なんのセンスもない。


あ!あるじが契約魔法を俺らに・・・「ポワッ」と温かい。

これが契約魔法か・・・え!マジか。


雷鳴アルバーが契約魔法に反応。



雷鳴アルバー


攻撃力120


神秘な剣

【雷を轟かせる・契約】


契約が追加されてた。

瀕死状態にすることで契約できるらしい。

それもモンスターにも可能だ。


この神秘な剣は、成長する剣に違いない。

もうめちゃくちゃヤバイ剣だよ。



それに契約魔法によって、見えなかった奴隷のステータスも見える。

なら鑑定でもしようかと思った時に・・・


「そろそろ暗くなってきてます。宿は、とっていますか・・・」


「いえ、まだです」


「向かいは、隠れ宿で性奴隷とチョメチョメする宿です。わたしも経営にたずさわっているので、王銅貨4枚で話をつけますが・・・いかがいたしましょうか」


あ、そうか・・・宿か・・・


「お言葉に甘えてお願いします」


あるじより小さい鼠に案内されて宿に入った。




この宿に入るのも苦労したよ。

俺は、エルフを抱っこして、魔族Aは俺の肩に手をそえてた。


魔族Aは「御主人さまに、そのような恐れ多い」と言って拒んだ。

もう説得するのも大変だった。


狼人は、ケンケンしてバランスを保ちついて来た。

バランス感覚が素晴らしい。

足がまともならと思う。




「ここが部屋か・・・」


あ!大きなベッドが、え!1つしかないの・・・

棚に毛布が何枚も・・・これって奴隷用、そうに違いない。


この大きさなら3人でも寝れるぞ。



あ、あのドアは何だ・・・シャワー室だ。

「キュッ」とひねると生温い水が・・・海外の水圧と一緒だ。



ここのドアはトイレだ。


座るタイプだ。

トイレのフタを開けると、え!汲み取り式便所だ。

深い穴が・・・それに臭ってきた。

急いでフタをした。


それに置いてるのって葉っぱだよ。

葉っぱだから下に落としても大丈夫って訳か・・・



部屋の構造が珍し過ぎて、大事なことを忘れてた。


床には、狼人がエルフを抱えて座っていて、2人の目がこっちを見詰めている。

魔族Aも気配を感じたのだろう・・・こっちを見てる。


死ぬ運命に希望を見出したから仕方ないかも・・・


「この回復ポーションで体が再生するハズだ。だから心配しないで飲んでくれ・・・」


「それは、もしかして奇跡の水では・・・」


嫌々、そんなたいそうな物じゅーないよ。


狼人は、抱えるエルフに飲ませてから飲んだ。


あれよあれよと再生されて治った。


魔族Aにも手渡して「大丈夫だから・・・ゆっくり飲むんだ」


「コクコク」と飲んだ。


「ポワッ」と光って、光が消えると治っていた。



おいおい、3人して泣くなよ。



シルー【エルフ】


LV5

HP:500/500

MP:1000/10000


スキル

精霊魔法【シルフ(風の妖精王)】



ルシハー【魔族A】


LV10

HP:1500/1500

MP:1000/10000


スキル

インフェルノ

無魔法



ウー【狼人】


LV10

HP:2000/2000

MP:400/400


スキル

俊足

牙狼



めちゃくちゃなステータスだぞ。

エルフは、なんとなく分かる。


インフェルノは、罪人を苦しめる地獄の炎だった。

罪が大きいと炎の威力も増すらしい。


俊足は、持ってるだけで速い動きができるスキルだった。

牙狼は、MP100を使って全てステータスを倍増する。

時間は、10分。反動として1時間はヘナヘナだ。



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