第27話Jアラート




スマホからJアラートが鳴り響く。


工房では、あっちこっちから鳴り響きパニック状態だ。


「なになに、なんで鳴ってるの!」


「地震速報よ」


「スマホ画面を見なさいよ・・・Jアラートよ」


「Jアラートって何・・・」


「北朝鮮が発射されたミサイルよ」


「日本を攻めてくるの・・・」


「攻めないよ・・・脅しよ、脅して攻めて来るなって圧力をかけてるだけよ」



全国瞬時警報システム/Jアラートは、弾道ミサイルが日本の領土・領海に落下する可能性又は領土・領海を通過する可能性がある場合に使用。

逆に、日本の領土・領海に落下する可能性又は領土・領海を通過する可能性がないと判断した場合は、Jアラートは使用しない。




俺のスマホには、それ以外の情報も入ってきた。


スパイダー1号とスパイダー2号の車内カメラの映像だった。

戦車を魔改造したヤツだ。

自衛隊の頼まれて、もう1台も作った。




『Jアラートが鳴りました。作戦を開始しますか・・・』


攻撃担当の新垣は、生唾を飲み込んだ。

判断に時間をかけられない事を重々知っている。

予測コースを確認した。


「転移門Bの安全を確認した開始していいぞ」


それを聞いた新垣は「開始しろ」と命令した。




その同時刻スパイダー2では、大田がスパイダー1号の作戦開始を聞き、作戦位置の安全を素早く確認。


「転移門Bの安全を確認した開始していいぞ」




スパイダー1号。


『弾道ミサイルが転移門へ入りました。転移門を消去しますか・・・』


「消去しろ」




スパイダー2。


『海に突入しました』


「こちらスパイダー2の大田です。作戦は成功です、作戦は成功です」




今年に入って4回目の発射だ。


内閣や自衛隊幹部で話し合った結果。

スパイダー1とスパイダー2で転移門を使った処分を決定。


スパイダー1は、弾道ミサイルが飛んでいる先に転移門を開く。

スパイダー2は、海の近くに船がないか安全確認してスパイダー1に報告する。

もし船があった場合は、転移門の変更位置の海域を確認して報告。


なので弾道ミサイルは、海へ沈んでいった。






自衛隊緊急本部。


「また発射したのか・・・徹底的に調べて世界に発表するぞ」


「しかし、深海深くに沈んで引き上げ技術もありません」


「三崎、皆に知らせてやれ」


「はい、皆さん聞いてください。スパイダーの製作者が12000メートルも潜れる『海底丸』を製作しております。その性能は、素晴らしいで表せない程です」


「ちょっと待て・・・フイリピン沖のマリアナ海溝にあるチャレンジャー海淵かいえんが世界で最も深く、約10920メートルだと知って言ってるのか」


「まあまあまあ落ち着きたまえ・・・それより大事なのは、弾道ミサイルを引き上げることが可能なのか・・・それが問題だ」


「もっともな御意見です。可能です」






工房では、「もう安全だ」と俺は言い放った。


「え!なんで分かるんですか・・・何かやらかしましたか・・・」


あ!鋭いヤツだ。



「それより新商品の方はどうなんだ」


「今、4人でやる予定です。あまり急かさないでください」



新商品は、魔力回復用ポーションだ。


あの砂漠の岩場。

その岩場の穴に入って調べることってなかった。


それが白鷺愛翔しらさぎあいかが召喚したブラックサソリが穴に入って戦った。

そして引きずって来たブラックサソリにコケがついていた。



そのコケを調べたら魔力を回復することが分かった。

早い話が俺の鑑定で知った。


魔法使いにとって、ありがたい話だ。

魔力の残量は、感覚で推し量るしかない。


魔力が尽きた魔法使いは、ただの素人へ転落するしかない。

それに魔力の回復には、時間が必要だった。



これで錬金術師も魔力を使い果たして、体の不調のまま寝込むこともないだろう。






探索者ギルド会議室。


俺と旭の2人が座る前には、谷本さんと上司が座っていた。


旭「ギルドの希望価格はいくらですか・・・」


上司「それは、こちらからも聞きたい質問ですね。そちらから価格を言ってもらわないと、材料や人件費を計算して20%の上乗せでいかがでしょうか・・・」


旭「嫌々、これは困りました。材料を取りに行くのも、作るのもこちら側ですよ。たしか危険な場所で苦労しているから材料費は、高く設定する必要が・・・あら嫌だわ。錬金術で作るのも大変ね」


俺「そんなに、あからさまに言われても・・・谷本は、どう考えているのですか」


谷本「はい・・・互いに希望価格を書いた紙で見せて、すり合わせるしかないと思います」


これが腹の探り合いってヤツか・・・


旭に任せ切りだが、止むを得ないだろう。

旭は、副社長として社員を雇ったから、収益を上げて雇用の安定を考えるしかない。


俺も社長だけど・・・このような交渉は苦手だ。



結局、探索者に試しに使ってもらって、アンケート調査するらしい。

魔法使いが払える価格でないと、売れないし売るあてもない。


回復ポーションより高くなるのを信じて待つしかない。

割りに合わない場合は、5人で使って上級回復ポーション増やすしかない。


最近になって評判にもなって、高く売れている。

1週間経てば価格が上がってた。



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